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第二章
18話
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2人の言い合いが落ち着き、ソランがメイシーの居場所について話し始めた。
"アイツの居場所だけど……ちょっと厄介かもしれない。"
「どういうこと?」
"グランデ公爵令嬢に助けを求めたみたいでメイシーは北のデレスティアの森の奥地のコテージにいる。そこまではいいんだが何やらそこへ呪術師を呼んでボリスと契約しようとしてるみたいだ。"
"あの子…とことん落ちるところまで落ちる気ねぇ……"
「ボリス??」
"ボリスは人をあやつることが出来る目が4つある悪魔みたいなものよ。あんなのと契約するのは並大抵の人間じゃあ無理よ。だけど万が一成功したら厄介ね……。"
"ああ。話の途中で呪術師は勘がいいのか途中で結界を張りやがってその後のことは分からないが契約する方向でうごいているだろう"
「そのボリスと契約するには……精霊と契約するみたいにリーツを出して召喚するの?」
"ボリスはちょっと違うな。確かにそれなりのリーツとは異なった邪悪な力は必要だが奴らは悪魔に近いから代償を払わなければならない。ボリスは気に入らなければ契約せずに契約者のことを飲み込んで帰っていく。"
「代償……?」
"ああ。簡単に言えば人間の目 とか人間の1部を差し出すのが定番だな。だがそれが老人のものだったりすでに死んだ人間の腕だと ボリスは怒ってそいつを飲み込むだろう。ボリスによって好みは違うらしいからこれが確実とは言えないがな。"
「そう。代償は誰のものでもいいのね…なら狙うのはきっと私ね。」
"かもしれないな。"
「そう……ならメイシーのコテージからメイシーが出てきたらきっとその時が勝負の時ね」
"かもしれないな。召喚するのに時間もかかるだろうから、すぐではないがな。最低でも二・三ヶ月はかかるだろう"
「二・三ヶ月後…その時が来るまでに私も少しくらい戦えるようになりたい。」
"私たちが居るじゃない"
「うん。だけど2人に頼ってばっかりじゃあ嫌なの。私も二人とも一緒に戦える力が欲しい」
"ナーシャ…私たちはあなたの精霊なのよ。あなたのリーツのおかげで私達は力を使えるのよ。だから私達はあなたを守るためにいるの"
「でも……」
"なら俺たちの力は大きい。その分リーツが消費は大きいんだ。ナーシャのリーツは溢れてるとは言っても呪術師もいるとなるとどのくらい力を使うか分からないだろ?ナーシャにはリーツを高めて欲しい"
"そうね……それがいいわ。"
「分かった!2人が私の心配をしなくてもいいくらいに頑張ってみる」
"心強いよ。無理はしないようにな。俺はできるだけメイシーを見張っておくよ。何かあったらなにも気にせずピアスで俺を呼ぶんだぞ"
「頼んだわ…ソランもひとりで無茶はしないでね」
"ああ。"
ソランはメイシーを見張る為に消えていった。
時間も限られてるしルークに連絡を取ってリーツの高め方を教えて貰おう。
でもその前にレビア・グランデ公爵令嬢がメイシーの動きをどこまで知ってるか分からない。けど下手したら令嬢も呪術師と関わりを持っている可能性も否めない。
だとしたらロアンとアイリスにも注意してもらった方がいいかもしれない。
3人で話してたことは知らないはずだけどあのお茶会のこともあったし。
アイリスやロアンと昔から交流があったことが令嬢の耳に届いていたらロアンは私の肩を持っていたと今も恨みに対して感じてるはずだし巻き込まれる可能性もある。
手紙を出してもきっと1週間はかかる。なら直接……
いや、シャンドラに頼んでラミフォンを借りよう。
シャンドラのことを許したわけではないけど……今はアイリスやロアンの安全の方が大切だもの。
______________________
コンコン
私はシャンドラの部屋の前でシャンドラが出てくるのを待つ。
いざ、勢いでシャンドラの書斎の前に立つと緊張する。
けどラミフォンを使うのが1番早いんだもの……。仕方ないんだ。もうシャンドラは暴力を振ることもないと自分に言い聞かせる。
ガチャ
「……ナーシャ!?ここは私の部屋だ……。君がこんな所に……どうしたんだい?」
