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第一章

1-6(※)

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 コマ送りのような記憶の中で彼の困った顔が見えた気がした。でも、今は違う。



 これまでの欲求不満を満たすように、柔らかな唇にむしゃぶりついていた。熱いのは私の唇なのか、それとも彼の熱なのかはわからない。全てが混ざり合ってしまうくらい情熱的な口付けに、とけきった脳は考えることを止めている。このまま食い千切ってしまいたいという衝動に襲われながら吸い付いている彼の下唇は優しく、腰に添えられている大きな手は私を宥めるように上下を繰り返している。

「んんっ、はっ・・・んむ」

 薄暗い室内で表情なんてわからないし、そんなこと気にしていられる程の理性は残っていなかった。

 次に意識が戻ったときには、私の身体はベッドに仰向けで数年ぶりに男性を見上げるアングルに雌が滾って仕様が無かった。パーカーを着たままの彼と、既に下着姿の自分に羞恥心などわかなかった。ただ、全身のあらゆるものが彼というフェロモンに反応し立ち上がっているのがわかる。彼が身を動かせばズレるシーツに背中が愛撫されているようだった。見下ろしてくる瞳が、先程まで貪り付いていた唇が恋しくて仕方がない。

「××××っ」

「××××」

 なんと言ったかわからない。きっと私の口だって上手くまわっていない。それでも全身で彼を求めていたことだけはわかる。

 意識が戻ったとき、隣に寄せられた彼の顔はぼやけていてよく見えなかった。身体を締め付けるものはもう何もなくて、生まれたままの姿で腕枕をされていた。ただ腕枕をされているのではなく、全身には甘い痺れが走っている。

「あっ、ああぁ」

 腰を捩りながら与えられる快楽に耐える。日頃触り続けた結果敏感になっている秘豆に、彼の指がぬるぬると円を描くように動いていく。とんがったそこは指から逃げるようにぷるぷると揺れながら、もっとしてとひくついている。

「うっ、んん・・・きもちっぃ」

 自分でするときよりも、ずっと気持ちよかった。思い通りに刺激してもらえないもどかしさと、自分だと怖くて止めてしまう快感も彼は容易に超えてくる。腕枕している手の先が快感に喘ぐ私の首筋をゆるゆると撫で、むず痒い刺激に喜びの声が止められないのだ。こんなこと初めてで、高まっていく身体に名残惜しささえ感じる。この時間がもっと続いて欲しいのに、気持ちとは反対に果ててしまいそうで太ももが小刻みに震え続けている。至近距離から感じる彼の視線に、私の反応は全部お見通しなんだろう。はっはと犬のように短い呼吸に、「あ、あ、あ」と馬鹿みたいな悦声が止まらない。

「いく?」

 沈黙を守っていたはずの彼の低く掠れた声に、ぐぐぐと高まる快感に思わず膝を閉じる。

「足開いて」

 耳元で呟かれれば、一種の刷り込みのように従う身体。開かれた足の間で再開される愛撫に、背中が仰け反ってしまうが足は閉じない。皮からしっかりと顔を出した淫らな秘豆を、優しくぬめる指の腹で上下に刺激される。単調な動きとは反対にどんどん増していく快感に、昇りつめた快楽で身体をガクガクと震わせた。声にならない快感を、人から与えられる心地よさに意識が遠退いていく。シュウとするひとりえっちを超えた快楽を知ってしまった身体は、ただただ喜びに震えていた。


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