117 / 134
キューピッドは恋を知る
10
しおりを挟む
雅樹さんの汗ばんだ肌に密着されて、その手が胸に流れて……。
うそ。
胸の尖りをつままれた。
「やぁ! あ、そこっ、だ、だめ……っ」
腰を突き上げられて、雄茎の先端で気持ちのいいところをを突かれて、抵抗できない。
つねられた後は、転がされて……ダメ、もう……。
雅樹さんとの本番ははじめてなのに、どんどん自分の襞が彼の雄を搾り取ろうと蠕動してるのだけがわかる。
「は……、はっ……」
雅樹さんの吐息にさらなる熱がこもる。
淫らで、いやらしい……こんな自分を普段なら浅ましいと感じるのに、今は自分がいやらしいさまを感じられるのが、たまらなく嬉しくて興奮する。
掠れた声で、静かに、だけど思い切り喘ぐ。
雅樹さんには静かなささやきに聞こえる声は、僕にとってありったけの絶叫だった。
「あン、や、あ……」
「処女をもらっているはずなのに、っ」
「そこ、もっと……いじめて、くらさいっ……!」
「あぁ、いやらしくてダメだな、真也は……!」
……何も考えられない。
大きくて、熱くて、痛くて、雅樹さんのぜんぶが愛おしい。
なかがきゅうきゅうとして、知らなかった性に目覚めるような。少しずつ、淫らで、とろりとした、甘い……メスになるような感覚。
あなただけの……。
「ああ……真也……っ、しん、や」
「う、あ、あぁっ……」
「おれだけの……」
ぐしょぐしょな僕の思考はほとんど無意識に、甘さと痛みをブレンドした喘ぎを絶えず漏らす。
もっと。もっとほしい。もっと来て。
「っ、真也……」
「ぁあ」
「イく……」
「ああっ、雅樹さんっ──!」
好き。
そう思ったと同時に、いっそう奥へと突きあげられられた僕の体が、バラバラになるような感覚がした。彼の胴震いを肌で感じて、白い熱が僕の中に迸った。
「あぁ──」
白く視界が染まる。
この感覚を僕は一生忘れない。
幸せになりながら、最高潮の気持ちとともに、最愛の人の腕の中で、意識を飛ばすこの感覚。
死ぬときは、この気持ちを抱きしめながら死にたい。
◇
……どれくらい気を失っていたのかわからないが、目を覚ますと雅樹さん肩に頭を預けていた。だが彼の楔は僕の後孔に打ち込まれたままで、いつの間にかバックから正面に入れ替わり、僕らは座ったまま抱き合っていた。
「気分は? つらくはないか?」
「とろけてます……」
痛みも全部抱え込んで、それでも気持ちがいい。
明日は立てなくなっているだろうけど、僕の体はバラバラになることもなくやっぱりこの体のまま存在していた。その事実が、雅樹さんを安心させられるといいのだけれど。
下腹部を覗き込むと、雅樹さんの張りつめきった怒張は、まだ中に半分も飲み込まれていなかった。僕はオメガでないけれど、いつか彼の全部を受け入れたい。そういう日を求める思考回路すらも愛おしい。
「僕……キューピッドだなんて言われていたんですよ……作家と絵師を仕事で引き合わせたら、結果彼らが番になってしまって。僕が恋愛の部分で何かをしたというわけじゃないのに」
「キューピッドか」
雅樹さんがおかしげに鼻笑いする。
「おれにとっても、助けてくれた時の真也は天使に見えた」
「でも、僕自身は恋がどんなものかも知らなかった……あなたに教えてもらいました」
「キューピッドはヴィーナスに命令されて娘に矢を放とうとするが、その矢で自分を傷つけて、娘に恋をしてしまうんだ」
灰色の瞳が歓喜に震えて踊っている。
「きみがそうなるように、おれが仕向けてしまったのだろうかな?」
「ああ……そうかも」
髪を、この上なく丁寧に、愛おしげに撫でられた。
「愛している」
「ぼ、くも……」
掠れた声で答える。引き寄せ合うように口づけを交わした。
静かで、音のない、確かな会話。
僕らは気の済むまで抱き合った。
次に目覚めたら、恋を知らなかったキューピッドの僕は死に、雅樹さんの愛を知った新しい人間に生まれ変わっている。
そんな気がした。
うそ。
胸の尖りをつままれた。
