大好きな母と縁を切りました。

むう子

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第一章

14話

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___________ 
久しぶりにシャンドラがわたしと話してもどなることがなかったせいかシャンドラが優しかったころの夢を見た。
あの頃を思い出すと切なくなる。
何度もあの頃のお義父さまに戻ってほしい。
あの頃のお義父様と一緒に過ごした日々は楽しかったな
なんて思ったこともあった。
もし…シャンドラがメイシーに騙されてるだけだったら
わたしはシャンドラを許せる…?
いや…多分私は…どんな形であろうときっと許すことはできない…。


…懐かしい夢を見たせいで凄く変な気分だった。
それからはメイシーのことも出来るだけ避けて
不思議なくらいシャンドラに何も言われることなく
お茶会まで普通の日々を過ごせた。 

当日はメイシーにシルバーの長い髪をアップにしてもらい黒いドレスに着替えた。

当日までドレスを見せなかったせいか
「お嬢様なんだか悪役令嬢みたいですわ。これはアイリス様の仕業かしら?酷いわっお嬢様にこんな真っ黒のドレスなんて」
メイシーってこんなに粗探しばっかりする人だったの…?
「…メイシー私が頼んだのよ宝石の散りばめられた黒いドレスは私のシルバーの髪色に合うかななんて思って。」

「まあ。お嬢様が黒を選ぶなんて。お嬢様はもっと淡い優しいお色がお似合いですのに。」

「たまにはイメージを変えてみないとねっ」

コンコン
「メイシー。バルセ侯爵令嬢にドレスを用意してもらったみたいだな。こんな提案をしてもらってドレスまで用意してもらっては令嬢に悪いだろう。きちんとしたお礼はまた考えるとして…これを持っていきなさい。」

これは…
「この間用事でルミアに行った時にもらったバラの花びらの形を1枚1枚作りバラになっている珍しいチョコレートだ」

急になに?あ……ただ不仲の噂のための外面かしら。

「ありがとうございますお義父さま」

「ああ。それにしてもそのドレス似合うじゃないか。いつもの淡いものよりよっぽど似合っている」

「…ふふ。メイシーと言うことは真逆なんですね」

「ゴホンッそうか。まあゆっくり楽しんできなさい」
今まで罵声を浴びせられるだけでまともに会話をしなかったから…
お母さまのいない所でこんなぎこちない会話をするなんてね。


メイシーには今日は屋敷で待っておいて貰うためにアイリスが馬車で迎えに来てくれることになっている。

当たり前のようにメイシーが着いてこようとし、
馬車はカップル用の2人乗りの馬車しか空いていなかったからと無理な言い訳をして留守番してもらうことに成功した。


「この間は失礼を承知で急な訪問をして本当に申し訳ありませんでした。今日はお茶会のテーマやドレスまで用意していただいてもうなんと言えばいいか…」

「そんな…気にしないで」
テーマやドレスはこっちの都合だし逆に申し訳ないわ。
「それで今日はどうしたらいいのかしら。」

「えっと。お兄様は念の為にお父様にもう諦める。と言って今日は部屋に閉じこもると言っています。お兄様の部屋は1番奥の部屋で…テラスから扉を開けて御手洗の横の書籍部屋に行くだけ。そしてナーシャさまにはお茶会が始まる直前に御手洗に行く途中。落ちている本とすこし開いた扉を見つけ書籍部屋に片付けに入るとばったり…なんてどうでしょう?」

「ふふふ。お兄様も読書が好きなのね」

「それはどうかしら。ふふ。できるだけ読書をするようにしてるみたいですがあまり好きじゃないと思います。その後おふたりでは不安でしょうから少し様子を見に行くと私もそちらへ向かいますわ」

「??分かったわ。」

「失敗しないように私、頑張ります!」

「ふふふ。なんだか面白いわね。それにしてもお兄様はなんの用なのかしら」


「それは……」

「アイリスは何か知ってるの?」

「知ってるとまでは……予想はついてますけど」

「予想?」

「ええ。でもお兄様がナーシャ様を困らせるようなことは絶対ありません」


この兄妹は一体何を考えてるのかしら。
でもアイリスが悪い子ではないとは思うし。

けど…今までメイシーに騙されてたから私の勘ってそんなに信用無いのよね。
もし厳しい状況になればティエラもソランもいてくれるし大丈夫。うん。何もかもに拒絶してたらキリがないわ。


