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第4話
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当時干ばつの酷い地域があり、七十四代目皇帝陛下は頭を悩ませていた。そんな時、陛下の耳には雨を降らせることの出来る平民がいると言う噂を耳にした。陛下はすぐさまその平民を王宮に招いた。十四歳だった少女に陛下は数年に渡り雨を降らせることを命じたそうだ。その間魔法を使う時以外は閉じ込め、逃げないように監視がついた。彼女が十九歳になった時、漸く干ばつ地域は無くなった。陛下は彼女に褒美として七十五代目皇帝の皇后という立場を渡したのだ。しかし、彼女が皇后になってからというもの、多数の災害が起きた。そして全ての災害が皇后の責任となったのだ。しかし、当時懐妊していた皇后を殺すわけにもいかず、皇帝は災害を止めよと皇后に命じた。その時に皇后が作ったのが、この腕輪と王宮内で魔法を使えなくする結界だそうだ。皇后はそれを創り出すことにより災害を止めた。やがて皇后は子を産み、皇太子が生まれたと同時に亡くなったそうだ。
これがクラリスさんの全てだった。しかし、私は知っている。その時代、悪政が続いたせいで税が引き上がり、格差社会が酷かったがために、干ばつが起きたのだということを。習った当時、私にも疑問があった。それは悪政が続いたからと言ってなぜ災害が起きたのかということだ。それも期間は短いのに一つ一つの災害は深刻で、尚且つ王宮に近い場所で起きたことだった。だが、駆け足でこの国の歴史を学んでいた私にとってそこまで詳しく知りたい話題でもなかった。まさかこんな状態で答えを知るとは思わなかった。
殿下が『やはり』と言ったのは、クラリスさんの日記にこんな文章があったからだという。
【あと一年しかない】
日付は皇帝陛下と結婚した日。その文を読んだ殿下はあと一年というものが何かを表しているのだと考察したらしい。寿命では無いと分かっていたので、精霊との約束か何かだろうと推測したんだとか。日記には主に精霊についての謝罪が書かれていて、雷の精霊の加護というのは日記から分かったそうだ。
「その日記、私が読んでもいいですか?」
「いいだろう。明日持ってこよう」
「ありがとうございます」
「ナナが文字を読めるのは精霊がいるからか?」
「精霊がいるから、と言うよりは精霊に教えてもらったからですね」
「そうなのか…他にもなにか教わったのか?」
「文字、言語、文化、護衛術、魔法、貴族としての振る舞い方…です。他にも人として大切なことを学びました。それから、彼らは私にとって家族です。精霊と引き離された今、殿下方にはとても腹を立てています」
「随分正直に言うな」
「このノリじゃ陛下と殿下が私をクラリスさんのように扱いそうじゃないですか。嫌ですよ、私は。こんなとこで精霊に会えないまま死ぬなんてありえない」
「無論、クラリス皇后と同じように扱う気は無い」
「クラリスさんと同じ牢に閉じ込めておいて何を抜けぬけと」
「何故それを?」
「鎖についてる引っかき傷と腕輪の引っかき傷が同じです」
「あぁ、それでか」
「で?私はこのまま魔獣討伐し続けて殺されるわけですか?クラリス皇后と違うったって些細な違いじゃありませんか…」
「だから、違うと言っているだろう」
「なら、今すぐ腕輪を外してください」
「それは無理だ」
「何故ですか?」
「はずし方がわからないのだ。それはクラリス皇后が亡くなられた際にのみ外れたのだ」
「はあ?なんでそんなのつけたんです?」
「精霊に暴れられても困るからな」
「暴れるに決まってんでしょう」
「だから、つけてもらったんだ。とにかく聞いてくれ」
「……」
「これから、ナナとは友好な関係を築きたい。魔物討伐に参加してくれるのならば、地下には閉じこめないと約束しよう。それに、人間に危害を加えないならば腕輪をとる方法を模索していい」