まさか私が自分からここに来るなんて思いもしなかっただろうなとあんなに緊張していたのにシャンドラの反応に少し笑ってしまいそうになった。
「お義父さま…。バルセ家のアイリスと急ぎでお話したいことがあって……できればその…ラミフォンを貸してもらいたいんです」
「ああ。もちろん。もちろんだよ。ナーシャの部屋にもラミフォンを置くべきだね。今はこれを使いなさい。仕事で使っているものだから侯爵が出るだろうから先にアイリスを呼ぶように伝えよう。少し待ちなさい」
「ええ……ありがとうございます」
シャンドラも少し緊張しているのか動きがぎこちない 。
「侯爵が今アイリスを呼んでくれてるそうだ。直ぐにナーシャのラミフォンを部屋に手配しておこう。私は令嬢と話してる間、部屋を出るとしよう。終わったら部屋の外で待っている秘書に伝えてくれればいい。私は広間で待っておこう」
「ありがとうございます」
⟬ナーシャ様、お久しぶりです♪ナーシャ様からラミフォンが来るなんて嬉しいですわ⟭
「ふふふ。様なんて。もうナーシャでいいの」
⟬ふふ。じゃあ昔のようにナーシャって呼ばして貰いますわ。それにしても今日は急ぎの用があるとか……⟭
「それがね……あのお茶会のあと、メイシーにずっと裏切られてたことが発覚してね……。その後私が倒れてる間にメイシーがグランデ公爵令嬢の元に頼りに行ったみたいなの。そこまではいいんだけど…ほら、この間のお茶会で私と令嬢のやり取りをロアンが止めてくれたでしょう…。グランデ令嬢がもしメイシーからあること無いこと言われて唆されたら2人も危険かもしれないって……」
⟬あのメイド…。ドレスに手を加えてあった日なんだかナーシャの様子がおかしいと思ったらそういう事だったのね!倒れてしまったって……体調は大丈夫?わかったわ。レビア様には気をつける。と言いたいところなんだけど…こんなこと言っていいのかな……。3日後お兄様がレビア様に呼ばれてるの……。この間の事でナーシャの肩を持ったことを詫びろって⟭
「なんですって!!私を呼び出すなら分かるけどロアンを呼ぶのは筋違いじゃないの!?」
⟬お兄様が肩を持ったことであの状況が落ち着いたしレビア様の顔を潰したと受け取られてもおかしくなかったから… ⟭
令嬢はロアンを呼び出して一体何をする気なの?
まさかメイシーのことを知ってて仲裁に入ったロアンを犠牲にするつもり!?
それとも本当に顔を潰したと怒ってるだけ?
それにしても私を呼ばずにロアンを呼ぶなんてなんてずるい令嬢なの?
「わたしも行くわ!」
ガタンッ少しアイリスの後ろで物音が聞こえる。
⟬ あっ……猫が椅子を倒しちゃったみたい……。もきナーシャが来るときっとそのメイドがレビア様をもっと怒るように仕向けないかしら⟭
「あの時初めに侮辱したのはグランデ公爵令嬢よ?私を呼ばずにロアンを巻き込むなんておかしいわ」
⟬ きっとロアンもナーシャを巻き込むつもりないから……でも今の話を聞いて少し心配だから……わたしがロアンについて行くわ。⟭
「……。確かにロアンはわたしがついて行くのを反対するかもしれない。だけど仲裁に入っただけで呼び出されるなんておかしいわ。絶対に私も着いていかせて?ねぇ?ロアン……聞いてるでしょ?」
ガチャ……
「申し訳ない。聞くつもりは無かったんだが……」
「お義父さま……」
「ナーシャが2人に着いて行くなら私も着いていこう。グランデ公爵とは少し仕事の件で話すこともあったからな。娘が関わったことなら僕の責任でもあるだろう。ロアン。君はそれだったらいいかな?」
ロアンは気まずそうにアイリスの後ろから出てきた。
⟬ ええ……。カルノス公爵さまがついて来て下さるとなれば心強いです。感謝します。⟭
3日後、一緒にグランデ令嬢の元へゆくことを約束し
ラミフォンを切った。
「ナーシャ。悪かった……盗み聞きをするつもりなんてなかったんだが……君の叫び声が聞こえたと秘書から聞いて心配で」
ラミフォンを借りる前もどこかぎこちなく優しい目をしていたけど
今目の前にいるシャンドラは昔のように心配そうに優しい目をしている。
私は許すつもりなんて無いのに、不覚にもお父様が亡くなってからずっとジェノシーに通ってくれていたシャンドラを思い出してしまう。
