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めちゃくちゃ煩いだけではなくめちゃくちゃ最低な発言まで聞こえ、それには思わず振り返り、笑ってしまった。
そんな私の背中を一平さんがソッと押してくれる。
「頑張っておいで、望。」
一平さんの優しい手に押され、私は一歩進んだ。
「青の所に行っておいで。」
曲がり角の所から見えた小関の”家“は、夜の黒の中でも輝いていた。
だから、見えた・・・。
小関の”家“の前にとめている車に乗り込もうとしている青さんの姿が。
「俺のチ◯コはデカいだけで最弱だから言うことを聞かせらんねーの!!!
・・・・って、マジで泣く寸前だからこれ以上俺のことを虐めんなよ!!!」
「・・・・バカ。」
小関の”家“の光りで輝く青さんのことを眺めながら、呟いた。
「夜なのにうるさすぎるよ・・・。」
煩いくらいに眩しい青さんの所に、一平さんがまた優しく背中を押してくれる。
「立派な秘書になって俺の所に必ず戻っておいで、望。」
「はい・・・。」
一平さんのことを振り向くことなく、青さんの所へと歩き出した。
あんなに泣いていたのに不思議と涙は止まっていて。
あんなに苦しくて悲しくて虚しい気持ちだったのに、この心は温かくて。
温かいどころか熱くて。
凍っていた私の身体はまた動き出せた。
この足はまた歩き出せた。
立派な秘書になって一平さんの所に帰る為に、歩き出せた。
一平さんから借りたスーツのジャケットを両手で抱き締める。
そんな私に青さんは気付き・・・
「・・・・・・・ゎっ」
ダッシュで私の元へ走り、大きな大きな身体で一平さんのスーツのジャケットごとギュゥゥゥゥッッと、苦しいくらいに私のことを抱き締めてくれた。
「もっと早く実家に帰れよ・・・。」
「真っ直ぐ歩いて帰ってきたよ・・・。
青さんこそもっと早く迎えに来てよ・・・。」
「望が俺の家を出た5分後には慌てて車で追い掛けた・・・。」
「5分とか悩み過ぎでしょ、すぐに追い掛けてよ・・・。
それに道の途中で私に気付いてよ・・・。」
「そんな都合の良い展開なんて普通はねーだろ。」
「私が”助けて“って思った時にマナリーも田代君もたまたま居合わせて、私のことを助けてくれたよ?
それに今さっきだって一平さんも・・・・」
「・・・ああ!?これ一平のスーツかよ?
旦那以外の奴から何受け取ってんだよ!!」
めちゃくちゃ怒ってはいるけれど一平さんのスーツのジャケットを私から奪い取ることはなく、そのまま私のことを青さんの車の助手席に押し込んだ。
チラッと見た曲がり角には一平さんの姿はない。
それでも、私は心の中で一平さんに言う。
”私、頑張ります。“
”青さんの弱みを握り、青さんの会社を渡して貰います。“
”立派な秘書になって一平さんの所に必ず戻ってきます。“
「そういえば、一平の嫁さんにも会った。
俺ああいう女苦手。
永家の女!!!!って女だよな。
顔見ただけで分かる、あの女絶対ドSだぞ?」
キツい顔をしているわけではない貴子さんのことを青さんがそう言って。
「一平さんの奥さんのことを悪く言わないでくださいよ。」
「そんなこと言ってお前、ニヤニヤしてるぞ?」
「そんなことないもん・・・。
めっちゃ性格悪いみたいじゃん、やめてよ。」
「めちゃくちゃ性格悪いだろ。
こんなにも嫁さんのことを溺愛してる旦那に”離婚だ!“とか言いやがって。
この一晩で10歳は老け込んだぞ?
