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第二章
35話
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令嬢はメイシーに使われてただけ。
公爵はラベルとも連絡がつかない。
なら2人だけで手を組んでるということ?
何にしてもグランデ家は使われているだけだったとは……。
「令嬢、強がっていては愛は伝わりませんよ」
「……」
令嬢は涙ぐみながら少し顔赤らめそっぽを向く。
「ふふふふ令嬢がこんなにも可愛らしいお方だったなんて思いもしなかったわ」
ロアンを無理やり連れていったことにはまだ怒っている。
だけどこれ以上は責められないから1度場を和ませることにした。
「まあ、何も知らなかった令嬢まで代償として捕まらなくて良かったわ。ロアンを捕まえられなければ最悪の場合令嬢が代償として使われてたはずよ」
「…ごめんなさい…… ロアン様が代償として捕まってしまうなら私が代償になれば良かったわ…。」
そう言いながら外を向き肩を落とすレビア。
「そう思うなら私たちに協力してください。」
「もちろんです。ロアン様がこのまま代償になってしまうなんて考えたくありません…。」
私はそっと頷き、みんなの方を向き今後についてどうするか話し合うことにした。
「結界って、レビア嬢が入ってレビア令嬢に向かってワープする事とかできないのかな?」
「ああ…それをするにはスパイ用に使う魔法石を使わないと入れないな…。僕は1つ持っているがもうひとつなければ……だがこればっかりはどこの騎士も貸し出すのは抵抗するだろうな。」
スパイ用の魔法石…。
普段は青く光る魔法石。それを皇帝側の呪術師の力を加え潜入捜査時に使えるように作り替えられたものだった。
「あ……!」
レビア令嬢がハッとしたように
「令嬢!何かありましたか!?」
「いえ。青紫の魔法石を1度屋敷でお父様が触っているのを見た事がありますの」
「公爵が?」
ルークは不思議に思っているようだった。
「ええ…お父様の部屋に白い金の模様のある箱がありますの。その中に1つあるはずです。」
「…令嬢。令嬢の前で話すのは失礼かもしれませんがお聞きください。あの魔法石は…皇室が僕たち騎士の内、信用出来るもの達に何かあった時のために潜入捜査として配るものです。なのでそれを持つ者はそんなに多くはありません。公爵様がお持ちだというのは……」
公爵の悪事を隠すためにその騎士が捕まった。もしくは殺された時だけに手に入るということ…。
「………お父様が…お父様が悪事を謀ったことがあるのかもしれません…。ですが今はそんなこと言ってられませんわ……」
「確かに今は問い詰める時間なんてないな…。よし。僕が取りに行こう。令嬢、案内してくれるかな?」
「もちろんですわ…」
「このワープ石を使うといい。」
「公爵!感謝致します。」
そういうとスっとルークとウィンとレビア令嬢が消えた。
令嬢は公爵がそんな石を持っていることで爵位を失う可能性がある事を覚悟したように見えた。
令嬢と私は色々あったけど令嬢は騙されていただけで実際レビア令嬢に慕う令嬢たちは沢山いたし今、本来の姿を見て少し心が痛む。
今回の事でレビア令嬢に皇帝陛下が公爵を追放されるのには違いない。その時にレビア令嬢に爵位継承を考えてくれるといいけど…。
「ナーシャ。今のうちに少し眠りなさい。」
「え?お義父さま?」
「今朝からずっと動いてるのだろう?」
「でもルーク達が魔法石を取りに行ってる間に眠るなんて出来ないわ」
「君は、みんなが戻ってきたら今までにない程にリーツを消費するだろう?少しは体力を貯めておかないといけないよ」
「そうね。私とソランの力を今まで以上に使うんだから体力を食うはずよ。少し眠った方がいいと思うわ。ルークやウィンもそう願ってるはずよ"」
「ああ。眠れないなら俺たちが包んでやるよ"」
そういうとスっと大きな猫の姿に戻った。
みんなに言われ少し悩んだもののきっと反対しても眠れと言われるだろう。
「……分かりました。じゃあ少しだけ…」
______________________
その頃、ルークとレビア令嬢は
「…お父様はきっと部屋にいるはずですわ。1度私だけで部屋に行こうと思います」
「分かった。厳しいと思ったらすぐに呼ぶんだよ。」
「はい…。」
「ウィン、令嬢についていってくれるか?」
"了解!"