「いいえ。私だけならきっとロアンにもアイリスにもついて行くことを許して貰えなかったと思います。助かりました。」
"アイツの居場所だけど……ちょっと厄介かもしれない。"
「どういうこと?」
"グランデ公爵令嬢に助けを求めたみたいでメイシーは北のデレスティアの森の奥地のコテージにいる。そこまではいいんだが何やらそこへ呪術師を呼んでボリスと契約しようとしてるみたいだ。"
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"ボリスは人をあやつることが出来る目が4つある悪魔みたいなものよ。あんなのと契約するのは並大抵の人間じゃあ無理よ。だけど万が一成功したら厄介ね……。"
"ああ。話の途中で呪術師は勘がいいのか途中で結界を張りやがってその後のことは分からないが契約する方向でうごいているだろう"
「そのボリスと契約するには……精霊と契約するみたいにリーツを出して召喚するの?」
"ボリスはちょっと違うな。確かにそれなりのリーツとは異なった邪悪な力は必要だが奴らは悪魔に近いから代償を払わなければならない。ボリスは気に入らなければ契約せずに契約者のことを飲み込んで帰っていく。"
「代償……?」
"ああ。簡単に言えば人間の目 とか人間の1部を差し出すのが定番だな。だがそれが老人のものだったりすでに死んだ人間の腕だと ボリスは怒ってそいつを飲み込むだろう。ボリスによって好みは違うらしいからこれが確実とは言えないがな。"
「そう。代償は誰のものでもいいのね…なら狙うのはきっと私ね。」
"かもしれないな。"
「そう……ならメイシーのコテージからメイシーが出てきたらきっとその時が勝負の時ね」
"かもしれないな。召喚するのに時間もかかるだろうから、すぐではないがな。最低でも二・三ヶ月はかかるだろう"
「二・三ヶ月後…その時が来るまでに私も少しくらい戦えるようになりたい。」
"私たちが居るじゃない"
「うん。だけど2人に頼ってばっかりじゃあ嫌なの。私も二人とも一緒に戦える力が欲しい」
"ナーシャ…私たちはあなたの精霊なのよ。あなたのリーツのおかげで私達は力を使えるのよ。だから私達はあなたを守るためにいるの"
「でも……」
"なら俺たちの力は大きい。その分リーツが消費は大きいんだ。ナーシャのリーツは溢れてるとは言っても呪術師もいるとなるとどのくらい力を使うか分からないだろ?ナーシャにはリーツを高めて欲しい"
"そうね……それがいいわ。"
「分かった!2人が私の心配をしなくてもいいくらいに頑張ってみる」
"心強いよ。無理はしないようにな。俺はできるだけメイシーを見張っておくよ。何かあったらなにも気にせずピアスで俺を呼ぶんだぞ"
「頼んだわ…ソランもひとりで無茶はしないでね」
"ああ。"
ソランはメイシーを見張る為に消えていった。
時間も限られてるしルークに連絡を取ってリーツの高め方を教えて貰おう。
でもその前にレビア・グランデ公爵令嬢がメイシーの動きをどこまで知ってるか分からない。けど下手したら令嬢も呪術師と関わりを持っている可能性も否めない。
だとしたらロアンとアイリスにも注意してもらった方がいいかもしれない。
3人で話してたことは知らないはずだけどあのお茶会のこともあったし。
アイリスやロアンと昔から交流があったことが令嬢の耳に届いていたらロアンは私の肩を持っていたと今も恨みに対して感じてるはずだし巻き込まれる可能性もある。
手紙を出してもきっと1週間はかかる。なら直接……
いや、シャンドラに頼んでラミフォンを借りよう。
シャンドラのことを許したわけではないけど……今はアイリスやロアンの安全の方が大切だもの。
______________________
コンコン
私はシャンドラの部屋の前でシャンドラが出てくるのを待つ。
いざ、勢いでシャンドラの書斎の前に立つと緊張する。
けどラミフォンを使うのが1番早いんだもの……。仕方ないんだ。もうシャンドラは暴力を振ることもないと自分に言い聞かせる。
ガチャ
「……ナーシャ!?ここは私の部屋だ……。君がこんな所に……どうしたんだい?」
まさか私が自分からここに来るなんて思いもしなかっただろうなとあんなに緊張していたのにシャンドラの反応に少し笑ってしまいそうになった。
