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第十九話【【救われたもの】】後
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「どうした?」
「我慢している間、暇だから。冬真、コマンドちょうだい?」
言われなくとも、お座りをした状態でおねだりするかのように見上げられ、何を希望しているかが分かった。あんなことを言ったくせにと、思いつつもねだられれば愛おしさがこみ上げ冬真は笑い返した。
「力也、Lick」【舐めろ】
待っていましたとばかりに、両手で包み舌を這わせ始めた力也の頭に冬真の手がそえられる。強くつかむわけでも、押し付けるわけでもなく、ただそえられた手にむず痒さを感じつつ先ほどまで後ろで感じていた欲の象徴の先端に挨拶のように口づけをする。
見上げれば、嬉しそうに笑う冬真と目が合う。たまに頭を滑る手は優しく、撫でてくれるときと同じものだった。
その様子に、力也は後ろへ入れられているお湯の感覚をどこか遠くに感じながら、舌を絡ませ亀頭をなぞり、口に含んだ。
今まで喉奥で感じろと言われたことも、出される物を大好物になれと言われたこともあった。もちろん、気持ちよさそうなDomの顔をみると満たされたしうれしかったからそうできるように努力はした。
でも、その相手ともうまくいかず分かれてしまった。思えば求められることを努力したけど、自分から進んでやりたいと思えるほどの幸福感を感じたことはない。
こうしてほしいという要求だけを聞いて、それに向かって努力したけど、自分で課題を化したことも、上を目指したいと思ったこともない。それでも、相手は要求してくるし、どうしてほしいか言ってくる。ならばそれをきいて実行するほうが確実だった。
こうしたら?こっちはどう?探ることもできなかった。きっとそれは求められてはいなかったんだろう。
「うまいうまい」
どうかなと目線を送れば、すぐに気づきなでなでと頭をなでる冬真に、これがほしかったんだとやっとわかった気がした。自分で喉の奥へと誘い込み、激しく頭を動かせばそえられていただけの手に力がこもる。
「力也、いつもの、覚えてるよな?無理だったら噛め」
コクリと頷けば、そえられていた両手がしっかりとつかんだ。ガツガツと喉奥に当たるぐらいに勢いよく動かされ、下手に抵抗しないように体から力を抜く、それでも頭が何度も揺られガクガクとする。
陰毛に鼻がうずまるぐらいまで突っ込まれれば、吐き気とともに呼吸が苦しくなる。ずるっと抜ける感覚、顎の痛み、次第に力が入っていないはずの体が小刻みに震えだす。
クラリと意識が遠のきそうになるも、次の瞬間奥深くに突っ込まれまた意識を引き戻される。
「力也、飲め」
生理的な涙が止まらず、何をされているのかわからなくなってきた頃、冬真はそう言い力也の顔を少し上に向かせ口の中へと精液を吐き出した。
「ぐっ」
喉の奥深く出され、吐き気が一気にこみ上げるもしっかりと気道を確保するように上へと向けられている所為で意外なほどあっさりと喉を通り食道へと落ちていく。
自然に喉が鳴り、飲み込んだのを確認し冬真は力也の頭を後ろへと引き口から性器を取り出した。
「はぁっ…はぁっ…」
「Good Boy飲んでくれてありがとう」【よくできました】
足りなかった酸素を体内に取り入れようと浅い呼吸を繰り返す力也の頭をなで、お礼を言うと冬真はその体を抱きしめた。
「こっちも限界だろ?」
そういうと、片手でパンパンに張った力也のお腹へと手をあてる。手を当てれば、キュルキュルという音と振動が聞こえ、急に意識が戻ったんだろう力也の顔が苦悶の表情へと変わっていく。
「力也、だせ」
「ハァッ……」
冬真が尾てい骨のあたりを軽く叩けば、中にため込まれたお湯が勢いよく噴出した。色が混じったそれは排水溝へと消えていく、勢いよくでた後も、お湯をたらし続けるその体を抱きしめたままシャワーを取り、すべて出し切るように、洗い流す意味も込めお湯を尾てい骨のあたりに当てる。
排泄を促す部分を温められ、お湯だけでなく、力也の性器からも少量の尿が流れ出す。
一瞬気づくのが遅れたんだろう、力也の瞳がそれをとらえ、その体がビクッと動いた。
こっちは許可されていないと気づいたんだろう。
