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「3つの知恵・・・。」
皇子が真剣な顔でその言葉を繰り返し、私のことを水色の瞳で見詰める。
「タンポポの花はどんな知恵を持ってるの?」
大真面目な顔で私に聞いてきたのでそれには大きく笑いながら謝る。
「マジでごめんね、皇子!!!
私って本当に“ダメ秘書”で!!!
3つの知恵を持ってるって所までしか覚えてない!!!」
「お前・・・!!!
嘘つくなよ、本当は知ってるんだろ!!?」
青さんにそう言われたけれど、本当に覚えていないので慌てて口を開き青さんのことを指差した。
「本当に覚えてないの!!!
ちょっと調べてみて!!!」
と、言ったけれど・・・
「やっぱり、別に調べなくて良いや!!
私が言いたいことは、3つの知恵どころか4つも5つも6つも知恵を持って晴子ちゃんのことを頷かせようって話!!!」
そう言ってから大月旦と青さんのことを見ると、2人とも絶対に心の中でこう言っている。
“だから、盛大にプロポーズを・・・”と。
「晴子ちゃんはそこら辺に咲いている普通のタンポポの花とも違う、どんなプロポーズの方法だとしても絶対に折れないようなタンポポの花でしょ?
だから晴子ちゃんを無理矢理にでも折って頷かせるくらいの知恵じゃないとダメ。
晴子ちゃんの弱み、何かないの?」
「あの子は何をしても何をやっても絶対に折れないよ。
それは俺が昔全力で摘もうとしたから知ってる。
それに晴子は野原晴子でもあるけど大月晴子でもある。
だから大月ホテルのことも大月ホテルの皇子様と今でも呼ばれている大月旦という存在の俺のこともとても大切に考えてくれている。
自分の弱みなんかで俺との結婚に頷くような子じゃ絶対にないよ。」
「望はどうなんだよ?
俺が増田財閥をぶっ壊した後、結婚してる一平に何て言われたり何をされたら結婚に頷くんだよ?
そっちの方が参考になるんじゃねーの?」
「私は一平さんからどんなことを言われてもやられても、一平さんと結婚することなんてないよ。
それに一平さんは私に結婚しようなんてことは絶対に言わない。」
「もしも!!もしもの話として考えろ!!!
好きな男が!愛してる男が!!お前と結婚したいと思ってお前と結婚が出来る状況になったとしたら!!!
お前はどんなことで折れるんだよ!!?」
“もしも”の話としても一平さんとのことなんて考えられないからか、“好きな男”で“愛している男”である青さんのことを見詰めてしまった。
そして、考えてしまった。
考えて、少しだけ妄想までしてしまったけれど・・・。
私は青さんのことを真っ直ぐと見詰めたまま答える。
「私は加藤望。
小関の“家”の秘書、加藤の“家”に生まれた。
小関の“家”の人達の幸せの為、増田財閥のことを壊させない為なら私の身体も私の心も使う。
使わなくてはいけない・・・。
“好きな男”や“愛してる男”との幸せなんて私は望まない・・・。
私はそういう“家”に生まれた・・・。
私には優秀で優しいお兄ちゃんがいたから私の身体も心も守られてきたけど、私だって本当は・・・本当なら・・・」
「分かった、もう良い。」
「私には皇子のことを殺せなかったけど、お兄ちゃんなら絶対に殺せたよ・・・。
お兄ちゃんは“そういう指導”も受けてる・・・。」
「望。」
「秘書生命のことがあるから最後まではしていないけど、そういうことが必要になる清掃もあるから中学に入ったら普通に“そういう指導”もある・・・。」
「望・・・。」
青さんが優しい声で私のことを止めようとしてくるけれど、私は止めない。
私は止まらない。
「お兄ちゃんは皇子のことを絶対に殺せた。
でも、皇子のことは殺さずに青さんの所にいる私の所まで歩かせた。」
その意味が私には分かる。
私のお兄ちゃんは加藤和希。
小関の“家”の秘書、加藤の“家”に生まれた。
お兄ちゃんの身体も心も小関の“家”のモノ。
一美さんのモノ・・・。
お兄ちゃんが大月旦のことを此処まで歩かせた。
それは全て小関の“家”の長女である一美さんの為なのだと私は分かる。
だから大月旦のことを此処で立ち止まらせるわけにはいかない。
青さんが創ってくれた空間の中で大月旦から“本当のところ”を聞き出せた。
だから、あとは・・・
あとは、私が知恵を与えるだけ・・・。
「お兄ちゃんの妹である私が皇子に知恵という力を与える。」
私のことを想ってくれてか、心配そうな顔で私のことを見ている大月旦に向かって笑ってみせた。
その大月旦の向こう側には、めちゃくちゃ怒った顔をしている青さんの顔があったけれどそれには無視をする。
“だから!!俺がそんなのも全部ぶっ壊してやるって言ってるだろ!!!!”