コンコンッ
「お父様…こんな遅くにごめんなさい」
少し周りを見渡すが白い箱が見当たらない。
あれ?どこにやったのかしら…。
「ああ。どうした?もうすぐ眠ろうと思っていたところだ」
「お父様…私がロアン様に慕っていると1度お伝えしたと思いますが…」
「またその事か。一人娘のお前には婿養子が必要だからそれは難しいと言ったであろう。あのシスコン子息は養子になんぞならずに妹の帰る場所を作るために自分の家の家紋を守るだろう。それに寄りによって自分より下の身分の人間に。第一レビアもそれをわかった上でこの間は子息に謝罪を要求したのでは無いのか。」
そう言いながら公爵は引き出しを開きメガネをかけ書類を出し始めた。
…あった!まさか引き出しの中にあったなんて…。
「それは…ナーシャはメイシーを虐めてる悪女なのにナーシャの味方をしたからでしょう?お父様も知ってるじゃない。」
「どっちにしても、大事な娘にあの侯爵には釣り合わない。前から言ってるであろう。あまりにしつこいようなら私にも考えがあるぞ」
「あ、その白い箱…」
「ああ~。そういえばレビアは昔からこの石を気に入っていたな?見るだけならいいぞ。それで気が落ち着くならな」
「本当!?」
「そのかわりあの子息のことはもう口に出すな。」
「…分かりました。ならこの石を貰えませんの?」
「それはダメだ!!」
公爵は急に慌て出した。公爵がどこぞの騎士に手を出したからこそ手に入れた石を娘に持ち出されればそりゃあ困るだろう。公爵は焦りながらも言い訳を始めた。
「こ…これは昔から言い伝わる我が家の大事なものだからな。レビアが結婚して、この家を継ぐことになればこれが大事なものだと分かるはずだ」
そう。これをどこかに捨てることも出来ない。
簡単に壊れることもなく、壊そうとすれば皇室へ石が反応するようになっている。
そして万が一のために石には映像記録が残るため公爵がしでかしたこともすぐにバレるだろう。
これを令嬢が何も知らずに持ち出せば公爵は騎士に手を加えたことが皇族にばれ爵位剥奪だけでは済まないからな。
「…そんなに大事なものなの?」
「ああ。そうだ。」
「お父様…ごめんなさい!!」
"ウィン!!"
ウィンは石を持っているレビア嬢を風に巻き込み扉の外へ出たと共にルークはワープ石で宿屋へ戻った。
「ルーク様…ありがとうございます」
「いや、レビア令嬢も公爵相手に頑張りましたね」
「いえ…私のせいでロアン様がどんな目に合うか分かりませんから…今はお父様がしでかしたおかげでこの石が手元にあるとも言えますがお父様のしでかしたことはお父様が責任を取るべきですわ。」
ただの我儘令嬢だと思っていたが芯は通った人間だったんだな。まあそうでなければ令嬢派の人間はもっと少なかったはずだろうとルークと公爵は同じことを考える。
「何がともあれ3人とも無事で良かった」
「令嬢の勇気に感謝しかありません。僕とウィンは令嬢の合図に動いただけですから」
「さすがだ。公爵の身に何が起きてもこの魔法石が令嬢の味方になるだろう」
「……ええ。そう願いますわ」
「よし。レビア令嬢…もうひと頑張りできるかな?」
「もちろんですわ!」
「よし。では石を隠し令嬢の手首を少し縛らせてもらうよ。そしてすぐ治すと約束する。だからもう一度腕と肋骨に怪我をして貰ってもいいかい?」
「馬車の落下で怪我をするのに不自然な怪我があったらおかしいわ。私がやるわよ。いい?令嬢"」
「…もちろんです。」
「そのまえに痛みを止める魔法をかけよう。これは本来寿命や手遅れの方に最大限苦しまずに死ねるようにかける魔法だから腕は上がらないままだが完全に痛みは和らげるだろう。」
「公爵様…ありがとうございます」
「君はロアンを連れ出した令嬢として私たちに捕らえられた人間だ。純粋にメイシーを信じ、ロアンの元へ帰ろうとする。気を失っていたが起きるとナーシャが倒れてその隙に逃げ出したと言いなさい。」
「分かりました。」
公爵はラベルとも連絡がつかない。
なら2人だけで手を組んでるということ?
