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監禁
監禁
しおりを挟む「血の繋がっていないヤクザのどこがいいんだ」
頑として首を縦に振らない一太に、次第に苛立ちを募らせていくお兄ちゃん。
「まぁいい。時間は幾らでもある」
吐き捨てるように言うと、手首を鷲掴みされた。爪が皮膚に食い込むくらい強い力で。
そして脅すかのようにジロリと凄みをきかせて睨まれた。
「未知の夫はパパだけだ。他の男との結婚は認めない」
吐き捨てるようにそう口にしたあと、本性を剥き出しにした。
「夫がいながら、不貞をするとは・・・覚悟は出来ているんだろうな?お前はパパのモノだってことをじっくり教えてやる」
あれ・・・?
ここは・・・どこ?
目が覚めたとき、薄暗い部屋の中にいた。床の上にじかに敷かれたラグマットに寝かされていた。
手首を動かそうとしたけど、思うように動かなくて。目を凝らしてよく見ると、両手首を一括りにされ手錠で拘束されていた。どうにかして外そうとしたけれど、外れるわけなどなく。カシャカシャと耳障りな金属音だけが虚しく響いていた。
ママをつれていかないで‼
意識を失う寸前、一太が泣き叫び、防犯ブザーの音が鳴り響いていた。
小学生じゃないんだから、防犯ブザーなんて必要ないのに。彼が、何かあった時のためだ。そう言ってリュックに付けてくれた。
お兄ちゃんに無理矢理車に押し込まれた時、一太が偶然にもストッパーを引っ張ってくれて。
けたたましく鳴り響くアラーム音にすぐに児童館の職員が飛んできてくれた。
ドアが閉まる寸前、掴まれていない方の手で咄嗟にドアを押さえた。一太くん逃げるんだ‼男性職員が大声を上げ、一太の服を引っ張って助け出してくれた。
氏名、住所、緊急の連絡先。
全部登録してあるから、きっと大丈夫。今頃彼と一緒にいるはず。
一太が無事ならそれでいい。
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