異世界から来た妾とヘタレ陛下と優しい悪役令嬢

第十六話：再会

勇者様の声がしたので、慌てて顔を上げるとそこには想像してなかった人の姿があります。とても間抜けた顔だったと思います。

「へ、陛下。ど、どうしてここに」

侍女のマリーの台詞です。私は声も出せずにイラス様と見つめあってました。

「見つめあってるところ悪いが、マホ様は口元を拭いた方がよくないか？ 間抜け面すぎて笑えるぞ」

勇者様の言葉に慌てて、マリーが口元を拭いてくれる。どうしてイラス様がここにいるのでしょうか？ 私を殺しに来たとは思えないし、こんな遠くに来て大丈夫なのでしょうか。勇者様と一緒ということは、もしかして瞬間移動とかいう魔法でしょうか？

「旦那様、密入国ですか？ 王様が密入国はマズイですよ！」

私が周りに聞こえないように小声で注意する。

「誰のせいで密入国したと思ってるんだ」
「旦那様～？ お前、そんな風に呼ばせてんのか？」

イラス様と勇者様が同時に喚きます。どうやら私のせいで密入国したようです。
イラス様と勇者様はお好み焼きを頼んでます。

「話は人がいなくなってからだ」

勇者様の言葉に頷くと私とマリーも残りのお好み焼きを食べることにした。

「このお好み焼きというのは美味しいな。海鮮が入ってるのがいい」

イラス様がお好み焼きを一口食べて感動してます。今までに食べたことのない味に驚いてるのでしょう。

「ソースも抜群なんだ。マヨネーズもかけてみろ。違う味が楽しめるぞ。麺も入れるといいんだが、残念ながら麺は開発中だな」

勇者様もお好み焼きを褒められて嬉しいのか、イラス様の世話を焼いてます。なんか日本のものを褒められると自分が作った訳でもないのに妙に嬉しいです。
どうやら勇者様の話によるとこのお好み焼きは『異界店（ジパングショップ）』で売ってるお好みソースとマヨネーズのおかげらしいです。

こうして店が閉まるまで私たちは食べることに集中することになった。ウータイ焼きもイラス様に気にいっていただけました。