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花火を見るのは久しぶりだった。
小学校や中学校の頃は、近所にある土手で花火大会が開催されるので毎年見に行っていた。
高校や大学に入ってからも、たまに友達と見に行っていた。
社会人になってからは見に行っていなかったので久しぶりだった。
「花火、久しぶりに見た。」
「俺もだね。」
「そうなんだ?彼女は?」
「花火の音が嫌いだから見にきたことがなかったよ。」
「・・・さっき好きって言ってなかった?」
「嫌いだけど好きでもある。」
先生がそう言うと、また大きな大きな花火の音が聞こえる。
何度も何度も・・・。
「悠ちゃん。」
先生に呼ばれ先生を見ると、真面目な顔で私を見ている・・・。
「花火の音が終わるまで、抱き締めていてもいいかな?」
そんなことを言われた・・・。
先生からそんなことを言われた・・・。
心臓の音が大きく大きく鳴る・・・。
大きく大きく・・・。
花火の打ち上がる音と重なるくらい大きく・・・。
私は、先生のことが好きで・・・。
こんなに優しいし格好良いし、当たり前だけど好きで・・・。
だから、片想いのままでいいと思っていた。
密かに想っているだけでいいと思っていた。
女を見る目がない先生だけど、お互い誰かと結婚して一緒に仕事が出来るだけでいいと思っていた。
先生を不幸にしてしまうのは、私ではない誰かでいてほいと思っていた。
何も言えない私に、先生がゆっくりと近付いてきて・・・
それを見ながら涙が流れてしまった・・・。
「私が良い女じゃないってことなのに・・・。」
「悠ちゃんは良い子だし、良い女の子だよ。」
先生が優しく笑って、私を優しく抱き締めた時・・・
花火の音がまた大きく大きく響いた・・・。
それが重なる・・・。
私の心臓の大きな大きな音と・・・。
先生の胸についた私の耳から聞こえる、先生の心臓の音と・・・。
花火の音に私と先生の心臓の音が重なり、大きくなった。
もっともっと、大きくなった・・・。
それを聞きながら、私もゆっくりと先生の背中に両手を回した・・・。
小学校や中学校の頃は、近所にある土手で花火大会が開催されるので毎年見に行っていた。
高校や大学に入ってからも、たまに友達と見に行っていた。
社会人になってからは見に行っていなかったので久しぶりだった。
「花火、久しぶりに見た。」
「俺もだね。」
「そうなんだ?彼女は?」
「花火の音が嫌いだから見にきたことがなかったよ。」
「・・・さっき好きって言ってなかった?」
「嫌いだけど好きでもある。」
先生がそう言うと、また大きな大きな花火の音が聞こえる。
何度も何度も・・・。
「悠ちゃん。」
先生に呼ばれ先生を見ると、真面目な顔で私を見ている・・・。
「花火の音が終わるまで、抱き締めていてもいいかな?」
そんなことを言われた・・・。
先生からそんなことを言われた・・・。
心臓の音が大きく大きく鳴る・・・。
大きく大きく・・・。
花火の打ち上がる音と重なるくらい大きく・・・。
私は、先生のことが好きで・・・。
こんなに優しいし格好良いし、当たり前だけど好きで・・・。
だから、片想いのままでいいと思っていた。
密かに想っているだけでいいと思っていた。
女を見る目がない先生だけど、お互い誰かと結婚して一緒に仕事が出来るだけでいいと思っていた。
先生を不幸にしてしまうのは、私ではない誰かでいてほいと思っていた。
何も言えない私に、先生がゆっくりと近付いてきて・・・
それを見ながら涙が流れてしまった・・・。
「私が良い女じゃないってことなのに・・・。」
「悠ちゃんは良い子だし、良い女の子だよ。」
先生が優しく笑って、私を優しく抱き締めた時・・・
花火の音がまた大きく大きく響いた・・・。
それが重なる・・・。
私の心臓の大きな大きな音と・・・。
先生の胸についた私の耳から聞こえる、先生の心臓の音と・・・。
花火の音に私と先生の心臓の音が重なり、大きくなった。
もっともっと、大きくなった・・・。
それを聞きながら、私もゆっくりと先生の背中に両手を回した・・・。
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