「いいでしょう。しかしこちらも四つ条件があります。そのことを許可してください」
私は四つの条件を伝えた。
一・魔物討伐の際には私は前線で戦うこと
二・人助けに魔法を使うこと
三・牢以外での生活
四・平穏な生活の保障、自由の保証、それなりの権限の保証
「いいだろう。地位は神官、権限は私と同じにしよう。牢以外となると…どこにしようか」
「ここは神殿ではないのですか?」
「神殿と言ってもただの地下牢だ。知ってるものもほぼ皆無だ」
「うわぁ…なら、家が欲しいです。私専用の」
「ふむ…ならばいっそ新しい神殿を建てるか」
「名称はなんでもいいですけど、小さい家にしてくださいね。一人暮らし用の」
「一人暮らしでは使用人が住めないだろう?」
「使用人なんていりませんよ。ここの人皆冷たいですし」
「冷たい?」
「私が引きずられてるのに我関せずって顔してましたよ?」
「ああ、それはしょうがない。あそこにいたヤツらは興味がなかったんだろう。少なくとも、他のところなら普通の奴もいる」
「なんですか、その不気味な人達は」
「王宮の、しかも王に近ければ近い立場のものほど腹黒くなっていくんだ」
「つまりどこの世も大差ないんですね」
私がボソリと呟いたので殿下には届かなかった。前世でも政治家は同じようなものばかりだったと思い出す。上司も、政治家も下々のことには興味がなかった。仕事が滞れば必要以上に怒鳴るしか能のないクズ共だった。
「話は戻すが、使用人は付けるからな」
「いや、いりませんて」
「せめて十人だ」
「いや多くて一人です。ついでに私が使用人を選びます」
「一人だと?だめだ!せめて五人だ」
「では、二人です。これ以上はいらないです」
「はぁ…良かろう、二人だな。しかし自分で見つけるってどうやるんだ?」
「街中でも適当に探しましょうかね」
「却下だ。せめて王宮内のものにしろ」
「それこそダメです。その人にはその人の仕事があります」
「街の人間も同じだ」
「では、孤児院から引き抜きます」
「孤児院!?」
「歳の近い人がいいですし」
「だが、彼らには使用人としての心得がないだろう」
「そうですね…では、どうしましょうか」
「………歳が近くて、使用人の心得のあるものねぇ…いるにはいるんだが」
「いるんですか?」
「会ってみるか?」
「会いたいです」
「では、都合が着いたら連絡しよう。それまでの世話は…」
そこまで言いかけて殿下は黙って私を凝視する。どした?数秒固まった後、いきなり一人で納得した。そんな殿下を見て思わずにはいられなかった。
(大丈夫か?こいつ)
「その目はやめてくれ。いいことを思いついたぞ。神殿ができるまでナナは私の部屋で過ごせ」
「何故ですか!?」
「嫌ならここで生活してもらうぞ」
「殿下の部屋がいいです」
私は究極の二択を迫られた後即答した。その即答ぶりに満足したのかなんなのかご機嫌で鎖の鍵を取り出して足枷を外してくれた。もしかして幼女趣味か?と思ってるうちに、ついてくるように言われたのでちょこちょことついて行く。一応私は七歳なのでそこまで早く歩けないから殿下はゆっくり歩いてくれている。部屋の外はロウソク以外の灯りがなく、寒い上に湿っていた。階段を上ると外に出た。出口は狭く、開閉可能だった。閉めると普通の地面なので、これは忘れられた日には助からないな、と背筋が凍った。外とはいえ王宮の中庭といった感じで魔法は使えない。それからは殿下の部屋に着くまで迷路のような同じような道をひたすら歩いた。
「さてと、私は今から父上に諸々報告してくる。先に寝ていろ」
部屋に着くやいなやそれだけ言い放つとどこかへ行ってしまった。寝ていろと言われてもベッドは一つだ。年齢的には大丈夫だが、殿下のベッドに勝手には寝れない。ので適当にだだっ広い部屋にまんべんなく敷き詰められた絨毯に寝っ転がる。地上と言うだけで暖かいし、絨毯だからさらに寝心地がよかった。トリシア家の地下のベッドは石にシーツをかけただけの冷たい上に硬いベッドだった。だから、絨毯という素晴らしいものは最高でそのまま寝落ちた。
