大好きな母と縁を切りました。

むう子

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第二章

24話

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今日からルークにリーツを高めるために付き合ってもらう日!
頑張らないと!!

お母様にも違和感があるし、朝食を食べたら抜け出そう。その方が気が楽だし、お昼まで抜けて昼食を食べたらまた抜け出したらいいわ。

朝食を急いで食べて部屋に戻り鍵を閉めた。

「ティエラ!そろそろルークの所へ行きましょう♪」

"オーケー!"

ルークとの待ち合わせはジェノシー。
久しぶりのジェノシー。お父様と過ごしてきたジェノシーにこんな形で帰ることが出来るなんて思いもしなかった。
今頃はキャレンディスの花が沢山咲いて、紫の絨毯が出来ているはず。
キャベンディスは景色はもちろん紫色の小さなお花で料理や薬草色んなことに使われている。

"着いたわ…"

「…ここが…ジェノシー?何故こんなことになってるの」

"…こんなに荒れ果ててるとは…"

広がる綺麗なキャレンディスの絨毯とは反対に街の平民たちは服もボロボロになり痩せこけている。
痩せこけた女の子がこちらに向かってくる。
「綺麗なお姉さん…宿をお探しですか?……だめ…お腹すきすぎて」女の子はヘロヘロと座り込んだ。

「…今は…食べ物を持ってないの。少し待っててね?」

近くのパン屋さんを見つけお店の中に入った。
だけどお店の中もパンは少ない。

「ご主人…ジェノシーは8年前は栄えた街でした…一体何があったのですか?」

「ああ。3年くらい前までは栄えていたな。どこぞの公爵だかがここに来て、初めは事業提案にきたんだ。ここの収入源になっているワイン工場で作られるジェノシーでしか作れないワインの味を広げたいと。
初めは上手くいったようだが…引き継いだ領主さんが違法カジノに誘われて、全て使い込んだらしい。工場すら引き取られこの街の金はなくなったんだ。挙句の果て神が私たちを見捨てたのかなぜだか葡萄や小麦まで育たなくなって1年前から平民達は皆このザマだ。」


「そんな……。」



領主……叔父様が…お父様の代わりに引き継いだのよね。
叔父様は今どうしてるの……。

「お嬢さん、今買ったパンですら、今や皆羨んで欲しがるだろうよ。外に出たら気をつけなさい」
パン屋の主人は心配そうにしながらパン包んでくれた。
パンを買ってもらうためとはいえきっと貴族を恨む気持ちはあるだろうにそれでも心配してくれる主人はきっと人がいいはず。

「いいの。これは外で待ってる小さな子にあげるために買ったパンなの。もし良ければ全て購入してもいいかしら…みんなに配ってあげて欲しいの」

「す…全てですか!おおお、もちろんですとも!ありがたい限りです。生活のために日の経ったパンですら街のみんなに配ることは出来ませんから…。」


今出来ることはこれくらいしかないけれど涙ぐんでお礼を言うパン屋の主人にとりあえず念の為に持ってきていた10万デルを払い飢えてる人達にパンを配るように頼み、子供に渡すためのパンだけ受け取り外に出た。


「おまたせ、このパン持って帰って家族で食べて?」

「…家族はいないの」

「どういうこと?」

「お母さんは病気で死んじゃって…パパはお姉ちゃんを連れてどこかへ行っちゃったの」

「…じゃああなたははどこに住んでいるの?」

「私は捨てられたから……近くの宿屋でお手伝いしてるの。だけどご飯はなかなか食べられなくて」

「…そうだったの…。あなた名前はなんて言うの?」

「アーシュ…」

「アーシュ、じゃあここで食べれるだけ食べて、その宿にお客さんを連れて行ったらアーシュはご飯が食べられるのね。ちょうど宿を探してたのよ」
宿なんか探してないのにアーシュが可哀想で思わず嘘をついてしまった。


