Sランクの男は如何でしょうか?【R18】※番外編更新中

キミノ

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第2章

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「__あれ? 社長、おかえりなさい。どうしたんですか? 凄く・・・悲しそうです」

   物音で沙也加は目覚めると、目をこすりながら体を起こした。


「___見当違いだ」

 長い前髪をかき上げながら色っぽく視線を伏せる姿も、酷く悲しそうに見えた。けれど触れてはいけない空気に、沙也加は口を噤んつぐんだ。何か言わなければと視線を彷徨わせると、ラップの開いたお椀が目に入る。


「あ・・・お味噌汁」

「あぁ、喉が渇いていたから仕方なくな。具のない味噌汁なんて初めてだ」

「__ふふ。お味噌汁は逆に喉渇きませんか? それに冷蔵庫に何も無いんです。どうしようもありませんでした」

 見た目ではあまりわからないが、無理に言い訳しているように感じて沙也加は思わず笑ってしまった。貴臣は怒ってしまったのか沙也加を無言で一瞥すると、無駄のない動きでジャケットを脱いでデスクの前に座った。




「それ、持っていろ」

 貴臣が顎で示した先には小さめの紙袋が置いてある。中を覗くとスマホが入っていた。赤色の手帳型のケースにはカルティエのロゴが入っていて、上質な質感はしっくりと手になじんだ。

「スマホですか?」

「そうだ。三コール以内で必ず出ろ」

「これ、選んでくださったんですか?」

「___女はブランドが好きだ」

 貴臣はパソコンモニターを見ながらぶっきらぼうに言ったが、キーボードに添えられた手は動いていなかった。



「ありがとうございます。__私、考えていたんです。私は秘書として何をすべきか」

「お前は私の言う通りにしていればいい」

「___例えば何を?」

 恐る恐る聞いたが、顔を上げた貴臣の表情に嫌な予感がした。


「そうだな」

 貴臣は右手で頬杖をつき、左手でゆっくりと自分のネクタイを外した。その妖艶な仕草に沙也加は生唾を飲み込む。

ここ・・に」

 そう言って差されたのは、貴臣の膝の上だった。有無を言わせぬ物言いに、足が魔法をかけられたように貴臣の元へと向かってしまう。デスクの横に着くと椅子を軋ませて、貴臣が沙也加と向かい合った。


 本革で出来た立派な椅子は、子供であれば二人は並んで座れそうなくらい大きかった。長い脚は綺麗に組まれ、座る姿はどこかの王子様と言われても疑う人間などいないだろう。

 男らしくしなやかな指が、膝の上を二回叩いた。無言の催促は沙也加を操り、たどたどしくも膝の上に座らせた。



「良い子だ」


 耳元で呟かれた吐息のような言葉に、沙也加の胸は大きく弾んでいた。



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