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私が座ったのを確認した庄司さんが素早く目の前の席に座る。
「飲み会の後に婚約者にプレゼンをする予定になっているんだ。」
「プレゼン・・・。」
庄司さんが婚約しているのは矢代商会の会長の孫ということを思い出し、だから婚約者との話し合いで“プレゼン”という言葉が出てきたのだと理解する。
「俺からの提案としては、土日の夕飯は2人で食べる、平日も1日は夕飯を2人で食べる、今後長期出張になった際も毎週末戻って来る。
子どもが欲しいとは伝えていたけれどそれは俺の気持ちよりも相手の気持ちを尊重する。
月に1度のデートだったところを2週間に1度のデートにする。
新居についても家事の分担についても相手の希望に全て同意する。
子どもを妊娠し出産することがあった場合は、俺に望むことを具体的にして貰い、実現出来ることについては実現すると約束する。
という内容になっているけど、現時点で訂正した方が良い箇所や追加した方が良いことはあるかな?」
もっと具体的なことが書かれているパワーポイントの資料を見せられながら、そう聞かれた。
「めちゃくちゃ早足で説明されたので全然頭に入りませんでしたけどまず大前提として、2人の間に男女の愛はあるんですか?」
「ない。」
即答をした庄司さんの瞳が微かに揺れる。
そして・・・
「ない・・・。」
と、小さな声で呟くようにまたそう繰り返した。
「向こうは庄司さんのことを男として愛してる?」
「いや。」
「庄司さんは向こうのことを女として愛してる?」
「・・・・・・・そういう気持ちはない。」
悩みながら答えた庄司さんのことをよく観察しながら聞いてみる。
“でも、絶対に結婚したいと思うくらいに好き?”
そう聞こうとして、でもその前にミルクティーを飲んだ。
それからゆっくりと、ゆっくりとミルクティーを置き、庄司さんのことをまたゆっくりと見詰める。
そして、言った。
ソっちゃんのことを思い浮かべながら、言った。
「結婚した後に愛してる人が出来てしまったらどうするかも提案してみるのは?」
そう言った私に庄司さんは穏やかな顔で笑った。
「俺に愛する女の子が出来ることは有り得ない。」
「そうなの?」
「結婚前提に付き合って欲しいと言った時にそのことは伝えてある。」
「ああ、庄司さんってソッチの人・・・?」
「ソレではないよ。
ただ、俺は女の子のことを愛すことをどうしても出来なくて、愛したいとも思えないだけ。
・・・家庭の事情、かな。」
「そうなんだ。
じゃあ向こうに愛してる人が出来た場合だけ提案しておこうか。」
「それも有り得ないよ。
相手も男を愛すことはないと言っていたし、誰とも結婚するつもりがない女の子だったから。」
「でも、それについても書いておいた方が資料としては完璧じゃない?」
全然納得していない顔をしている庄司さんには笑ってしまいそうになり、慌ててまたミルクティーを飲んだ。
「じゃあ、想像してみよう。
庄司さんと結婚した奥さんに愛してる男が出来る所を。」
私の言葉に庄司さんは今度は明らかにムッとした顔になり、それにも私はやっぱり笑いそうになったのでまたミルクティーを飲んだ。
「飲み会の後に婚約者にプレゼンをする予定になっているんだ。」
「プレゼン・・・。」
庄司さんが婚約しているのは矢代商会の会長の孫ということを思い出し、だから婚約者との話し合いで“プレゼン”という言葉が出てきたのだと理解する。
「俺からの提案としては、土日の夕飯は2人で食べる、平日も1日は夕飯を2人で食べる、今後長期出張になった際も毎週末戻って来る。
子どもが欲しいとは伝えていたけれどそれは俺の気持ちよりも相手の気持ちを尊重する。
月に1度のデートだったところを2週間に1度のデートにする。
新居についても家事の分担についても相手の希望に全て同意する。
子どもを妊娠し出産することがあった場合は、俺に望むことを具体的にして貰い、実現出来ることについては実現すると約束する。
という内容になっているけど、現時点で訂正した方が良い箇所や追加した方が良いことはあるかな?」
もっと具体的なことが書かれているパワーポイントの資料を見せられながら、そう聞かれた。
「めちゃくちゃ早足で説明されたので全然頭に入りませんでしたけどまず大前提として、2人の間に男女の愛はあるんですか?」
「ない。」
即答をした庄司さんの瞳が微かに揺れる。
そして・・・
「ない・・・。」
と、小さな声で呟くようにまたそう繰り返した。
「向こうは庄司さんのことを男として愛してる?」
「いや。」
「庄司さんは向こうのことを女として愛してる?」
「・・・・・・・そういう気持ちはない。」
悩みながら答えた庄司さんのことをよく観察しながら聞いてみる。
“でも、絶対に結婚したいと思うくらいに好き?”
そう聞こうとして、でもその前にミルクティーを飲んだ。
それからゆっくりと、ゆっくりとミルクティーを置き、庄司さんのことをまたゆっくりと見詰める。
そして、言った。
ソっちゃんのことを思い浮かべながら、言った。
「結婚した後に愛してる人が出来てしまったらどうするかも提案してみるのは?」
そう言った私に庄司さんは穏やかな顔で笑った。
「俺に愛する女の子が出来ることは有り得ない。」
「そうなの?」
「結婚前提に付き合って欲しいと言った時にそのことは伝えてある。」
「ああ、庄司さんってソッチの人・・・?」
「ソレではないよ。
ただ、俺は女の子のことを愛すことをどうしても出来なくて、愛したいとも思えないだけ。
・・・家庭の事情、かな。」
「そうなんだ。
じゃあ向こうに愛してる人が出来た場合だけ提案しておこうか。」
「それも有り得ないよ。
相手も男を愛すことはないと言っていたし、誰とも結婚するつもりがない女の子だったから。」
「でも、それについても書いておいた方が資料としては完璧じゃない?」
全然納得していない顔をしている庄司さんには笑ってしまいそうになり、慌ててまたミルクティーを飲んだ。
「じゃあ、想像してみよう。
庄司さんと結婚した奥さんに愛してる男が出来る所を。」
私の言葉に庄司さんは今度は明らかにムッとした顔になり、それにも私はやっぱり笑いそうになったのでまたミルクティーを飲んだ。
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