【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha

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「伝えてません。」



「伝えた方が良いよ。
庄司は鈴木さんと付き合うことも結婚することも出来ないけど、鈴木さんのその気持ちはきっと嬉しいものだと思うよ。」



「絶対に嬉しくないと思います。
そんな面倒なことをわざわざ伝えた私に凄くガッカリするはずです。」



「そんなことはきっと思わないよ。
自分のことを好きになってくれて頑張って気持ちまで伝えてくれたら、男なら普通は嬉しいと思うよ。」



「そうかなぁ。
じゃあ、もしも伝えられそうなら伝えてみようかなぁ。」



鈴木さんがそう言って、逃げた。



青さんは絶対に気付いていないけれど、これはこの会話から上手く逃げたのだと私には分かった。



”ダメ秘書“なはずなのにそれが分かってしまい、いつもと同じ笑顔で笑い続ける鈴木さんのことを見てまた胸がキュッとする。



自分のその気持ちは面倒だと思われると思っている鈴木さん。



自分の気持ちを伝えることで相手をガッカリさせると思っている鈴木さん。



大月学園出身の鈴木さんはきっと”普通“の若い女の子ではなくて。



だからこそ、庄司さんが”月“から”星“まで連れてきたのだと分かる。



体調が悪いと遅刻をすれば庄司さんみたいな人でも凄く気に掛けてしまうくらいの存在だということも分かる。



”ダメ秘書“と言われてしまう私なんかよりもずっと、何でも上手く出来て上手くやってきた女の子だということも分かる。



それが分かるから、やっぱりまた胸がキュッとなる。



いつもの笑顔でまた青さんのことを見上げた鈴木さんが口を開く。



”失恋が辛すぎるので退職したいです。“



そう言うんだろうなと思った。



”可哀想だな“とは思うけど、私にはどうすることも出来ないのでギュッと口を結んだ。



その、時・・・



「鈴木さん、山と海、どっちが好きかな?」



青さんが急にそんな質問をした。
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