「いいよ。もともと今日はご褒美のつもりだったし、お仕置きなし」
その様子に、冬真は苦笑し、落ち着けるように頭をポンポンと叩く。そうして前も後ろも全部出し切ったその体をもう一度綺麗にシャワーで流した。
「ご褒美?」
「そう、マミを救っただろ?」
「でも、あれは冬真が先に動いたじゃん」
「それでも、俺だけじゃダメだったし。むしろあの時にお前が守らなければ取り返しのつかないことになってた。だからお前の手柄なんだよ」
「そんなこと…」
「そんなことあるんだ。マミだけじゃなく、孝仁さんが踏みとどまれたのもお前のおかげだ。俺は怒ることしかできなかった。神月監督も、俺にほめろって言ってた」
「神月監督も…」
「お前はもっと誇っていいんだ。力也、俺のフォローをしてくれてありがとう。マミも孝仁さんも救ってくれてありがとう。お前はきっと言ってもわからないと思うから、俺からの言葉を聞いて、受け入れて。俺は苦しむSubを見たくない。壊され、自分を失ったSubを見たくないんだ。だから、本当にお前がいてくれてよかった。今日、お前は俺の気持ちも救ったんだ。すごくすごく、いいこだ。何度でもいう、ありがとう力也。Good Boy」【よくできました】
「…もう、冬真そうやって…何度もGood Boyって言うから、俺図に乗っちゃいそうだよ」
「好きなんだろ?これ」
「好き、好き…うれしい」
今日気に入っているって知れたから、どんどん使うことにしたと笑う冬真の背に手をまわし、顔を軽くこすりつけると力也はその耳元で“ありがとう”とつぶやいたのだった。
いままでもこうして、救ったことはある。それでも力也はここまでの幸福感をもらったことも、惜しみない称賛をもらったこともなかった。
この前も、今日も力也は冬真に命じられたから動いたのではなく、むしろ自分の判断で勝手に動いた。それを冬真は褒め、感謝までしてくれた。
冬真を助けようと動いたわけではなく、その時力也の頭の中からは冬真のことは隅へと追いやられていた。それでも、正しいことをしたのだからと怒ることも否定することもなく、ただその行いを認め、自分の力量不足を口にし、心からの言葉をくれた。
その言葉も、体も、背中に回された手もただただ暖かく、力也はこの瞬間確かに自分も救われたと感じたのだった。
「我慢している間、暇だから。冬真、コマンドちょうだい?」
言われなくとも、お座りをした状態でおねだりするかのように見上げられ、何を希望しているかが分かった。あんなことを言ったくせにと、思いつつもねだられれば愛おしさがこみ上げ冬真は笑い返した。
「力也、Lick」【舐めろ】
待っていましたとばかりに、両手で包み舌を這わせ始めた力也の頭に冬真の手がそえられる。強くつかむわけでも、押し付けるわけでもなく、ただそえられた手にむず痒さを感じつつ先ほどまで後ろで感じていた欲の象徴の先端に挨拶のように口づけをする。
見上げれば、嬉しそうに笑う冬真と目が合う。たまに頭を滑る手は優しく、撫でてくれるときと同じものだった。
その様子に、力也は後ろへ入れられているお湯の感覚をどこか遠くに感じながら、舌を絡ませ亀頭をなぞり、口に含んだ。
今まで喉奥で感じろと言われたことも、出される物を大好物になれと言われたこともあった。もちろん、気持ちよさそうなDomの顔をみると満たされたしうれしかったからそうできるように努力はした。
でも、その相手ともうまくいかず分かれてしまった。思えば求められることを努力したけど、自分から進んでやりたいと思えるほどの幸福感を感じたことはない。
こうしてほしいという要求だけを聞いて、それに向かって努力したけど、自分で課題を化したことも、上を目指したいと思ったこともない。それでも、相手は要求してくるし、どうしてほしいか言ってくる。ならばそれをきいて実行するほうが確実だった。
こうしたら?こっちはどう?探ることもできなかった。きっとそれは求められてはいなかったんだろう。
「うまいうまい」
どうかなと目線を送れば、すぐに気づきなでなでと頭をなでる冬真に、これがほしかったんだとやっとわかった気がした。自分で喉の奥へと誘い込み、激しく頭を動かせばそえられていただけの手に力がこもる。
「力也、いつもの、覚えてるよな?無理だったら噛め」
コクリと頷けば、そえられていた両手がしっかりとつかんだ。ガツガツと喉奥に当たるぐらいに勢いよく動かされ、下手に抵抗しないように体から力を抜く、それでも頭が何度も揺られガクガクとする。
