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2、恋人はご機嫌ななめ

キスの続き

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 唇が離れて。

 良平の咽からふっと熱い息が漏れる。

「まだ……心配か?」

 貴広は良平の耳にそう吹き込んだ。

「うぅっ」

 貴広に耳を攻められて、良平がその身をキュッと縮こめる。

「あ……あ……貴広さん……」

 貴広は腕の中の若い身体が熱を持つのを確かめて、立ち上がった。

「おいで良平」

 良平は赤い頬をして貴広を見上げる。貴広は良平の手を取り、勢いよく立ち上がらせた。そのまま隣室の寝床に放り込む。

「んっ……」

 晩酌は早く切り上げて交替で風呂を使った。風呂上がりはルーズなパジャマ姿だったり、最低限の下着だけだったり、良平は気分で好きな格好をする。

 今日は、ジーンズに綿シャツ。そのシャツが、ベッドに放り込まれた勢いで大きくめくれ上がる。無駄肉のない腹が顕わになる。

 貴広はその腹に指を這わせた。

「可愛い。良」

 良平は貴広の首に腕を回し、キュッと両膝をすり合わせる。

「ん……」

 少しのワインが良平の反応を甘やかにさせていた。いつもより可愛らしさが三割増しだ。

「貴広さん……ここ、キツい」
「ん?」
「外して……早く……」

 貴広は良平の耳許でクスクスと笑った。

「そんなこと言って。自分で履いたんだろ」
「う……」

 貴広の指を探し、良平の腰がうねる。

「こんなんなるの分かってたクセに」
「あ」

 ゆっくりと貴広がジッパーを下ろす。ジーというその音も良平の吐息を熱くする。

「脱がされるのもスキなんだ」
「違……」

 良平はイヤイヤと首を振る。着衣をはぎ取られる瞬間のためらい、羞恥、それらは二年経った今でも変わらない。違うのは、そのあとに訪れる甘い感覚を、良平はすでに知り尽くしているところ。

 期待に身体を大きく弾ませてしまうところ。

「あ……っ!」

 縛めを解かれて自由になった身体を、良平は大きく震わせた。

「たかひろさん……」

 良平の細い指が貴広の頬を、顎を伝う。

 貴広はその指に導かれ、熱い肌に唇を触れた。
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