【完】秋の夜長に見る恋の夢

Bu-cha

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何度か小さく深呼吸をしてから振り返った。
武蔵に振り返った。
私の婚約者に・・・私と結婚なんてしたくないと思っている婚約者に・・・。



日曜日なのに武蔵は会社に行かなかった。
会社に行かず、眼鏡の奥にある小さく見える目で優しく笑った。



そんな武蔵に笑い返すことなく見上げた。



「じゃあ、来年の立冬の日には戻るから。」



「たまには帰ってきなよ。」



「武蔵に会いたくないから帰らない。」



私がそう答えると武蔵は悲しそうな笑顔で笑った。



そんな武蔵に笑い返すことなく背中を向けた。



背中を向けた。



そして、屋敷の扉を開けた・・・。



扉を開けて、1歩・・・



1歩・・・



出ようとして・・・



出ようとして・・・



もう1度・・・



もう1度だけ、振り返った・・・。



振り返った・・・。



最後にもう1度だけ確認したかったから・・・。



武蔵の目に・・・



武蔵の目に・・・



本当に・・・



本当に、恋の色がないのか・・・。
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