大好きな母と縁を切りました。

むう子

文字の大きさ
22 / 40
第二章

22話

しおりを挟む
私は何も悪いことをしていないというような態度にロアンとアイリスは自分たちのせいでナーシャはレビアに謝って済ませるつもりなのかと困惑している。

「ロアンやアイリスは私とレビア嬢とのやり取りに関係ありませんわ。私たちがアイリスのお茶会を潰したのよ。逆にアイリスには謝るべきかと。」


「なんですって。ナーシャ嬢は私に謝罪しましたのにロアン達には謝らせるつもりがないなんておかしいですわ。第一、あなたがあんな悪役令嬢かのようなドレスを着てるからカルメル令嬢達の事を心配したまでよ。それがアイリス嬢のお茶会を潰したことになるなんておかしいじゃありませんか」

レビアが発言した瞬間公爵の顔が歪んだ。
きっともうこのやり取りに勝ち目がないことに気づいたんだろう。

「ええ。初めに私を悪役令嬢なドレスを着て。と侮辱したのはレビア嬢です。私達の言い合いが大きくなってアイリスに迷惑をかけたのよ。逆に私たちが謝るべきだわ」

「なっ!私はあなたのせ「レビア。謝罪しなさい。」

「へ?お父さま!?」
「聞いていればレビアが先に侮辱したようじゃないか。それなのに令嬢はレビアに心を込めて謝罪しているのだろう。カルノス公爵、そしてバルセ侯爵子息よ、この度はうちのワガママ娘が申し訳なかった…。「お父さま!!私は悪くないわ!だって私はカルノス家に行くたびに令嬢がメイシーを虐めてきたのもしってるのよ!!」

「それとレビアが令嬢を侮辱することになんの意味がある。」
「私はあの優しかったメイシーがいじめられているのが許せなかっ「レビア!!謝ることも出来ないなら部屋に戻ってなさい!!」

あの優しかったメイシー…レビアはメイシーと知り合いだったの?だからこんなに必死で?どうであれこの場はとりあえず解決に向かいそうで少し安心した。

レビアはまだ何か言いたそうにしていたが公爵の護衛達に無理やり部屋を出された。

「いや、本当に申し訳なかった。これは…受け取るべきではないようだ。私は愛娘が侮辱されたと聞いていたがまさか娘が先に令嬢を侮辱していたなんて思いもしなかった。甘やかしすぎたようだ。後で娘からも謝るようにしっかり言い聞かせよう」

「……」
胡散臭い言い訳に返事する気にもならず私は黙りこんだ。
「ははは。その気持ちは分かる。公爵がいてくれてよかった。それで、私がここに来た理由なんだが…」

「ん?この件で来たのじゃないのか?」

「見ての通り義娘は体調も落ち着き元気になった。それに私も親バカではあるがこのとおり、気品に溢れてるだろう?」

「あ…ああ」

「ドルーラ公爵を紹介してもらって悪いが婚約を破棄しようと思う。」
お義父様!?今こんな話をして大丈夫なの?私は少しシャンドラが心配になった。貴族の婚約破棄は大きなニュースになる。場合に乗っては皇帝陛下が仲裁に入ることもあるらしい。

「な…なんだって!?」

「公爵に紹介してもらっておいて悪いが、体調が悪く部屋に籠りがちなナーシャはこのままでは婚約できる相手はいないだろうと紹介してもらったが、見ての通り、義娘はもう体調も悪くなければ友達思いの大事な娘だ。ドルーラ公爵が若い娘を何人も妾していることは私の耳にも入っている。」

「……だが、ドルーラ公爵はそれを認めないだろう!今更婚約破棄するとなるとドルーラ公爵の顔を潰すことになるのだぞ」

「承知の上だ。」

「…だが…いや。この件は1度いい方法がないか私も持ち帰って検討しよう…」

「いや、大丈夫だ。断るには妾の件で十分だろう」
「だが妾なんてそこらの貴族にもいるだろう!?」

「それが普通の妾であれば。の話だろう?それとも私がそんな悪さをして妾を作る公爵に目を潰れと?まあいい。紹介していただいた公爵にはきちんと伝えるべきだと思ってな。今日はこの辺で帰るとするよ。」