陰毛に鼻がうずまるぐらいまで突っ込まれれば、吐き気とともに呼吸が苦しくなる。ずるっと抜ける感覚、顎の痛み、次第に力が入っていないはずの体が小刻みに震えだす。
クラリと意識が遠のきそうになるも、次の瞬間奥深くに突っ込まれまた意識を引き戻される。
「力也、飲め」
生理的な涙が止まらず、何をされているのかわからなくなってきた頃、冬真はそう言い力也の顔を少し上に向かせ口の中へと精液を吐き出した。
「ぐっ」
喉の奥深く出され、吐き気が一気にこみ上げるもしっかりと気道を確保するように上へと向けられている所為で意外なほどあっさりと喉を通り食道へと落ちていく。
自然に喉が鳴り、飲み込んだのを確認し冬真は力也の頭を後ろへと引き口から性器を取り出した。
「はぁっ…はぁっ…」
「Good Boy飲んでくれてありがとう」【よくできました】
足りなかった酸素を体内に取り入れようと浅い呼吸を繰り返す力也の頭をなで、お礼を言うと冬真はその体を抱きしめた。
「こっちも限界だろ?」
そういうと、片手でパンパンに張った力也のお腹へと手をあてる。手を当てれば、キュルキュルという音と振動が聞こえ、急に意識が戻ったんだろう力也の顔が苦悶の表情へと変わっていく。
「力也、だせ」
「ハァッ……」
冬真が尾てい骨のあたりを軽く叩けば、中にため込まれたお湯が勢いよく噴出した。色が混じったそれは排水溝へと消えていく、勢いよくでた後も、お湯をたらし続けるその体を抱きしめたままシャワーを取り、すべて出し切るように、洗い流す意味も込めお湯を尾てい骨のあたりに当てる。
排泄を促す部分を温められ、お湯だけでなく、力也の性器からも少量の尿が流れ出す。
一瞬気づくのが遅れたんだろう、力也の瞳がそれをとらえ、その体がビクッと動いた。
こっちは許可されていないと気づいたんだろう。
「いいよ。もともと今日はご褒美のつもりだったし、お仕置きなし」
その様子に、冬真は苦笑し、落ち着けるように頭をポンポンと叩く。そうして前も後ろも全部出し切ったその体をもう一度綺麗にシャワーで流した。
「ご褒美?」
「そう、マミを救っただろ?」
「でも、あれは冬真が先に動いたじゃん」
「それでも、俺だけじゃダメだったし。むしろあの時にお前が守らなければ取り返しのつかないことになってた。だからお前の手柄なんだよ」
「そんなこと…」
「そんなことあるんだ。マミだけじゃなく、孝仁さんが踏みとどまれたのもお前のおかげだ。俺は怒ることしかできなかった。神月監督も、俺にほめろって言ってた」
「神月監督も…」
「お前はもっと誇っていいんだ。力也、俺のフォローをしてくれてありがとう。マミも孝仁さんも救ってくれてありがとう。お前はきっと言ってもわからないと思うから、俺からの言葉を聞いて、受け入れて。俺は苦しむSubを見たくない。壊され、自分を失ったSubを見たくないんだ。だから、本当にお前がいてくれてよかった。今日、お前は俺の気持ちも救ったんだ。すごくすごく、いいこだ。何度でもいう、ありがとう力也。Good Boy」【よくできました】
「…もう、冬真そうやって…何度もGood Boyって言うから、俺図に乗っちゃいそうだよ」
「好きなんだろ?これ」
「好き、好き…うれしい」
今日気に入っているって知れたから、どんどん使うことにしたと笑う冬真の背に手をまわし、顔を軽くこすりつけると力也はその耳元で“ありがとう”とつぶやいたのだった。
いままでもこうして、救ったことはある。それでも力也はここまでの幸福感をもらったことも、惜しみない称賛をもらったこともなかった。
この前も、今日も力也は冬真に命じられたから動いたのではなく、むしろ自分の判断で勝手に動いた。それを冬真は褒め、感謝までしてくれた。
冬真を助けようと動いたわけではなく、その時力也の頭の中からは冬真のことは隅へと追いやられていた。それでも、正しいことをしたのだからと怒ることも否定することもなく、ただその行いを認め、自分の力量不足を口にし、心からの言葉をくれた。
その言葉も、体も、背中に回された手もただただ暖かく、力也はこの瞬間確かに自分も救われたと感じたのだった。
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