【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha

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木下さんが馬場さんから聞き出したその気持ちが私にはよく分かる。



私は一平さんと青さんのことを好きになり、その2人と結ばれることがないのは“家”のせいでもあると思っていた。



でも、この世界には好きな相手と結ばれないことも沢山あるのだと改めて知った。



むしろ、好きな相手と結ばれることの方が奇跡なのだと初めて分かったような気がする。



誰からも気付いて貰えないような存在、でもやけにその声に特徴のある馬場さん。
木下さん自身も覚えていなかったし、他の女性社員達も三山社長の不倫の話を誰から聞いたか誰も覚えていなかったという。



“ダメ秘書”の私だけど、入社したばかりのこの時期だったから、馬場さんからのあの発言を覚えていられたのかもしれない。



三山社長は誰とも不倫なんてしていなかった。



それだけではなく、奥さんと馬場さん以外の女の人に“Hatori”の物なんてプレゼントをしていなかった。



“ああ、クリスマスの日に“Hatori”の店に話をつけてたのは俺。
望へのクリスマスプレゼントにコートをプレゼントしたくてさ。
“Hatori”には、“俺の好きな女が三山社長と来店するから受け取るように説得して欲しい”って言ってた。
三山社長には、“審査も兼ねたいから社内の女によくプレゼントするとか言って欲しい”って言ってたんだよ。”



その事実を知ったのは3日前。
もっと早く青さんにも相談しておけば良かったと後悔をした。



一美さんのこの件も、お兄ちゃんにもっと早く相談しておけば良かったと後悔をするのかな・・・。



そんな不安な気持ちも抱きつつ、私は言った。



「みんなにお金目当てにされてて社長も可哀想でしたけどね!!」



三山社長のことも木下さんのことも馬場さんのことも、三山社長を慕うみんなのことも、殺した。



私のその言葉に一美さんは凄く凄く楽しそうに笑いながら、私の手をしっかりと握り歩き始めた。



一美さんは力強く、段ボールだらけの道を歩き始めた。



チラッと三山社長に振り向き、心の中で言う。



“ここから先、どう生まれ変わるかは三山社長の手に掛かっています。
青さんからは“そこまでやって清掃だ”と言われたけれど、私はそうは思わないから私の清掃はここまでです。
部外者の私の清掃はここまで。
此処は三山社長の会社であり、三山社長と三山社長が選んだ社員達の空間です。
三山社長1人でとは言いません、みんなで一緒に強くて大きな会社にしていってください。”



2日前の打ち合わせの時にも言った言葉を、この段ボールだらけのグチャグチャな空間で心の中で言った。



それが伝わったかは分からないけれど、三山社長は力強く頷いてくれた。
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