グランデ侯爵が悔しそうにしている中、お義父様は「ロアン達にも変な話を聞かせて閉まったね…。さあ、帰ろう」
と誰にも何も言わせまいと言わんばかりに屋敷を出た。

この流れで婚約破棄を堂々と伝えるなんて誰も思うはずもなく堂々と歩くシャンドラの後ろを3人は呆然としながら歩いた。
 

「ロアン、アイリス、今日はありがとうね」

「いいえ、何も言えずにごめんね。私達…ナーシャが謝るなんて思いもしなくて…」
「僕たちの方が助けられたよ。ナーシャ…ありがとう。本当なら僕たちが庇うはずだったのに」

「ふふふ。そうよね。私も初めは謝るつもりなんてなかったのよ。」

それから少しお義父様と向かう途中でどうするか話し合って
「それでだったのね。公爵もナーシャも凄くかっこよかったわ!私たちのことも…庇ってくれてありがとう」

「ふふ。こちらこそありがとうね。2人が令嬢にムカついてる顔を見て不謹慎だけど嬉しかったわ。じゃあ、また会いましょう」



後ろを向き馬車に乗り込もうとするとロアンに腕を捕まれた。
「ナーシャ、君が婚約破棄になるって目の前で聞けて嬉しかったよ。僕…待ってるから」

「ロアン……」
子供の頃結婚する!と言い切るくらい大好きだったロアン。
だけど前日にルークとダンスを踊った時間が頭に過ぎり複雑になる。
ロアンは私が返事に困っていることに気づいたのか
「待ってるは重たかったかな。もし、ナーシャに好きな人が居たとしても僕は2年以内にナーシャに釣り合う男になるから。」

そう言ってエスコートしてくれて馬車に乗り込み2人と別れた。

「ナーシャ。さっきの件だけど婚約破棄には少し時間はかかるだろう。だけどなんとしてでも必ず婚約破棄に持っていこう。」

「…ありがとう。だけどグランデ公爵が仲介だったのね。」

「ああ。ナーシャは部屋にいたから知らなかっただろうがよく仕事の付き合いで屋敷に来ていたからね。…体調が悪いと常々誤魔化してレビア令嬢に会わせなかった。それである時ドルーラ公爵を紹介されたんだ。初めはどんなに性格の悪い義娘でも流石にドルーラ公爵は…と思って断ったんだがメイシーからお金さえあれば何でもいいとナーシャが言っていたと聞いて決断したんだ。」

「令嬢も私がメイシーを虐めていたと思っていたものね…」

「ドルーラ公爵が来たあの時、少し違和感を感じたが、唆された僕は自分がいいと言ったのに何故わざと焦らすんだ。キミはどこまで性格が悪いんだ。と思ってしまった…。」


「……」

「今はもうさすがにナーシャは友達思いで、相手の気持ちを考えすぎるところがあることに気がついている。あの頃は正直言い訳に聞こえるが寝不足もあってメイシーの言うことに説得力があるように感じて鵜呑みにして君が歪んで見えていたんだ。何度も言うが「もう謝らないで。今日はお義父様に助けられました。婚約破棄の事も…無理をしてでも伝えてくれてありがとうございました。お義父様には誠意も感じますから。」

「…本当に…申し訳なかった…」

さっきまで公爵に堂々と言いたいことを言っていたお義父様が目を逸らし外を眺めているフリをしているけれど涙ぐんでいるのが分かる。
私もそれに気が付くとなんとなく気まづくてそっと目を逸らした。
そのあとは「せっかく似合うそのドレスだが、念の為着替えてマカロンでも食べてから帰ろう」
と可愛いドレスを買ってもらい、街で1番のマカロン屋さんでマカロンを沢山食べて、帰ってからも食べれるようにとお土産も用意してもらって帰った。


___________

「おかえりなさい!!心配したのよ?遅かったわね…。何も無かった!

「レアロナ、きっとナーシャも疲れてるだろう。私から話そう。ナーシャは部屋へ戻りなさい」

「まあ…ナーシャからも聞きたかったのに!」

「はは。ナーシャは今日は頑張ったんだ。食事の時にでもゆっくり話せばいいよ」

と部屋へ返してくれた。

今日は朝イチに目覚めたから少し眠気もありお義父様の言う通り疲れてたから部屋に返してくれて助かった。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

処理中です...