「でもそんなにいい宿じゃあないよ…いいの?」

「ふふ。そんなの関係ないわ。大丈夫よ」

アーシュはご飯もなかなか与えられずに働かされているはずなのに私のことを気遣ってくれる。
ジェノシーはどんなに荒んでも…なかなか人がいいのは変わらないのね。

「ナーシャ!」

「あっルーク」

「ジェノシーの様子は変わり果ててるし、ナーシャが無事か心配したよ。てっきりキャレンデスの絨毯にいるかと思ってたのに」

そうだった…私と待ち合わせでルークに必ず見つけるから思い出の場所で待っててね。って言ったんだった…。

「ごめんなさいっ街の様子が気になって」

「いや、僕も着いてすぐに様子がおかしいと思って来てみたんだ。ん?この子は?」

「この子はアーシュ。今からこの子に宿の案内をしてもらうの」

「宿!?」

「ええ。アーシュはその宿で住み込みで働いてる女の子らしいの。だから…」

「なるほどね。僕もじゃあその宿を借りよう。アーシュ、2部屋あいてるかな?」

「うん!」

アーシュは私達を案内してくれた。
外観は昔から変わらずそれなりの宿だけど中はお客さんも居なければ掃除も行き届いておらず、掃除婦や雇われているメイドは1人もいない…。

「おばさん…お客さん連れてきたよ」

「お客さんだって?これまた珍しい。こんな所で良いんですか?」

「えぇ。アーシュに教えて貰って来たの。1ヶ月程ですけど2部屋借りられるかしら」

「もちろんですとも。今お部屋を用意しますんで少々お待ちください。アーシュっ1部屋頼んだよ」

「はーい。お姉さんちょっとまっててね」

「ええ待ってるわ。」

アーシュはもっと酷い扱いを受けているように思っていたらそんなことは無く宿主はアーシュよりも痩せこけていた。
それなのにアーシュに優しい宿主に関係が悪い訳では無いようでほんの少し安心した。
だけどジェノシーがこんなに酷くなって…そのワイン工場を買い取った公爵っていったいどこの誰なのかしら…。

付けていたネックレスを渡し、昼過ぎにでも12万デル持ってくると伝えそれからは部屋を2つ案内してもらった。


リーツを高める為に来たのにもう後2時間で昼食の時間…
部屋に案内してもらった後は、アーシュに出かけて来るねと伝え、ルークと2人でキャレンディスの絨毯でリーツを高める方法を教えてもらうことになった。

「リーツの高め方なんだけど…ナーシャは目を閉じた時に大きな壺が見えたことある?」

「壺?」

「そぅ。壺」

「"ナーシャは僕が引っ張ったから精霊召喚せずに契約したし見た事ないかもね"」

「ウィン。久しぶりね」

「"ナーシャ!久しぶりだね!ジェノシーがこんなになっていたなんて知らなかったや"」

「私たちもよ。自分の住んでた街がどこかの公爵のせいでこんなになってたなんて…。ルーク、私壺はまだ見たことがないわ…」

「そうか…じゃあ今、目を閉じて壺を見つけてみて」

「壺ね。分かった」

壺…壺………

「…普通な壺しか想像出来ないわ」

「はは、少し安心したよ。僕もそうだったよ。本来はね契約する前に、光を探すんだ。僕は願って緑色のひかりを見つけて、その奥の壺を見つける。したらその壺をリーツ…ピンク色の液体で溢れさせないといけないんだ。

次ね、リーツを溢れさせるには…ツボが見えたら…心を真っ白にするんだ。精霊属性の光無くしてただ壺の中だけに集中する。

その壺の中の大きさも人によって違うらしい。
けど大きければ大きいほど、溢れれば溢れるほどリーツが高まる。

僕は元々大きなツボは見つけられたんだけど壺いっぱいに貯めれてもなかなか溢れさせられなかったんだ。
だけどどうしても溢れさせて良い精霊と出会いたくてふと思い出したんだ。
ナーシャの持ってた絵本に召喚するために陣が書いてあっただろう?そこでまた調べてみたらその陣は召喚するためじゃなくてリーツを高める為の陣だったんだ」

「陣を書いてその上で壺の中のリーツを溢れさせるのね…」

「陣は毎日僕が書くから安心してね。僕もそのボリスとやらが召喚されないようにそのときた戦う為に一緒にリーツを高めよう。まずはツボを探してみて」

「ありがとう!頑張ってみるわ」

"ナーシャそろそろ昼食の時間じゃない?"

「あっまずいっ1度うちへ帰らないと!!ごめんねルークすぐ戻ってくるから…」
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