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「全然上手く書けなかった・・・」



「上手くなんて書かなくていいんだよ。
良い字だよ?」



「そんなことないよ。習ってないから。」




自分の字を見ながら、男の子が悲しそうな顔で笑う。




「習いたいって、言ってみたら?」



「言った。」



「ダメだって?」



「サッカーやる時間がなくなるから・・・。
サッカー選手がお父さんの夢だったから。」




立ち上がりながら、樹里を見た。




「結構上手いから、変に期待されてる。」



「期待してくれてるお父さんがいることも、幸せなことだけどね。」




そう言ってから、男の子が膝立ちしていた座布団に、今度は・・・次は、樹里が座った。





男の子が書いていた半紙には、





“お父さん”





と、書かれていた。






お父さんのことが大好きな、でもブレてもしまう良い字だった。







その紙を空いているスペースに置いた後、新しい紙を・・・






全紙をセットした。







これには、笑ってしまった。








うちの会社は、“攻める”。







子ども向けのイベントだからと手を抜かない。







書道セットも良い物を揃えているし、墨汁ではなく硯をする所からちゃんとスタートさせる・・・。






ここからが、始まりでもあるから。
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