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「詰められてるか・・・?」




俺が聞くと、樹里が“女”の指先を、スッと引っ込めた。
俺の胸の間がその瞬間、冷たくなったように感じた・・・。




「樹里も上手く説明出来ないけど、何かしらがここに沢山詰まっている人は・・・可愛いく見えるんだと思う。」



「俺・・・可愛い?」



「エロ親父は可愛い。沢山詰まってる。
樹里のお兄ちゃんは・・・よくブレる。
それでも結構可愛いのは、ちゃんと大切な物は詰まってるからだと思う。」



「そうなんだ・・・。
じゃあ、俺はブレてないんだな。」




口は良くない樹里の話・・・
理解は出来なかったが、俺の考える選択はブレではないと分かり・・・樹里がそう思ってくれていると分かりホッとした。




「あとは、彼女だけだよね。
そこだけはよくブレてる。
ブレてるから、彼女がいる時は可愛さが少し減る。」



「自分じゃ分からねーな・・・。
毎回、ちゃんと好きな子と付き合ってるしな。」




昔も樹里に言われたことがあるような気もするが、俺は結構ちゃんと好きな相手と結構ちゃんと付き合っているつもりでいた・・・。




そう思っていた時、樹里が可愛い声でよく笑っていて・・・。
この時、首を傾げながら、俺を覗き込むように、樹里は笑う・・・。




その顔から咄嗟に目を逸らした。




「樹里、エロ親父のこと好きだけどね。」



「それは、ありがとうございます。」



「キスしてあげてもいいよ?」



「気持ちだけ貰っておく!」



「大人って、大変なんだね。
でも・・・樹里もお姉ちゃんのことがあるから付き合ってあげられないし。
ごめんね?」




たまになるこの流れには、結構毎回ドキドキさせられている。




俺の心臓は今、何かしら問題があるらしいので・・・
今日はバクバクと壊れそうになった。




でも、樹里には好きな人がいるので、俺は今回も勝手にフラれた流れになっていて・・・
前半の流れからのこの終着点には、毎回大笑いしてしまう。




俺を笑わせるお子ちゃまの樹里の頭を、いつものようにポンッとした。
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