【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha

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”ボタン"という望みには頭の中がハテナだらけになり・・・



「ボタン?」



そう聞き返すと、望の目から次々と大粒の涙が溢れてきた。



その顔には”めちゃくちゃ可哀想"だと思い、俺の胸までどんどん苦しくなってくる。



どんどん苦しくなってきて、顔を歪めそうになった時・・・



「第2ボタンが欲しい・・・っっ」



そう言われて、思い出した。



中学の卒業式の時、ボタンだけではなくブレザーもワイシャツも、体操着もジャージも、信じられないことに上履きも、とにかく何から何まで同級生や後輩の男女が奪うように持って行ったことを。



そして、あと少しで高校を卒業する今も、彼女から第2ボタンを予約されているのに、”どうせまたすぐに別れる彼女"と男共が煩く騒ぎ、俺の第2ボタンを奪い取る気満々でいることを。



こんなボタンを欲しいと思う奴らの気持ちが今も到底理解出来ないし、こんなボタンのことで煩く騒がれることには結構イラついてもいたけれど・・・



「お前の望みは相変わらず可愛いな。」



望が口にすると”めちゃくちゃ可愛い"と思ったし・・・



”ピーコート"や”友達"の時と同じくらい可愛くて・・・



可愛すぎて・・・



ニヤニヤしてしまう顔を必死に我慢した。



「お前の望みは、俺が絶対に叶えてやるから。」



そう約束をした後・・・



”俺の第2ボタンもいる?"



彼女から予約されているはずの俺の第2ボタンを何でか望に渡そうとしてしまい、それには慌てて口を閉じ・・・



そして、望が一平の為に作ったであろうチョコケーキを大きな口で食べて・・・



”まっっっず!!!!
全然甘くなってねーじゃねーか!!!!
折角のバレンタインなのに何してんだよ!!?"



俺からのアドバイスが何も活かされていないことに衝撃を受けたけれど、望のこんなに嬉しそうな顔を壊したくなくて言うのを我慢した。



いや、我慢しようとしたけれど・・・



俺って基本的にはそういう奴ではないし、やっぱり我慢なんてせずに・・・



「まっっっず!!!!
全然甘くなってねーじゃねーか!!!!
折角のバレンタインなのに何してんだよ!!?」



普通にそう言うとやっぱり望の顔は怒ったブスな顔になった。



「今日のはこの前のよりも絶対に美味しくなってるから!!!
さっきお嬢様も”また美味しくなったね!"って言ってくれましたから!!!」



「だから!!!
俺はあっっっっまいのが好きなんだよ!!!」



「青さんの好みなんて知りませんから!!!」



「一平からも絶対に”食べやすい"以上の言葉は貰えねーからな!!?」



「・・・・・・青さん、うるさい!!!!
一平さんは本当に甘い物が苦手なんです!!!」



さっきと同じ茹でダコみたいになっているけれど、さっきとは違いブスな顔で俺に怒ってくる望。



ブスな顔だけど元気にもなっていてそれには心から安心した。



”一平の第2ボタン、俺が奪い取ってくるか。
あいつ、あの女子校の女から結構モテてるんだよな。"



ブスで元気な顔で騒いでいる望の顔を見ながら、望の”望み"を叶えてやろうと本気で思っていた。



望がこれからの秘書人生を頑張る為に俺が出来ることなら何でもしてやろうと、本気で思っていた。
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