「やぁ! あ、そこっ、だ、だめ……っ」
腰を突き上げられて、雄茎の先端で気持ちのいいところをを突かれて、抵抗できない。
つねられた後は、転がされて……ダメ、もう……。
雅樹さんとの本番ははじめてなのに、どんどん自分の襞が彼の雄を搾り取ろうと蠕動してるのだけがわかる。
「は……、はっ……」
雅樹さんの吐息にさらなる熱がこもる。
淫らで、いやらしい……こんな自分を普段なら浅ましいと感じるのに、今は自分がいやらしいさまを感じられるのが、たまらなく嬉しくて興奮する。
掠れた声で、静かに、だけど思い切り喘ぐ。
雅樹さんには静かなささやきに聞こえる声は、僕にとってありったけの絶叫だった。
「あン、や、あ……」
「処女をもらっているはずなのに、っ」
「そこ、もっと……いじめて、くらさいっ……!」
「あぁ、いやらしくてダメだな、真也は……!」
……何も考えられない。
大きくて、熱くて、痛くて、雅樹さんのぜんぶが愛おしい。
なかがきゅうきゅうとして、知らなかった性に目覚めるような。少しずつ、淫らで、とろりとした、甘い……メスになるような感覚。
あなただけの……。
「ああ……真也……っ、しん、や」
「う、あ、あぁっ……」
「おれだけの……」
ぐしょぐしょな僕の思考はほとんど無意識に、甘さと痛みをブレンドした喘ぎを絶えず漏らす。
もっと。もっとほしい。もっと来て。
「っ、真也……」
「ぁあ」
「イく……」
「ああっ、雅樹さんっ──!」
好き。
そう思ったと同時に、いっそう奥へと突きあげられられた僕の体が、バラバラになるような感覚がした。彼の胴震いを肌で感じて、白い熱が僕の中に迸った。
「あぁ──」
白く視界が染まる。
この感覚を僕は一生忘れない。
幸せになりながら、最高潮の気持ちとともに、最愛の人の腕の中で、意識を飛ばすこの感覚。
死ぬときは、この気持ちを抱きしめながら死にたい。
◇
……どれくらい気を失っていたのかわからないが、目を覚ますと雅樹さん肩に頭を預けていた。だが彼の楔は僕の後孔に打ち込まれたままで、いつの間にかバックから正面に入れ替わり、僕らは座ったまま抱き合っていた。
「気分は? つらくはないか?」
「とろけてます……」
痛みも全部抱え込んで、それでも気持ちがいい。
明日は立てなくなっているだろうけど、僕の体はバラバラになることもなくやっぱりこの体のまま存在していた。その事実が、雅樹さんを安心させられるといいのだけれど。
下腹部を覗き込むと、雅樹さんの張りつめきった怒張は、まだ中に半分も飲み込まれていなかった。僕はオメガでないけれど、いつか彼の全部を受け入れたい。そういう日を求める思考回路すらも愛おしい。
「僕……キューピッドだなんて言われていたんですよ……作家と絵師を仕事で引き合わせたら、結果彼らが番になってしまって。僕が恋愛の部分で何かをしたというわけじゃないのに」
「キューピッドか」
雅樹さんがおかしげに鼻笑いする。
「おれにとっても、助けてくれた時の真也は天使に見えた」
「でも、僕自身は恋がどんなものかも知らなかった……あなたに教えてもらいました」
「キューピッドはヴィーナスに命令されて娘に矢を放とうとするが、その矢で自分を傷つけて、娘に恋をしてしまうんだ」
灰色の瞳が歓喜に震えて踊っている。
「きみがそうなるように、おれが仕向けてしまったのだろうかな?」
「ああ……そうかも」
髪を、この上なく丁寧に、愛おしげに撫でられた。
「愛している」
「ぼ、くも……」
掠れた声で答える。引き寄せ合うように口づけを交わした。
静かで、音のない、確かな会話。
僕らは気の済むまで抱き合った。
次に目覚めたら、恋を知らなかったキューピッドの僕は死に、雅樹さんの愛を知った新しい人間に生まれ変わっている。
そんな気がした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
201
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる