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76話 メイランもソルトも強くなれる
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限界を超え、ギリギリの戦いをした俺とカエデ、最終的には俺が勝ったが、カエデが勝っていたとしてもおかしくないくらいカエデの方が優勢だったからな。
場外へ弾かれ、気を失ったカエデを迎えに行きたいのだが、俺自身も魔力が切れそうで動く気力があまり残っていない。
身体に負った傷は試合終了と共に全快したのだが、魔力は戻って来ない、正直立っているので精一杯だ………
フラフラしながらもカエデの元へ歩いていくと、入場口より救護班と共にミツキやメイラン達が俺達の元へ駆け込んできた。
救護班並に速いとは……ある意味凄いな。
「コウガさん!カエデさん!大丈夫ですか!?魔力ポーションどうぞ!」
ミツキに肩を貸して貰いながら、魔力ポーションをガブ飲みする。
「あぁ、俺はなんとか大丈夫だ……ありがとうミツキ。カエデは……」
カエデの方を見ると、メイランにレインにクロエが駆け寄っていて、メイランに背負われていた。
ちなみに俺の方に来たのは、ミツキにソルトにセシルだ。
俺はミツキに肩を借り、カエデはメイランに背負われながら医務室へと移動した。
医務室に到着し、カエデは病室用ベッド?的な所に寝かされると、カエデの影より次元が歪んでシェミィが出てきた。
「あら、自分から出てくる事も出来るのね」
出てきたシェミィを介護するメイラン、シェミィも魔力の消費が激しく、意識はあるがぐったりとしていた。
クロエがミツキから水飲み皿を受け取り、そこに魔力ポーションを注いでシェミィへ差し出す。
シェミィはゆっくりと顔を上げてクロエを見る、クロエが頷くとシェミィはゆっくりと魔力ポーションを飲み始めた。
てか何で水飲み皿があるんだよ……見事なペット用のやつが、準備良すぎか?
「ん、シェミィはこれを飲んだら大丈夫」
「ありがとうクロエ」
動けない俺達を労わってくれる彼女達、ほんと……良い出会いをしたと思うよ。
「コウガさん、次の試合までそう長くはないと思います、出来るだけ休んでてくださいね」
「そうさせてもらうよ」
「あ、あと魔力ポーション1つ置いておきますね、カエデさんが起きたら飲ませてください」
ミツキはカエデの寝ているベッドに付いている荷物置きにポーションを置いた。
「さんきゅーな、ミツキ」
「はい!では、俺達は席に戻りますね」
ミツキは手を振りながら医務室から出ていった。
医務室に残ったのは俺達のPTみんなだった。
「コウガ様、あの状態のカエデによく勝てたわね」
「自分でもびっくりだよ、新しい技を編み出せなかったら……きっと負けていたと思う」
あの時咄嗟に行った魔力を練り上げる行為、圧縮させて濃くしていくのを思い付いたおかげで上手くいった。
カエデもやっていたので、思い付かなくてもカエデを見て閃いた可能性はあるが。
「赤と青のオーラに包まれたあれよね?あれって確かバフ魔法……だったハズだけど、少し違ったように見えたわよ?」
「そうだな、普通のバフじゃ勝てないと思って、体内の魔力を圧縮させて濃くしたんだよ」
「魔力を……圧縮?」
魔力を圧縮という方法にピンと来ないみたいだ、この世界ではあまり知られていない技術みたいだな。
「そう、魔法に注ぐ魔力を濃くすればその分強い魔法に昇華するんじゃないかって思って、バフ魔法に濃い魔力を注いだら強いバフになったんだ」
魔力量で効果量に違いが出るのは、攻撃魔法やアイスウォールにより把握していた。
実は頭で考えた訳じゃなく、身体が勝手に動いて魔力を圧縮しだしたのだが。
「なるほど、そうだったのね。やり方は分からないけれど、私も魔力圧縮させて火魔法を使えば昇華するのかしら?」
「かもな、今日帰ってから教えるから、明日試してみたらどうだ?」
「確かに、武闘会は実験台に丁度いいわね、援護してもらえる?」
「おうとも!」
もし、メイランがそれで強い火魔法を放てるようになれば戦術にも幅が広がる。
俺達はミツキ達による特訓で強くなり、そしてカエデがクロエの指導の元あれだけ強くなって帰ってきてくれた、更にはセシルの加入によってノイシュに来る前とは比べ物にならないくらい戦力が強化されている。
でも、更なる強化を望めるのならば、命に関わらない武闘会……これがチャンスだ。
「いやー、羨ましいっすねぇ……自分魔法適正ないっすから、魔力はあれど魔法は使えないんすよねぇ……」
「確かにソルトは魔法系スキルが無かったよな、やっぱり魔法が使えないって人もこの世界には居るんだな」
「そうっすね、魔法が使えない人が珍しいって訳じゃなく、結構いっぱい居るんすよ?ただ、魔法が使えない人でも、一応何かしらの属性は絶対に持ってるっすよ。自分の場合は火と土の2属性はあるらしいっすけど……魔法使えないんで確かめようが無いっすね」
「なるほどな」
魔法があって当たり前の世界でも、やはり使えない人はつかえないみたいだ。
確かカエデも魔法がなかったよな、テイムも魔法スキルじゃないし……
ん?そう言えば、カエデは魔法適正はあるんだろうか?