どれくらい時間が経ったかわからない頃。私は夢を見ていた。
ぼんやりしていたものがはっきりと見えてくる。そこにいるのは黒髪黒目の美人がいた。目は虚ろで何も見えていないようだった。腕と足に痣が残っているのを見て直感的にクラリスさんではないのかと思った。
『あなたはクラリスさんですか?』
『…ご…めん…』
『え?なぜ謝るのですか?』
『…ユーゴ…に伝…て』
『ユーゴ?誰ですか?』
話が通じていない。もしかして会話は不可能なのか?と思った瞬間、クラリスさんが私に気づいて焦りだした。相変わらず消えそうな声で私に何かを必死に訴えた。
『うで…わの解除…仕方は…』
そのままクラリスさんは消えた。謎だけを残していったが、泣きそうな顔だった。とても大事なところだけが聞こえなかったことが悔しくて真っ白な空間に目を彷徨わせるが、誰もいなかった。
「…ナ」
「…ナナ!!」
誰かが読んでいることに気づいてぼんやりしつつ目を開けると殿下と侍女と医者?らしき人が焦って私を覗き込んでいた。
「は…?」
「大丈夫か!?」
「え?はい」
「良かった…!」
殿下が安心したように声を絞り出す。いや待って?何が起きたん?意味がわからずキョロキョロしてると、若い男の医者?らしき人が私の頭に手を当てたり脈を測ったりしてくる。いや病気じゃないんだけど。
「異常はないです」
そりゃそうでしょうよ!そこで私はやっと殿下に質問する。
「どうしたんですか?」
「どうしたも何もあるか!床で寝ている上に呻いてるし腕輪が光ってるし…」
叱られる必要があるか?ていうか腕輪光ってないし…だいじょぶなのかこのひと?という目を向けるとスパーンと頭を引っぱたかれる。
「痛いです」
「だろうな。なんで床で寝るんだ」
「殿下のベッドを勝手に使えませんて」
「だからって床に寝るんじゃない!」
「いや、快適でしたよ」
「おまえなぁ…!地下牢に放り込んでやろうか?」
「すみませんでした!」
「もういい!寝るぞ」
私はベッドに投げられる。殿下は焦ってる侍女と医者?達に何か指示をして皆を帰らせた。殿下は疲れたと言わんばかりにベッドに荒々しく入って不機嫌な顔で私を睨んだ。綺麗な顔の怒った顔の迫力って凄まじいね!
「もう床で寝るんじゃないぞ」
「はい。二度と致しません」
こくこくと私が頷くと殿下はそのまま眠った。つまりあれか?部屋に帰ったら私が床で呻いてて腕輪が光ってるから死ぬんじゃないかと思って人を呼んだ…的な?んな大袈裟な…今まで風邪をひこうが寝込んでようが気にもしなかったくせに。今更じゃないか。私は考えるのが馬鹿らしくなってそのまま眠った。結局『ユーゴ』と腕輪の外し方は分からないままだったし、夢にも出てこなかった。
これがクラリスさんの全てだった。しかし、私は知っている。その時代、悪政が続いたせいで税が引き上がり、格差社会が酷かったがために、干ばつが起きたのだということを。習った当時、私にも疑問があった。それは悪政が続いたからと言ってなぜ災害が起きたのかということだ。それも期間は短いのに一つ一つの災害は深刻で、尚且つ王宮に近い場所で起きたことだった。だが、駆け足でこの国の歴史を学んでいた私にとってそこまで詳しく知りたい話題でもなかった。まさかこんな状態で答えを知るとは思わなかった。
殿下が『やはり』と言ったのは、クラリスさんの日記にこんな文章があったからだという。
【あと一年しかない】
日付は皇帝陛下と結婚した日。その文を読んだ殿下はあと一年というものが何かを表しているのだと考察したらしい。寿命では無いと分かっていたので、精霊との約束か何かだろうと推測したんだとか。日記には主に精霊についての謝罪が書かれていて、雷の精霊の加護というのは日記から分かったそうだ。
「その日記、私が読んでもいいですか?」
「いいだろう。明日持ってこよう」
「ありがとうございます」
「ナナが文字を読めるのは精霊がいるからか?」
「精霊がいるから、と言うよりは精霊に教えてもらったからですね」
「そうなのか…他にもなにか教わったのか?」
