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4 珍味実食倶楽部

4 褒美って

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「あっ、ぁあああ! ……やっ、ゆーくん、こんなところ、じゃ、……ダメだって、ば……あああん!」

 思い切って、ひときわ甲高い嬌声を上げてみた。
 すると、扉は逃げるように閉まった。
 向こう側でヒソヒソと言い合う声が聞こえたけど、気にしない。
 ボクはさらに呼吸を荒げてみる。

「あっ、あ……、ゆぅ、くん、そんなに激しくっ! あっ! や、そんなにっ、そんなに、舐めちゃ……!」

 自分の指をくわえ、舌先で舐めまわした。ぴちゃぴちゃと淫らに水音を立ててみる。

「やだ、よぉ……あ、アア、ン!」

 喘ぎ声――しかも男の――が聞こえる部屋に怒鳴り込んでくる猛者はいないだろう。
 ボクの目論見通り、しばらくすると足音は遠ざかっていった。




「……ふぃー」

 とりあえず、危機は脱したようだ。

「もういいよ」

 と、膝掛けを剥いだ。
 ボクの下半身にしっかりと顔を埋めた彼は、なぜかぴくりともしない。

「あのー、もういいんですけど」

 ボクのほうから強制的に起き上がろうとしたところで、ぐっ、と太腿を掴まれた。彼はそのまま首を左右に動かし、すりすりすりすりと頬ずりしてくる。

「あの……」
「見事だ」
「へ?」
「なんと美しい」
「そりゃ……どうも……」

 なんとなく空気の流れがおかしい。

 普通の男なら男の股間に顔を埋めてまじまじと観察したり、触ったり、すりすりしたりしない。こんなにも冷静でいられるわけがない。

「出会ってすぐに私を楽園へ誘い込んだのは、お前が初めてだ」

「まあ、これしか手がなかったっていうか……ってか楽園て」

「褒美をやろう」

「え?」

 まさかさっきの菓子のせいで彼も発情してしまったのだろうか。
 そんな、まさか――。
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