「お義父さま…。バルセ家のアイリスと急ぎでお話したいことがあって……できればその…ラミフォンを貸してもらいたいんです」
「ああ。もちろん。もちろんだよ。ナーシャの部屋にもラミフォンを置くべきだね。今はこれを使いなさい。仕事で使っているものだから侯爵が出るだろうから先にアイリスを呼ぶように伝えよう。少し待ちなさい」
「ええ……ありがとうございます」
シャンドラも少し緊張しているのか動きがぎこちない 。
「侯爵が今アイリスを呼んでくれてるそうだ。直ぐにナーシャのラミフォンを部屋に手配しておこう。私は令嬢と話してる間、部屋を出るとしよう。終わったら部屋の外で待っている秘書に伝えてくれればいい。私は広間で待っておこう」
「ありがとうございます」
⟬ナーシャ様、お久しぶりです♪ナーシャ様からラミフォンが来るなんて嬉しいですわ⟭
「ふふふ。様なんて。もうナーシャでいいの」
⟬ふふ。じゃあ昔のようにナーシャって呼ばして貰いますわ。それにしても今日は急ぎの用があるとか……⟭
「それがね……あのお茶会のあと、メイシーにずっと裏切られてたことが発覚してね……。その後私が倒れてる間にメイシーがグランデ公爵令嬢の元に頼りに行ったみたいなの。そこまではいいんだけど…ほら、この間のお茶会で私と令嬢のやり取りをロアンが止めてくれたでしょう…。グランデ令嬢がもしメイシーからあること無いこと言われて唆されたら2人も危険かもしれないって……」
⟬あのメイド…。ドレスに手を加えてあった日なんだかナーシャの様子がおかしいと思ったらそういう事だったのね!倒れてしまったって……体調は大丈夫?わかったわ。レビア様には気をつける。と言いたいところなんだけど…こんなこと言っていいのかな……。3日後お兄様がレビア様に呼ばれてるの……。この間の事でナーシャの肩を持ったことを詫びろって⟭
「なんですって!!私を呼び出すなら分かるけどロアンを呼ぶのは筋違いじゃないの!?」
⟬お兄様が肩を持ったことであの状況が落ち着いたしレビア様の顔を潰したと受け取られてもおかしくなかったから… ⟭
令嬢はロアンを呼び出して一体何をする気なの?
まさかメイシーのことを知ってて仲裁に入ったロアンを犠牲にするつもり!?
それとも本当に顔を潰したと怒ってるだけ?
それにしても私を呼ばずにロアンを呼ぶなんてなんてずるい令嬢なの?
「わたしも行くわ!」
ガタンッ少しアイリスの後ろで物音が聞こえる。
⟬ あっ……猫が椅子を倒しちゃったみたい……。もきナーシャが来るときっとそのメイドがレビア様をもっと怒るように仕向けないかしら⟭
「あの時初めに侮辱したのはグランデ公爵令嬢よ?私を呼ばずにロアンを巻き込むなんておかしいわ」
⟬ きっとロアンもナーシャを巻き込むつもりないから……でも今の話を聞いて少し心配だから……わたしがロアンについて行くわ。⟭
「……。確かにロアンはわたしがついて行くのを反対するかもしれない。だけど仲裁に入っただけで呼び出されるなんておかしいわ。絶対に私も着いていかせて?ねぇ?ロアン……聞いてるでしょ?」
ガチャ……
「申し訳ない。聞くつもりは無かったんだが……」
「お義父さま……」
「ナーシャが2人に着いて行くなら私も着いていこう。グランデ公爵とは少し仕事の件で話すこともあったからな。娘が関わったことなら僕の責任でもあるだろう。ロアン。君はそれだったらいいかな?」
ロアンは気まずそうにアイリスの後ろから出てきた。
⟬ ええ……。カルノス公爵さまがついて来て下さるとなれば心強いです。感謝します。⟭
3日後、一緒にグランデ令嬢の元へゆくことを約束し
ラミフォンを切った。
「ナーシャ。悪かった……盗み聞きをするつもりなんてなかったんだが……君の叫び声が聞こえたと秘書から聞いて心配で」
ラミフォンを借りる前もどこかぎこちなく優しい目をしていたけど
今目の前にいるシャンドラは昔のように心配そうに優しい目をしている。
私は許すつもりなんて無いのに、不覚にもお父様が亡くなってからずっとジェノシーに通ってくれていたシャンドラを思い出してしまう。
「いいえ。私だけならきっとロアンにもアイリスにもついて行くことを許して貰えなかったと思います。助かりました。」
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