「文字、言語、文化、護衛術、魔法、貴族としての振る舞い方…です。他にも人として大切なことを学びました。それから、彼らは私にとって家族です。精霊と引き離された今、殿下方にはとても腹を立てています」
「随分正直に言うな」
「このノリじゃ陛下と殿下が私をクラリスさんのように扱いそうじゃないですか。嫌ですよ、私は。こんなとこで精霊に会えないまま死ぬなんてありえない」
「無論、クラリス皇后と同じように扱う気は無い」
「クラリスさんと同じ牢に閉じ込めておいて何を抜けぬけと」
「何故それを?」
「鎖についてる引っかき傷と腕輪の引っかき傷が同じです」
「あぁ、それでか」
「で?私はこのまま魔獣討伐し続けて殺されるわけですか?クラリス皇后と違うったって些細な違いじゃありませんか…」
「だから、違うと言っているだろう」
「なら、今すぐ腕輪を外してください」
「それは無理だ」
「何故ですか?」
「はずし方がわからないのだ。それはクラリス皇后が亡くなられた際にのみ外れたのだ」
「はあ?なんでそんなのつけたんです?」
「精霊に暴れられても困るからな」
「暴れるに決まってんでしょう」
「だから、つけてもらったんだ。とにかく聞いてくれ」
「……」
「これから、ナナとは友好な関係を築きたい。魔物討伐に参加してくれるのならば、地下には閉じこめないと約束しよう。それに、人間に危害を加えないならば腕輪をとる方法を模索していい」
「いいでしょう。しかしこちらも四つ条件があります。そのことを許可してください」
私は四つの条件を伝えた。
一・魔物討伐の際には私は前線で戦うこと
二・人助けに魔法を使うこと
三・牢以外での生活
四・平穏な生活の保障、自由の保証、それなりの権限の保証
「いいだろう。地位は神官、権限は私と同じにしよう。牢以外となると…どこにしようか」
「ここは神殿ではないのですか?」
「神殿と言ってもただの地下牢だ。知ってるものもほぼ皆無だ」
「うわぁ…なら、家が欲しいです。私専用の」
「ふむ…ならばいっそ新しい神殿を建てるか」
「名称はなんでもいいですけど、小さい家にしてくださいね。一人暮らし用の」
「一人暮らしでは使用人が住めないだろう?」
「使用人なんていりませんよ。ここの人皆冷たいですし」
「冷たい?」
「私が引きずられてるのに我関せずって顔してましたよ?」
「ああ、それはしょうがない。あそこにいたヤツらは興味がなかったんだろう。少なくとも、他のところなら普通の奴もいる」
「なんですか、その不気味な人達は」
「王宮の、しかも王に近ければ近い立場のものほど腹黒くなっていくんだ」
「つまりどこの世も大差ないんですね」
私がボソリと呟いたので殿下には届かなかった。前世でも政治家は同じようなものばかりだったと思い出す。上司も、政治家も下々のことには興味がなかった。仕事が滞れば必要以上に怒鳴るしか能のないクズ共だった。
「話は戻すが、使用人は付けるからな」
「いや、いりませんて」
「せめて十人だ」
「いや多くて一人です。ついでに私が使用人を選びます」
「一人だと?だめだ!せめて五人だ」
「では、二人です。これ以上はいらないです」
「はぁ…良かろう、二人だな。しかし自分で見つけるってどうやるんだ?」
「街中でも適当に探しましょうかね」
「却下だ。せめて王宮内のものにしろ」
「それこそダメです。その人にはその人の仕事があります」
「街の人間も同じだ」
「では、孤児院から引き抜きます」
「孤児院!?」
「歳の近い人がいいですし」
「だが、彼らには使用人としての心得がないだろう」
「そうですね…では、どうしましょうか」
「………歳が近くて、使用人の心得のあるものねぇ…いるにはいるんだが」
「いるんですか?」
「会ってみるか?」
「会いたいです」
「では、都合が着いたら連絡しよう。それまでの世話は…」
そこまで言いかけて殿下は黙って私を凝視する。どした?数秒固まった後、いきなり一人で納得した。そんな殿下を見て思わずにはいられなかった。
(大丈夫か?こいつ)
