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第二章

マリアベルの帰省 1

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「ただいまぁー、マリアベル 帰還したしました!」

出迎えてくれたリリアンさんに挨拶をする。
「お帰りなさい、あれ荷物これだけ?」

令嬢にはなったが、日傘も要らずドレスも要らず、お気楽令嬢なマリアベルには、トランク一つで十分であった。

リリアンさんは、伯爵家からついて来てくれた侍女様達の美しさに見惚れていた。
正直、侍女さんの方がお嬢様歴が長い
あちらは生まれた時からの生粋のお嬢様
こちらは、なんせ 生前は叩き上げの社長夫人

20代前後の赤茶色の髪の方が子爵家出身のガブリエル
30代半ばの青みがかったら方が準男爵夫人でもあるローラ
2人とも上級侍女様である。

セバスチャンさんがやって来た。
伯爵からの手紙を受け取り
侍女様達にテキパキと指示を出してゆく。

私が動かなくても 周りが、回っていく

ああ、私 お嬢様になったんだ。
みんな私に 様 を付ける。
家族だと思ってた人達と距離を感じて一抹の寂しさを覚えた。

なにをするのにもわざわざ人の手を借りなければならない。
自分で出来るのになぁ、と思ってしまった。

「マリアベル様、まずは形からと申しますでしょ。
形が整えば中身も自ずと付いていきますわよ。」

「でも、もし、外見ばっかり見繕っても中身が、空っぽだったら?」

「それをサリバン先生に聞く事ができますか?」

「そんな、怖い事、、聞けません。」

「ウフフ、ご自分ではちゃんと分かっておられるんですね!」

そう、ごねているだけなのだ。
前世 おばあちゃんで
生まれ変わったら 子供で召使い
次は 貴族になって学園へ
そしてお嬢様レッスン

激流に流されるようにクルクルと毎日が回っていく。

でも、この世界でマリアベルとして生きていく為にも、慣れていかねば。
「私、子供だから何でも出来るわ!うん、未来は大きい!!、」
少し気合をいれた。

私に新しい部屋が用意されていた。
ベージュが基本で水色で纏めてあり、可愛いが落ち着いた部屋だ。
「旦那様が、クララとリリアンに話しを聞きご自分で整えられたのですよ。」
セバスチャンさんがこっそりと教えてくれた。

1人でする食事、1人で過ごす部屋、
以前のクラレンス邸とは違う。
寂しい、寂しい、寂しい

膝掛けをもって、私の部屋だった屋根裏に行く。
ここからの眺めは最高だ。

後ろからコンコンとノックがした。
はい、返事をする。

「入るぞ、」旦那様だった

「部屋を訪ねたら 居なくてな、
クララが ここではないか と教えてくれたのだよ」

私達はぎこちなく、少しずつではあるが、話しをした。

「私は、どうやら今まで病気だったようでな、、、
言い訳かもしれんが、其方にすまないとは思っている、、、、、。」

そっかぁ、やっぱり病気だっのね。
顔色 真っ白通り越して土気色だったし。
目も充血してたし。

「マリアベル頼みがある
まじないを、また、かけてはくれぬか?」

お安い御用です。
「旦那様、頭ですか?」

「前回かけてもらって大分楽になったのだが、また、モヤがかかり出してきてな。
眉間の辺り、ちょうと魔力溜まりがある所がズキズキ痛むのだよ。」

「チョットさわりますね。」
私は旦那様の眉間辺りを触ってみた。
なにか、ペタペタする感じのモノを感じた。
これって、東洋医学のリンパの流れみたいなモノなのかしら?
「痛いの飛んでけ」重くて飛びださない。
コリが固まっているのかしら?
昔'眼精疲労マッサージ'してもらった事があったのを思い出してと、
リンパの流れにそって目周りをほぐして、、、流して、、、

「飛んでけーー」
あっ、飛んだ!
上手くいったわ。
私、貴族辞めても整体で食べていけるんじゃないのかしら、うふふ

旦那様も目をパチクリしているわ
効果ありね!

「ありがとう、本当にありがとう。お前の <まじない>は本当によく効くな。
お前も、もう、休みなさい。
ここがいいなら ちゃんと布団を持って来なさい。夏と言っても夜は冷える。」

旦那様にお礼と 気遣いされてしまった。
旦那様、とっても丸くなったような気がするわ。
具合本当に悪かったのね。フムフム

夜空が綺麗
吸い込まれそう。
ここは、王都より星がキラキラする感じがするのよね。

最近、自分が光子だと言う事を、忘れている事が多くなった。
でも、この体はマリアベル。
そのうち、光子はいなくなってしまうのかしら•••
ちょっと寂しわね。
ねえ、お星様 そう思わない?
星がうなづいたように見えた。

今日は 女神様 夢に出て来てくれるかしら?




















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