もし無かったと仮定して、それでもカエデはシェミィから魔力を受け取って風属性の魔力を操っている。
実際、疾風弾という風を纏った突進や、風連弾と言う遠距離攻撃を使用していたが、両方共に風属性の攻撃スキルだ。
シェミィが風属性を得意としているので、シェミィの魔力を借りているカエデが風属性攻撃が出来るのも頷ける。
なので、魔法が使えない人でも……何かしらの支援があれば、魔法や属性攻撃は使えるのではないか?
例えば……所持者の属性魔力に応じて具現化させられる、要するに魔法剣的な装備とかな。
「……ご主人?」
「あ、あぁすまん、考え事してた」
「??まぁいいっす、何でもいいんで、いつか自分も魔法使ってみたいっすねぇ!」
「……」
魔法剣……ミツキなら作れないか?
錬金術師としてかなり優秀な筈だ、ソルトの所持属性を活かせられたら……!
相談してみるか。
「ソルト、無理な可能性が高いが……もしかしたら可能になる方法があるかもしれないぞ」
「えっ?」
「武闘会終わるまでに俺の考えを纏めておくから、それまで待っててくれ」
「わ、分かったっす」
もしかしたら、2人共がカエデ並に強くなる可能性が浮上してきた。
セシルは呪いの影響で火力の持続が難しい所だが、それでも力はかなりある分類だ。
全員がもし強化が出来て、かつ万全な状態で挑めばフードの男やドラゴンに勝てるかもしれない。
1時間程話をしていると、2回戦も全て終わったという声が聞こえてきた。
今は4時くらいだが、後は準決勝と決勝と3位決定戦だな。
残った人全員があと2回戦う事になる、身体が持つのだろうか……?
それにカエデはまだ起きない、もしかしたら今日暫くは起きないかもな……魔力切れは今までした事ないが、暫く起きれない場合があるっのは前世で読んだ小説でもそういうパターンがあったので分かっていた。
「さて、そろそろ行かなくちゃな」
「大丈夫っすか?ご主人」
「大丈夫だ、ゆっくり休めたからな」
「カエデとの約束は果たしたんだから、無茶だけはしないで」
メイランが心配そうな顔でこちらを見つめる。
「了解、無茶はしないよ。じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃいっす!」
「行ってらっしゃい」
「健闘を祈るよ、マスター」
俺はベッドから立ち上がり、医務室から出て入場口に向かうと、ゴリスターが後ろからやってきた。
「青年!先程の試合見事だった!」
声がして振り返ると、威圧感のあるマッチョボディが目の前にあった、近くでみると筋肉が鋼のように艶があるように見える。
「あ、ありがとうございます。お手柔らかに」
「うぬ、期待しておるぞ」
ゴリスターは俺を追い抜いて歩いていった。
やばいな、あの筋肉……前世の記憶があるせいか、あれじゃ1斬りで大ダメージ受けるのでは?と錯覚しそうになるが……間近で見てわかる、あれは本気で斬らないと……恐らく傷すら付かない、と。
「やばい……どうするべきか」
俺は悩みながらもステージへと歩いていった。
場外へ弾かれ、気を失ったカエデを迎えに行きたいのだが、俺自身も魔力が切れそうで動く気力があまり残っていない。
身体に負った傷は試合終了と共に全快したのだが、魔力は戻って来ない、正直立っているので精一杯だ………
フラフラしながらもカエデの元へ歩いていくと、入場口より救護班と共にミツキやメイラン達が俺達の元へ駆け込んできた。
救護班並に速いとは……ある意味凄いな。
「コウガさん!カエデさん!大丈夫ですか!?魔力ポーションどうぞ!」
ミツキに肩を貸して貰いながら、魔力ポーションをガブ飲みする。
「あぁ、俺はなんとか大丈夫だ……ありがとうミツキ。カエデは……」
カエデの方を見ると、メイランにレインにクロエが駆け寄っていて、メイランに背負われていた。
ちなみに俺の方に来たのは、ミツキにソルトにセシルだ。