何にしてもグランデ家は使われているだけだったとは……。
「令嬢、強がっていては愛は伝わりませんよ」
「……」
令嬢は涙ぐみながら少し顔赤らめそっぽを向く。
「ふふふふ令嬢がこんなにも可愛らしいお方だったなんて思いもしなかったわ」
ロアンを無理やり連れていったことにはまだ怒っている。
だけどこれ以上は責められないから1度場を和ませることにした。
「まあ、何も知らなかった令嬢まで代償として捕まらなくて良かったわ。ロアンを捕まえられなければ最悪の場合令嬢が代償として使われてたはずよ」
「…ごめんなさい…… ロアン様が代償として捕まってしまうなら私が代償になれば良かったわ…。」
そう言いながら外を向き肩を落とすレビア。
「そう思うなら私たちに協力してください。」
「もちろんです。ロアン様がこのまま代償になってしまうなんて考えたくありません…。」
私はそっと頷き、みんなの方を向き今後についてどうするか話し合うことにした。
「結界って、レビア嬢が入ってレビア令嬢に向かってワープする事とかできないのかな?」
「ああ…それをするにはスパイ用に使う魔法石を使わないと入れないな…。僕は1つ持っているがもうひとつなければ……だがこればっかりはどこの騎士も貸し出すのは抵抗するだろうな。」
スパイ用の魔法石…。
普段は青く光る魔法石。それを皇帝側の呪術師の力を加え潜入捜査時に使えるように作り替えられたものだった。
「あ……!」
レビア令嬢がハッとしたように
「令嬢!何かありましたか!?」
「いえ。青紫の魔法石を1度屋敷でお父様が触っているのを見た事がありますの」
「公爵が?」
ルークは不思議に思っているようだった。
「ええ…お父様の部屋に白い金の模様のある箱がありますの。その中に1つあるはずです。」
「…令嬢。令嬢の前で話すのは失礼かもしれませんがお聞きください。あの魔法石は…皇室が僕たち騎士の内、信用出来るもの達に何かあった時のために潜入捜査として配るものです。なのでそれを持つ者はそんなに多くはありません。公爵様がお持ちだというのは……」
公爵の悪事を隠すためにその騎士が捕まった。もしくは殺された時だけに手に入るということ…。
「………お父様が…お父様が悪事を謀ったことがあるのかもしれません…。ですが今はそんなこと言ってられませんわ……」
「確かに今は問い詰める時間なんてないな…。よし。僕が取りに行こう。令嬢、案内してくれるかな?」
「もちろんですわ…」
「このワープ石を使うといい。」
「公爵!感謝致します。」
そういうとスっとルークとウィンとレビア令嬢が消えた。
令嬢は公爵がそんな石を持っていることで爵位を失う可能性がある事を覚悟したように見えた。
令嬢と私は色々あったけど令嬢は騙されていただけで実際レビア令嬢に慕う令嬢たちは沢山いたし今、本来の姿を見て少し心が痛む。
今回の事でレビア令嬢に皇帝陛下が公爵を追放されるのには違いない。その時にレビア令嬢に爵位継承を考えてくれるといいけど…。
「ナーシャ。今のうちに少し眠りなさい。」
「え?お義父さま?」
「今朝からずっと動いてるのだろう?」
「でもルーク達が魔法石を取りに行ってる間に眠るなんて出来ないわ」
「君は、みんなが戻ってきたら今までにない程にリーツを消費するだろう?少しは体力を貯めておかないといけないよ」
「そうね。私とソランの力を今まで以上に使うんだから体力を食うはずよ。少し眠った方がいいと思うわ。ルークやウィンもそう願ってるはずよ"」
「ああ。眠れないなら俺たちが包んでやるよ"」
そういうとスっと大きな猫の姿に戻った。
みんなに言われ少し悩んだもののきっと反対しても眠れと言われるだろう。
「……分かりました。じゃあ少しだけ…」
______________________
その頃、ルークとレビア令嬢は
「…お父様はきっと部屋にいるはずですわ。1度私だけで部屋に行こうと思います」
「分かった。厳しいと思ったらすぐに呼ぶんだよ。」
「はい…。」
「ウィン、令嬢についていってくれるか?」
"了解!"
