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「陽斗君……僕も聞きたい。どうして君は、僕をこういう気持ちにさせるんだろうね」

「そ、そんなの……知らねぇよ」

近すぎる距離に耐えきれず、きつく目を瞑ると、東条の唇が耳元に寄せられた。

「いっそ……君が僕の欲求を受ける役割を果たしてくれたら……でもそれは、君を傷付ける事になる……そうだよね?」

「……っや、ぁ」

耳元で囁かれると、背筋がゾクゾクして、腰元が疼き始めてしまう。

熱もあるし、俺はもう限界で、東条の胸元を力なく押し返した。

「も……やだ……っ俺……」

「陽斗君……?」

ダメだ。

もう俺には、ちゃんと考える余裕がない。

俺はとうとう、東条の色香にやられてしまった。

「俺……おかしい……っだってこんなの……気持ちい、なんて……」

「……!」

もはやうわ言のように漏れた俺の本音に、東条が僅かに息をのむ。

そして次の瞬間、やや強引に顎を掴まれ、上向かされた。

「……!」

気付けば、唇を塞がれ、熱が唇を割って侵入してくる。

逃れようとすれば後ろ頭を押さえられ、より深くまでまさぐられてしまう。

「んぅ……」

「は……陽斗君……」

ようやく開放されると、東条は俺を見つめて甘い吐息を漏らした。

「なんて顔をしてるんだ、君は」

「へ……?あ……」

改めて、すっかり息が上がり、全身が火照っている事を自覚した俺は、恥ずかしくてたまらなくなり、両腕で顔を覆うようにして隠した。

「み、見んな……っ」

「……そうか、なるほど……そうしよう!」

「……はい?」

なんとも、明るい東条の声が響き渡り、俺の目は点になる。

恐る恐る顔を上げると、そこには、一変して明るい空気が流れていた。
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