Hate or Fate?

たきかわ由里

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「…夕」
「ん?」
 そのまま、宵闇は黙り込む。
「…ずっと…」
 耳元で聞こえる声。ああ、今ならちゃんと聞いてるぞ。このタイミングかって気もするけど、まあいいよ。雰囲気悪くないし。
「俺の……」
 俺の? その先は? 言うなら早く言えよ、うんって言ってやるから。
 って、俺はめっちゃ待ってたんだけど。
 長い間の後、宵闇はぱっと腕を離す。
「よし、リプ返しよう」
「は?」
「公開しましたのお知らせも!」
「はあ?」
 待て待て待て。俺の期待にも応えやがれ。
 宵闇はそそくさとテーブルに戻って、スマホを手にした。
 いやそれ、お前はパソコンから返せば良くねぇ?
 俺がパソコンに張り付いてても意味ねぇし。俺も戻って自分のスマホを開く。すっげーリプライ溜まってる。
 ぽちぽちと返事を返しながら、雪村さんから預かって来たレジ袋を思い出す。それを取って、スマホに向かってる宵闇に差し出す。
「ほれ、これ」
「何だ?」
「お前がよく眠れるようにって」
 宵闇は受け取って中を覗く。
「買って来てくれたのか?」
「いや、雪村さんから。お前の話したら、俺とお前にって差し入れくれた」
「へぇ…全部飲めばいいかな」
「いや、全部は何となくヤベぇだろ」
 寝たいのか動きたいのかどっちだって感じになるし、入浴剤は飲むな。
「お前の分は?」
「俺は別にそこまで疲れてねぇし、全部置いてくから」
「置いてく?」
 いや、俺は普通に睡眠とれてるから、大して必要ねぇ。
 リプライ返した人から、またリプライ来るからなかなか減らねぇな。入力してる途中にいいね来るし、なかなか忙しねぇわ。
 ヤツに返事するのを忘れて、完全にテニスのラリーと化したツイッターと闘ってると、宵闇が口を開く。
「泊まってけよ」
「何で。一人でゆっくり寝ろよ。その方が休めるだろ」
 お前をどうにか休ませてぇと思ってんだよ、俺は。大人しく一人で寝てくれ。
「…お前がいる方がよく寝れる」
「あ?」
「何か、お前がいるとちゃんと寝られるんだよ」
「何それ」
「一人だと寝付き悪いからさ」
「え?」
 そりゃ初耳だ。一緒にいると、秒で寝るじゃねぇかよ。マジか。
「いいだろ?」
 ほんと、妙なとこで積極的だなお前は。
「あー…いいけど」
 そう言うんなら、まあ、俺はどっちでも全然寝れるし。駐車料金は、夜間だからそんな高くなかったし。
 正直、俺も一緒にいてぇしな。
「よし、決まりだ。リプ返終わったら、風呂入れるよ。せっかく入浴剤ももらったし」
 顔を上げると、嬉しそうな顔でもらったものを並べてる。えーと、そのきき湯は疲労回復用だな。ゆっくり入れ。
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