俺はミツキに肩を借り、カエデはメイランに背負われながら医務室へと移動した。
医務室に到着し、カエデは病室用ベッド?的な所に寝かされると、カエデの影より次元が歪んでシェミィが出てきた。
「あら、自分から出てくる事も出来るのね」
出てきたシェミィを介護するメイラン、シェミィも魔力の消費が激しく、意識はあるがぐったりとしていた。
クロエがミツキから水飲み皿を受け取り、そこに魔力ポーションを注いでシェミィへ差し出す。
シェミィはゆっくりと顔を上げてクロエを見る、クロエが頷くとシェミィはゆっくりと魔力ポーションを飲み始めた。
てか何で水飲み皿があるんだよ……見事なペット用のやつが、準備良すぎか?
「ん、シェミィはこれを飲んだら大丈夫」
「ありがとうクロエ」
動けない俺達を労わってくれる彼女達、ほんと……良い出会いをしたと思うよ。
「コウガさん、次の試合までそう長くはないと思います、出来るだけ休んでてくださいね」
「そうさせてもらうよ」
「あ、あと魔力ポーション1つ置いておきますね、カエデさんが起きたら飲ませてください」
ミツキはカエデの寝ているベッドに付いている荷物置きにポーションを置いた。
「さんきゅーな、ミツキ」
「はい!では、俺達は席に戻りますね」
ミツキは手を振りながら医務室から出ていった。
医務室に残ったのは俺達のPTみんなだった。
「コウガ様、あの状態のカエデによく勝てたわね」
「自分でもびっくりだよ、新しい技を編み出せなかったら……きっと負けていたと思う」
あの時咄嗟に行った魔力を練り上げる行為、圧縮させて濃くしていくのを思い付いたおかげで上手くいった。
カエデもやっていたので、思い付かなくてもカエデを見て閃いた可能性はあるが。
「赤と青のオーラに包まれたあれよね?あれって確かバフ魔法……だったハズだけど、少し違ったように見えたわよ?」
「そうだな、普通のバフじゃ勝てないと思って、体内の魔力を圧縮させて濃くしたんだよ」
「魔力を……圧縮?」
魔力を圧縮という方法にピンと来ないみたいだ、この世界ではあまり知られていない技術みたいだな。
「そう、魔法に注ぐ魔力を濃くすればその分強い魔法に昇華するんじゃないかって思って、バフ魔法に濃い魔力を注いだら強いバフになったんだ」
魔力量で効果量に違いが出るのは、攻撃魔法やアイスウォールにより把握していた。
実は頭で考えた訳じゃなく、身体が勝手に動いて魔力を圧縮しだしたのだが。
「なるほど、そうだったのね。やり方は分からないけれど、私も魔力圧縮させて火魔法を使えば昇華するのかしら?」
「かもな、今日帰ってから教えるから、明日試してみたらどうだ?」
「確かに、武闘会は実験台に丁度いいわね、援護してもらえる?」
「おうとも!」
もし、メイランがそれで強い火魔法を放てるようになれば戦術にも幅が広がる。
俺達はミツキ達による特訓で強くなり、そしてカエデがクロエの指導の元あれだけ強くなって帰ってきてくれた、更にはセシルの加入によってノイシュに来る前とは比べ物にならないくらい戦力が強化されている。
でも、更なる強化を望めるのならば、命に関わらない武闘会……これがチャンスだ。
「いやー、羨ましいっすねぇ……自分魔法適正ないっすから、魔力はあれど魔法は使えないんすよねぇ……」
「確かにソルトは魔法系スキルが無かったよな、やっぱり魔法が使えないって人もこの世界には居るんだな」
「そうっすね、魔法が使えない人が珍しいって訳じゃなく、結構いっぱい居るんすよ?ただ、魔法が使えない人でも、一応何かしらの属性は絶対に持ってるっすよ。自分の場合は火と土の2属性はあるらしいっすけど……魔法使えないんで確かめようが無いっすね」
「なるほどな」
魔法があって当たり前の世界でも、やはり使えない人はつかえないみたいだ。
確かカエデも魔法がなかったよな、テイムも魔法スキルじゃないし……
ん?そう言えば、カエデは魔法適正はあるんだろうか?