コンコンッ
「お父様…こんな遅くにごめんなさい」
少し周りを見渡すが白い箱が見当たらない。
あれ?どこにやったのかしら…。
「ああ。どうした?もうすぐ眠ろうと思っていたところだ」
「お父様…私がロアン様に慕っていると1度お伝えしたと思いますが…」
「またその事か。一人娘のお前には婿養子が必要だからそれは難しいと言ったであろう。あのシスコン子息は養子になんぞならずに妹の帰る場所を作るために自分の家の家紋を守るだろう。それに寄りによって自分より下の身分の人間に。第一レビアもそれをわかった上でこの間は子息に謝罪を要求したのでは無いのか。」
そう言いながら公爵は引き出しを開きメガネをかけ書類を出し始めた。
…あった!まさか引き出しの中にあったなんて…。
「それは…ナーシャはメイシーを虐めてる悪女なのにナーシャの味方をしたからでしょう?お父様も知ってるじゃない。」
「どっちにしても、大事な娘にあの侯爵には釣り合わない。前から言ってるであろう。あまりにしつこいようなら私にも考えがあるぞ」
「あ、その白い箱…」
「ああ~。そういえばレビアは昔からこの石を気に入っていたな?見るだけならいいぞ。それで気が落ち着くならな」
「本当!?」
「そのかわりあの子息のことはもう口に出すな。」
「…分かりました。ならこの石を貰えませんの?」
「それはダメだ!!」
公爵は急に慌て出した。公爵がどこぞの騎士に手を出したからこそ手に入れた石を娘に持ち出されればそりゃあ困るだろう。公爵は焦りながらも言い訳を始めた。
「こ…これは昔から言い伝わる我が家の大事なものだからな。レビアが結婚して、この家を継ぐことになればこれが大事なものだと分かるはずだ」
そう。これをどこかに捨てることも出来ない。
簡単に壊れることもなく、壊そうとすれば皇室へ石が反応するようになっている。
そして万が一のために石には映像記録が残るため公爵がしでかしたこともすぐにバレるだろう。
これを令嬢が何も知らずに持ち出せば公爵は騎士に手を加えたことが皇族にばれ爵位剥奪だけでは済まないからな。
「…そんなに大事なものなの?」
「ああ。そうだ。」
「お父様…ごめんなさい!!」
"ウィン!!"
ウィンは石を持っているレビア嬢を風に巻き込み扉の外へ出たと共にルークはワープ石で宿屋へ戻った。
「ルーク様…ありがとうございます」
「いや、レビア令嬢も公爵相手に頑張りましたね」
「いえ…私のせいでロアン様がどんな目に合うか分かりませんから…今はお父様がしでかしたおかげでこの石が手元にあるとも言えますがお父様のしでかしたことはお父様が責任を取るべきですわ。」
ただの我儘令嬢だと思っていたが芯は通った人間だったんだな。まあそうでなければ令嬢派の人間はもっと少なかったはずだろうとルークと公爵は同じことを考える。
「何がともあれ3人とも無事で良かった」
「令嬢の勇気に感謝しかありません。僕とウィンは令嬢の合図に動いただけですから」
「さすがだ。公爵の身に何が起きてもこの魔法石が令嬢の味方になるだろう」
「……ええ。そう願いますわ」
「よし。レビア令嬢…もうひと頑張りできるかな?」
「もちろんですわ!」
「よし。では石を隠し令嬢の手首を少し縛らせてもらうよ。そしてすぐ治すと約束する。だからもう一度腕と肋骨に怪我をして貰ってもいいかい?」
「馬車の落下で怪我をするのに不自然な怪我があったらおかしいわ。私がやるわよ。いい?令嬢"」
「…もちろんです。」
「そのまえに痛みを止める魔法をかけよう。これは本来寿命や手遅れの方に最大限苦しまずに死ねるようにかける魔法だから腕は上がらないままだが完全に痛みは和らげるだろう。」
「公爵様…ありがとうございます」
「君はロアンを連れ出した令嬢として私たちに捕らえられた人間だ。純粋にメイシーを信じ、ロアンの元へ帰ろうとする。気を失っていたが起きるとナーシャが倒れてその隙に逃げ出したと言いなさい。」
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