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vs. 王族あんど……。

いらっしゃいましたよ。

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セリス伯爵の街屋敷に向かうにあたり、ブランシェット侯爵は。
明日王都に入りますよーって時に、思い出したよーにぐだぐだと。

「ね、コーラル。やっぱり侯爵家うちにおいでよー」

って言い出した。

あー、もー。
いや、だからさ?
何が楽しくて、あの色ボケ百花繚乱バカな後妻がこっちにナニかしてやろう……って、てぐすね引いて待ち構えているところにノコノコと出て行かなきゃならんのさ。
まさに、飛んで火に入るナンとやら、イコールバカじゃないの? ってヤツだ。

どっちみち上の許可が出たら、すぐに王城へ向かう事になるんだし。
無理しなくても多分、その時あたりに侯爵の関係者──ブランシェット侯爵家の人々と顔合わせる事になるんじゃね?



セリス伯爵の街屋敷は、なかなか素敵な建物だった。
ムダな装飾は無く、品良くまとめられている。
庭の方もキレイに整えられた、いいカンジの庭だ。
……ただ、ちょっと狭いかな?

感心する目じゃなくて、観察する目で見ていたら。

「お帰りなさいませ、旦那様」

シブいカンジの低音ボイス。
振り向くと。

わー。
いかにもお屋敷付きの執事ってカンジの、いわゆる一つのロマンスグレーな片眼鏡のじーさま……っつか。
老紳士が、黒の燕尾服をビシッと着こなして、玄関の扉を開けて立っていた。
その左右には、黒いワンピースに白いエプロン、ヘッドドレスのメイド逹。
それと黒いお仕着せの従僕逹が並んで立っている。

うーん……。
黒いワンピースは、グロリアの物と似てるし、黒いお仕着せはアレクと同じだ。
メイド逹も従僕逹も、若いのから年食ったのまでよりどりみどりで揃えているな、うん。

で、その黒服の老若男女が声を揃えて言うワケだ。

「お帰りなさいませ、旦那様、お嬢様。いらっしゃいませ、お客様」

そう言って、深々とお辞儀するんだが。
何の合図も無しで、いっせーのせっ、でお辞儀するのスゴいね。

あとツッコミどころとしては、お嬢様って私のコトか?
そんな呼び方してるクセに、地味~にチクチクと観察する目を向けてくる。
気持ちは分からんでもないが、そーゆー感情はもーちょっと密かに向けるべきじゃないか?
お貴族サマの使用人だーって言うんならさ?

バレバレのマイナス感情。

笑うしかないよね。










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