もし無かったと仮定して、それでもカエデはシェミィから魔力を受け取って風属性の魔力を操っている。
実際、疾風弾という風を纏った突進や、風連弾と言う遠距離攻撃を使用していたが、両方共に風属性の攻撃スキルだ。
シェミィが風属性を得意としているので、シェミィの魔力を借りているカエデが風属性攻撃が出来るのも頷ける。
なので、魔法が使えない人でも……何かしらの支援があれば、魔法や属性攻撃は使えるのではないか?
例えば……所持者の属性魔力に応じて具現化させられる、要するに魔法剣的な装備とかな。
「……ご主人?」
「あ、あぁすまん、考え事してた」
「??まぁいいっす、何でもいいんで、いつか自分も魔法使ってみたいっすねぇ!」
「……」
魔法剣……ミツキなら作れないか?
錬金術師としてかなり優秀な筈だ、ソルトの所持属性を活かせられたら……!
相談してみるか。
「ソルト、無理な可能性が高いが……もしかしたら可能になる方法があるかもしれないぞ」
「えっ?」
「武闘会終わるまでに俺の考えを纏めておくから、それまで待っててくれ」
「わ、分かったっす」
もしかしたら、2人共がカエデ並に強くなる可能性が浮上してきた。
セシルは呪いの影響で火力の持続が難しい所だが、それでも力はかなりある分類だ。
全員がもし強化が出来て、かつ万全な状態で挑めばフードの男やドラゴンに勝てるかもしれない。
1時間程話をしていると、2回戦も全て終わったという声が聞こえてきた。
今は4時くらいだが、後は準決勝と決勝と3位決定戦だな。
残った人全員があと2回戦う事になる、身体が持つのだろうか……?
それにカエデはまだ起きない、もしかしたら今日暫くは起きないかもな……魔力切れは今までした事ないが、暫く起きれない場合があるっのは前世で読んだ小説でもそういうパターンがあったので分かっていた。
「さて、そろそろ行かなくちゃな」
「大丈夫っすか?ご主人」
「大丈夫だ、ゆっくり休めたからな」
「カエデとの約束は果たしたんだから、無茶だけはしないで」
メイランが心配そうな顔でこちらを見つめる。
「了解、無茶はしないよ。じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃいっす!」
「行ってらっしゃい」
「健闘を祈るよ、マスター」
俺はベッドから立ち上がり、医務室から出て入場口に向かうと、ゴリスターが後ろからやってきた。
「青年!先程の試合見事だった!」
声がして振り返ると、威圧感のあるマッチョボディが目の前にあった、近くでみると筋肉が鋼のように艶があるように見える。
「あ、ありがとうございます。お手柔らかに」
「うぬ、期待しておるぞ」
ゴリスターは俺を追い抜いて歩いていった。
やばいな、あの筋肉……前世の記憶があるせいか、あれじゃ1斬りで大ダメージ受けるのでは?と錯覚しそうになるが……間近で見てわかる、あれは本気で斬らないと……恐らく傷すら付かない、と。
「やばい……どうするべきか」
俺は悩みながらもステージへと歩いていった。
応援ありがとうございます!
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