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「うん、無理だね。
俺がどんなになりたいと求めたとしても、もう無理なんだ。」
大月旦が即答をすると、佐藤君は青さんに視線を移した。
「本当に無理なんですか?」
「いや、いけるだろ。」
佐藤君からの質問に青さんの横顔が意地悪な顔で笑う。
「定款なんていくらでも変えられる。」
「いや、俺の所には株主もいるからね。」
「株主総会でいくらでも変えれば良いだろ。」
「俺の個人的な気持ちで変えて良いものではないよ。」
「お前の個人的な気持ちだけじゃねーだろ。」
青さんが大月旦の方を向いた。
「今でもみんながお前のことを“皇子様”と呼び“皇子様”だと思ってる。
それが事実だろ。
噂ではじいさんの遺言もあるらしいけど、その弟と2人で代表取締役に就任すれば良いんじゃね?」
青さんの頭の向こう側には大月旦の驚いた顔が見える。
「でも・・・俺の口から、そんなことを言えるかな・・・。
とんでもなく大きなワガママだよね。
そんなことを俺の口から言ったらまた父さんを落胆させるだろうな。
怖いな~・・・、晴子と両想いなことも言えないでいるのに、物凄く怖いな。」
それには佐藤君が口を開いたのが見えたけれど、私が先に口を開いた。
「晴子ちゃんに言って貰えば?」
私の言葉に佐藤君が頷いたのを視界に入れながら続ける。
「晴子ちゃんならどんなことでも言えるでしょ。
お父さんにも株主にも大きな声で叫べるでしょ。」
「それはそうだろうけど、それと結婚の話はまた別の話というか・・・。」
「それも使おうよ。」
「それも・・・?」
噂話がほぼ本当のことだというのなら、晴子ちゃんの評価だけではなく大月旦に対する評価も昔よりも落ちてしまっていることも事実なのだと分かる。
それに伴って大月ホテル自体の評価も・・・。
大月旦はそれほどに完璧な皇子様だった。
その完璧な皇子様が昔、大きな失敗をしたと社会を騒がせたことがある。
「大月ホテルのことも大月旦のことも大切に想っている晴子ちゃんの気持ちまで利用する。」
険しい顔をしながら口を開いた大月旦よりも先に私は声を上げる。
「あんな噂話も綺麗で正しいものに上書きし、大月ホテルの評価も大月旦の評価も爆上げさせる。
その為には大月旦が“皇子様”から“王様”になっていた方がめちゃくちゃ良い話に出来る。」
青さんはピンと来ていないような顔をしているけれど、佐藤君が大きく頷いたのを確認し自信を持って続けた。
「大月ホテルの“王様”になった大月旦の隣に王妃様の晴子ちゃんがいなければ綺麗で正しい、ハッピーエンドのお伽噺にはならない。
皇子の義理の妹である晴子ちゃんが皇子の婚約者のことを虐め抜いたこともあったし、皇子が王様になる未来が絶たれたこともあった。
その全てを綺麗で正しいハッピーエンドに持っていく為には皇子が”王様“になって隣には王妃様になった晴子ちゃんがいる必要がある。」
険しい顔ではなく真剣な顔で私のことを見詰める大月旦のことを見詰め返し、言う。
「全ては大月ホテルと大月旦の為に。
その2つを大切に思っている晴子ちゃんの気持ちも利用し、晴子ちゃんを折って皇子と結婚することに頷かせる。」
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俺がどんなになりたいと求めたとしても、もう無理なんだ。」
大月旦が即答をすると、佐藤君は青さんに視線を移した。
「本当に無理なんですか?」
「いや、いけるだろ。」
佐藤君からの質問に青さんの横顔が意地悪な顔で笑う。
「定款なんていくらでも変えられる。」
「いや、俺の所には株主もいるからね。」
「株主総会でいくらでも変えれば良いだろ。」
「俺の個人的な気持ちで変えて良いものではないよ。」
「お前の個人的な気持ちだけじゃねーだろ。」
青さんが大月旦の方を向いた。
「今でもみんながお前のことを“皇子様”と呼び“皇子様”だと思ってる。
それが事実だろ。
噂ではじいさんの遺言もあるらしいけど、その弟と2人で代表取締役に就任すれば良いんじゃね?」
青さんの頭の向こう側には大月旦の驚いた顔が見える。
「でも・・・俺の口から、そんなことを言えるかな・・・。
とんでもなく大きなワガママだよね。
そんなことを俺の口から言ったらまた父さんを落胆させるだろうな。
怖いな~・・・、晴子と両想いなことも言えないでいるのに、物凄く怖いな。」
それには佐藤君が口を開いたのが見えたけれど、私が先に口を開いた。
「晴子ちゃんに言って貰えば?」
私の言葉に佐藤君が頷いたのを視界に入れながら続ける。
「晴子ちゃんならどんなことでも言えるでしょ。
お父さんにも株主にも大きな声で叫べるでしょ。」
「それはそうだろうけど、それと結婚の話はまた別の話というか・・・。」
「それも使おうよ。」
「それも・・・?」
噂話がほぼ本当のことだというのなら、晴子ちゃんの評価だけではなく大月旦に対する評価も昔よりも落ちてしまっていることも事実なのだと分かる。
それに伴って大月ホテル自体の評価も・・・。
大月旦はそれほどに完璧な皇子様だった。
その完璧な皇子様が昔、大きな失敗をしたと社会を騒がせたことがある。
「大月ホテルのことも大月旦のことも大切に想っている晴子ちゃんの気持ちまで利用する。」
険しい顔をしながら口を開いた大月旦よりも先に私は声を上げる。
「あんな噂話も綺麗で正しいものに上書きし、大月ホテルの評価も大月旦の評価も爆上げさせる。
その為には大月旦が“皇子様”から“王様”になっていた方がめちゃくちゃ良い話に出来る。」
青さんはピンと来ていないような顔をしているけれど、佐藤君が大きく頷いたのを確認し自信を持って続けた。
「大月ホテルの“王様”になった大月旦の隣に王妃様の晴子ちゃんがいなければ綺麗で正しい、ハッピーエンドのお伽噺にはならない。
皇子の義理の妹である晴子ちゃんが皇子の婚約者のことを虐め抜いたこともあったし、皇子が王様になる未来が絶たれたこともあった。
その全てを綺麗で正しいハッピーエンドに持っていく為には皇子が”王様“になって隣には王妃様になった晴子ちゃんがいる必要がある。」
険しい顔ではなく真剣な顔で私のことを見詰める大月旦のことを見詰め返し、言う。
「全ては大月ホテルと大月旦の為に。
その2つを大切に思っている晴子ちゃんの気持ちも利用し、晴子ちゃんを折って皇子と結婚することに頷かせる。」
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