「到着しました」

私は馬車を降りアイリスとテラスへ向かう。
アイリスと話してた通りに「アイリス、ちょっと御手洗を借りてもいいかしら」

「ふふ。もちろんですナーシャ様。テラスから出てすぐ左の扉が御手洗です。私がご案内出来たらいいんですが…挨拶がありまして…」

「大丈夫よ。一人で行けるわ。あ、そうだ。これ…ルミアで購入したチョコレートらしいの。お義父さまから持っていきなさいって」

「まぁ。お気遣いありがとうございます。お茶会のお菓子にお出ししてもいいですか?」

「ふふ。もちろん。」

「じゃあ行ってくるわね」

テラスのドア付近でバルセ伯爵が立っている…もしかして見張り?かしら

「こんにちはっバルセ伯爵。今日はお呼び頂きありがとうございます」

「ああ。これはカルノス令嬢。こんなにお綺麗になって」

えっと…お会いしたことがあったかしら…

「ははは。お忘れになっても無理はないでしょう。あなたのお父様がまだお元気だった頃のお話ですから。あの頃はお父様には大変世話になりました。あんなに人の良い方が早くに亡くなってしまって残念で仕方ありません。お嬢様がこんなにお美しくなってお父様もきっと嬉しく思っているでしょう。」

「まあ。そう言っていただけて嬉しい限りです。来てそうそう申し訳ありません。少し御手洗をお借りしてもよろしいでしょうか」

「ああ…もちろんです。少しお待ちいただいてよろしいでしょうか」

…ロアン・バルセ侯爵子息が外に出ていないか確かめに行くのかしら。既に本が落ちてたらきっと侯爵が片付けに…
「お父様!!大変!用意してたティースタンドが1つありませんの!!」

「なっそれは大変だ。ゲル。今すぐ用意してあげなさい」

「かしこまりました」

スっと手を上げ秘書らしき方を呼び用意させ侯爵は扉を開く。

「ご令嬢。どうぞ、スグ隣の扉にございますよ」

本は落ちてない。
けどこの感じだとアイリスの考えてる事は侯爵様はきっと予測済み。
このまま書籍部屋に行くのは厳しそうね…。

とりあえず御手洗に入りどうするか考える。

"ティエラ?近くにいる?"

"ええ。いるわよ"

"まだ侯爵は近くにいるかしら…"

"ええ。それはもう不安そうに。クスクス"

"だよね…。とりあえず諦めるしかないわね"

私は諦めてテラスに戻った。
侯爵は安心したように 
「今日は楽しんで行ってくださいね。私はこの場には似合わないでしょうから、部屋に戻るとしましょう」
と言い部屋に戻って行った。

「ナーシャ様…!戻るのが早いってことはやっぱり…お父様は気づいてるのかしら」

「ええ。そうみたいね」 

「残念!だけどわたしはお父様の娘よ。1回で諦めるわけにはいかないわっ」

「ふふふふふ。侯爵様はきっと複雑ね」

2人で笑いながらお茶会が始まり楽しく話ながら過ごした

「まあこのチョコレート。花びら1枚ずつめくれるのね。素敵なチョコレートですわ」

「カルノス公爵様が今日のためにご用意してくださったんですってルミアで売られているチョコレートだそうよ」

「まあ。素敵ですわね」

たまに不仲だなんてナーシャ様のことをお考えになってご用意されたんならあの噂は嘘なんじゃない?

けどあの婚約は…どう見てもナーシャ様を見ても体調も良さそうですし…真っ黒なドレスですごく怖そうなお方にも見えますわ
なんてコソコソ後ろから聞こえる。

「まあ。今日は仲良く皆でドレスを揃えてらっしゃるのね」

レビア・グランデ公爵令嬢…
「ナーシャ・カルノス令嬢が黒いドレスなのはやっぱり性格がお悪いからなのかしら?」

「…性格が悪いというのはどういうことかしら」

「あら。この間はわざとドレスに手を加えたからなのでは?このドレスはアイリス・バルセ侯爵令嬢がお届けになったとか。ふふ。この間はご令嬢たちは優しくお許しになったようですけど…性格がお悪いのを皆にお気づきになられてるんじゃなくて?」
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