心の中で青さんからのその気持ちとその心の声だけは受け取りながら・・・。
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皇子が真剣な顔でその言葉を繰り返し、私のことを水色の瞳で見詰める。
「タンポポの花はどんな知恵を持ってるの?」
大真面目な顔で私に聞いてきたのでそれには大きく笑いながら謝る。
「マジでごめんね、皇子!!!
私って本当に“ダメ秘書”で!!!
3つの知恵を持ってるって所までしか覚えてない!!!」
「お前・・・!!!
嘘つくなよ、本当は知ってるんだろ!!?」
青さんにそう言われたけれど、本当に覚えていないので慌てて口を開き青さんのことを指差した。
「本当に覚えてないの!!!
ちょっと調べてみて!!!」
と、言ったけれど・・・
「やっぱり、別に調べなくて良いや!!
私が言いたいことは、3つの知恵どころか4つも5つも6つも知恵を持って晴子ちゃんのことを頷かせようって話!!!」
そう言ってから大月旦と青さんのことを見ると、2人とも絶対に心の中でこう言っている。
“だから、盛大にプロポーズを・・・”と。
「晴子ちゃんはそこら辺に咲いている普通のタンポポの花とも違う、どんなプロポーズの方法だとしても絶対に折れないようなタンポポの花でしょ?
だから晴子ちゃんを無理矢理にでも折って頷かせるくらいの知恵じゃないとダメ。
晴子ちゃんの弱み、何かないの?」
「あの子は何をしても何をやっても絶対に折れないよ。
それは俺が昔全力で摘もうとしたから知ってる。
それに晴子は野原晴子でもあるけど大月晴子でもある。
だから大月ホテルのことも大月ホテルの皇子様と今でも呼ばれている大月旦という存在の俺のこともとても大切に考えてくれている。
自分の弱みなんかで俺との結婚に頷くような子じゃ絶対にないよ。」
「望はどうなんだよ?
俺が増田財閥をぶっ壊した後、結婚してる一平に何て言われたり何をされたら結婚に頷くんだよ?
そっちの方が参考になるんじゃねーの?」
「私は一平さんからどんなことを言われてもやられても、一平さんと結婚することなんてないよ。
それに一平さんは私に結婚しようなんてことは絶対に言わない。」
「もしも!!もしもの話として考えろ!!!
好きな男が!愛してる男が!!お前と結婚したいと思ってお前と結婚が出来る状況になったとしたら!!!
お前はどんなことで折れるんだよ!!?」
“もしも”の話としても一平さんとのことなんて考えられないからか、“好きな男”で“愛している男”である青さんのことを見詰めてしまった。
そして、考えてしまった。
考えて、少しだけ妄想までしてしまったけれど・・・。
私は青さんのことを真っ直ぐと見詰めたまま答える。
「私は加藤望。
小関の“家”の秘書、加藤の“家”に生まれた。
小関の“家”の人達の幸せの為、増田財閥のことを壊させない為なら私の身体も私の心も使う。
使わなくてはいけない・・・。
“好きな男”や“愛してる男”との幸せなんて私は望まない・・・。
私はそういう“家”に生まれた・・・。
私には優秀で優しいお兄ちゃんがいたから私の身体も心も守られてきたけど、私だって本当は・・・本当なら・・・」
「分かった、もう良い。」
「私には皇子のことを殺せなかったけど、お兄ちゃんなら絶対に殺せたよ・・・。
お兄ちゃんは“そういう指導”も受けてる・・・。」
「望。」
「秘書生命のことがあるから最後まではしていないけど、そういうことが必要になる清掃もあるから中学に入ったら普通に“そういう指導”もある・・・。」
「望・・・。」
青さんが優しい声で私のことを止めようとしてくるけれど、私は止めない。
私は止まらない。
「お兄ちゃんは皇子のことを絶対に殺せた。
でも、皇子のことは殺さずに青さんの所にいる私の所まで歩かせた。」
その意味が私には分かる。
私のお兄ちゃんは加藤和希。
小関の“家”の秘書、加藤の“家”に生まれた。
お兄ちゃんの身体も心も小関の“家”のモノ。
一美さんのモノ・・・。
お兄ちゃんが大月旦のことを此処まで歩かせた。
それは全て小関の“家”の長女である一美さんの為なのだと私は分かる。
だから大月旦のことを此処で立ち止まらせるわけにはいかない。
青さんが創ってくれた空間の中で大月旦から“本当のところ”を聞き出せた。
だから、あとは・・・
あとは、私が知恵を与えるだけ・・・。
「お兄ちゃんの妹である私が皇子に知恵という力を与える。」
私のことを想ってくれてか、心配そうな顔で私のことを見ている大月旦に向かって笑ってみせた。
その大月旦の向こう側には、めちゃくちゃ怒った顔をしている青さんの顔があったけれどそれには無視をする。
“だから!!俺がそんなのも全部ぶっ壊してやるって言ってるだろ!!!!”
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