【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha

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青さんの言葉を聞きゆっくりと立ち上がり、女将さんの横を通り過ぎて自分で襖を開けてハンガーにダッフルコートを掛けた。



「そうなの・・・。
それは可哀想な子だねぇ。」



女将さんのソレを聞き、いつもなら言い返せるはずなのに今は言い返すことなんて出来なくて。



30歳にもなって初めて温泉に入り、初めて旅館という場所に来て、自分で暖房を調整することもコートを掛けることも出来なかった私は確かに“可哀想な子”なのかもしれないと、そう思ってしまって・・・。



“Hatori”のダッフルコートを眺めていたら、最上さんが着ていた“Hatori”のピーコートがそこに重なった。



ソレを見て、やっぱり泣きそうになった。



やっぱりダッフルコートではなくピーコートが欲しかったと思ってしまって。



どうしても、そう思ってしまって・・・。



そしたら・・・























「頑張ってて偉かったですよ。
な?頑張ってて偉かったよな?」



私のことを“可哀想”と言いまくってくる青さんがその言葉を私に渡してくれた。



“お前すげー可愛いし、どんなコートでも似合うだろ。
そのダッフルコートだってよく似合ってるしめちゃくちゃ可愛いぞ?“



青さんは私が欲しい言葉をいつも渡してくれる。



そして無理矢理にでも私が欲しかったモノ
まで渡してくれる。



ブラウスの下にある”一平さんの第ニボタン“をおさえ、”Hatori“のダッフルコートを見た。



そしたら、”Hatori“のダッフルコートは可愛かった。



ちゃんと可愛かった。



凄く良いモノだから全然悪くなっていない。



ずっとずっと綺麗な状態のまま。



青さんが”よく似合う“と、”めちゃくちゃ可愛い“と、そう言ってくれたコートのまま。



涙をこの目の中に引っ込め、普通に笑って青さんにも女将さんにも振り向いた。



「私もお酒飲んでみたいな!!
今日は初めての旅行を普通に楽しむことにした!!
一緒に来たのが青さんなのはマジで残念だけど!!」




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