あ、でもチ◯コは現役だからヤれる。
帰ったらヤりまくるからマジで覚悟しておけよ?」
「・・・・・・うん。」
5時間は寝ないと起きられない青さんからの宣言に、あまり期待はしないで頷いた。
私のことを迎えに来てくれたその事実だけでもう、私はちゃんと嬉しかったから。
ちゃんと幸せで。
まだまだ頑張れると思えたから。
そんな私の背中を一平さんがソッと押してくれる。
「頑張っておいで、望。」
一平さんの優しい手に押され、私は一歩進んだ。
「青の所に行っておいで。」
曲がり角の所から見えた小関の”家“は、夜の黒の中でも輝いていた。
だから、見えた・・・。
小関の”家“の前にとめている車に乗り込もうとしている青さんの姿が。
「俺のチ◯コはデカいだけで最弱だから言うことを聞かせらんねーの!!!
・・・・って、マジで泣く寸前だからこれ以上俺のことを虐めんなよ!!!」
「・・・・バカ。」
小関の”家“の光りで輝く青さんのことを眺めながら、呟いた。
「夜なのにうるさすぎるよ・・・。」
煩いくらいに眩しい青さんの所に、一平さんがまた優しく背中を押してくれる。
「立派な秘書になって俺の所に必ず戻っておいで、望。」
「はい・・・。」
一平さんのことを振り向くことなく、青さんの所へと歩き出した。
あんなに泣いていたのに不思議と涙は止まっていて。
あんなに苦しくて悲しくて虚しい気持ちだったのに、この心は温かくて。
温かいどころか熱くて。
凍っていた私の身体はまた動き出せた。
この足はまた歩き出せた。
立派な秘書になって一平さんの所に帰る為に、歩き出せた。
一平さんから借りたスーツのジャケットを両手で抱き締める。
そんな私に青さんは気付き・・・
「・・・・・・・ゎっ」
ダッシュで私の元へ走り、大きな大きな身体で一平さんのスーツのジャケットごとギュゥゥゥゥッッと、苦しいくらいに私のことを抱き締めてくれた。
「もっと早く実家に帰れよ・・・。」
「真っ直ぐ歩いて帰ってきたよ・・・。
青さんこそもっと早く迎えに来てよ・・・。」
「望が俺の家を出た5分後には慌てて車で追い掛けた・・・。」
「5分とか悩み過ぎでしょ、すぐに追い掛けてよ・・・。
それに道の途中で私に気付いてよ・・・。」
「そんな都合の良い展開なんて普通はねーだろ。」
「私が”助けて“って思った時にマナリーも田代君もたまたま居合わせて、私のことを助けてくれたよ?
それに今さっきだって一平さんも・・・・」
「・・・ああ!?これ一平のスーツかよ?
旦那以外の奴から何受け取ってんだよ!!」
めちゃくちゃ怒ってはいるけれど一平さんのスーツのジャケットを私から奪い取ることはなく、そのまま私のことを青さんの車の助手席に押し込んだ。
チラッと見た曲がり角には一平さんの姿はない。
それでも、私は心の中で一平さんに言う。
”私、頑張ります。“
”青さんの弱みを握り、青さんの会社を渡して貰います。“
”立派な秘書になって一平さんの所に必ず戻ってきます。“
「そういえば、一平の嫁さんにも会った。
俺ああいう女苦手。
永家の女!!!!って女だよな。
顔見ただけで分かる、あの女絶対ドSだぞ?」
キツい顔をしているわけではない貴子さんのことを青さんがそう言って。
「一平さんの奥さんのことを悪く言わないでくださいよ。」
「そんなこと言ってお前、ニヤニヤしてるぞ?」
「そんなことないもん・・・。
めっちゃ性格悪いみたいじゃん、やめてよ。」
「めちゃくちゃ性格悪いだろ。
こんなにも嫁さんのことを溺愛してる旦那に”離婚だ!“とか言いやがって。
この一晩で10歳は老け込んだぞ?
あ、でもチ◯コは現役だからヤれる。
帰ったらヤりまくるからマジで覚悟しておけよ?」
「・・・・・・うん。」
5時間は寝ないと起きられない青さんからの宣言に、あまり期待はしないで頷いた。
私のことを迎えに来てくれたその事実だけでもう、私はちゃんと嬉しかったから。
ちゃんと幸せで。
まだまだ頑張れると思えたから。
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