「その目はやめてくれ。いいことを思いついたぞ。神殿ができるまでナナは私の部屋で過ごせ」
「何故ですか!?」
「嫌ならここで生活してもらうぞ」
「殿下の部屋がいいです」
私は究極の二択を迫られた後即答した。その即答ぶりに満足したのかなんなのかご機嫌で鎖の鍵を取り出して足枷を外してくれた。もしかして幼女趣味か?と思ってるうちに、ついてくるように言われたのでちょこちょことついて行く。一応私は七歳なのでそこまで早く歩けないから殿下はゆっくり歩いてくれている。部屋の外はロウソク以外の灯りがなく、寒い上に湿っていた。階段を上ると外に出た。出口は狭く、開閉可能だった。閉めると普通の地面なので、これは忘れられた日には助からないな、と背筋が凍った。外とはいえ王宮の中庭といった感じで魔法は使えない。それからは殿下の部屋に着くまで迷路のような同じような道をひたすら歩いた。
「さてと、私は今から父上に諸々報告してくる。先に寝ていろ」
部屋に着くやいなやそれだけ言い放つとどこかへ行ってしまった。寝ていろと言われてもベッドは一つだ。年齢的には大丈夫だが、殿下のベッドに勝手には寝れない。ので適当にだだっ広い部屋にまんべんなく敷き詰められた絨毯に寝っ転がる。地上と言うだけで暖かいし、絨毯だからさらに寝心地がよかった。トリシア家の地下のベッドは石にシーツをかけただけの冷たい上に硬いベッドだった。だから、絨毯という素晴らしいものは最高でそのまま寝落ちた。
どれくらい時間が経ったかわからない頃。私は夢を見ていた。
ぼんやりしていたものがはっきりと見えてくる。そこにいるのは黒髪黒目の美人がいた。目は虚ろで何も見えていないようだった。腕と足に痣が残っているのを見て直感的にクラリスさんではないのかと思った。
『あなたはクラリスさんですか?』
『…ご…めん…』
『え?なぜ謝るのですか?』
『…ユーゴ…に伝…て』
『ユーゴ?誰ですか?』
話が通じていない。もしかして会話は不可能なのか?と思った瞬間、クラリスさんが私に気づいて焦りだした。相変わらず消えそうな声で私に何かを必死に訴えた。
『うで…わの解除…仕方は…』
そのままクラリスさんは消えた。謎だけを残していったが、泣きそうな顔だった。とても大事なところだけが聞こえなかったことが悔しくて真っ白な空間に目を彷徨わせるが、誰もいなかった。
「…ナ」
「…ナナ!!」
誰かが読んでいることに気づいてぼんやりしつつ目を開けると殿下と侍女と医者?らしき人が焦って私を覗き込んでいた。
「は…?」
「大丈夫か!?」
「え?はい」
「良かった…!」
殿下が安心したように声を絞り出す。いや待って?何が起きたん?意味がわからずキョロキョロしてると、若い男の医者?らしき人が私の頭に手を当てたり脈を測ったりしてくる。いや病気じゃないんだけど。
「異常はないです」
そりゃそうでしょうよ!そこで私はやっと殿下に質問する。
「どうしたんですか?」
「どうしたも何もあるか!床で寝ている上に呻いてるし腕輪が光ってるし…」
叱られる必要があるか?ていうか腕輪光ってないし…だいじょぶなのかこのひと?という目を向けるとスパーンと頭を引っぱたかれる。
「痛いです」
「だろうな。なんで床で寝るんだ」
「殿下のベッドを勝手に使えませんて」
「だからって床に寝るんじゃない!」
「いや、快適でしたよ」
「おまえなぁ…!地下牢に放り込んでやろうか?」
「すみませんでした!」
「もういい!寝るぞ」
私はベッドに投げられる。殿下は焦ってる侍女と医者?達に何か指示をして皆を帰らせた。殿下は疲れたと言わんばかりにベッドに荒々しく入って不機嫌な顔で私を睨んだ。綺麗な顔の怒った顔の迫力って凄まじいね!
「もう床で寝るんじゃないぞ」
「はい。二度と致しません」
こくこくと私が頷くと殿下はそのまま眠った。つまりあれか?部屋に帰ったら私が床で呻いてて腕輪が光ってるから死ぬんじゃないかと思って人を呼んだ…的な?んな大袈裟な…今まで風邪をひこうが寝込んでようが気にもしなかったくせに。今更じゃないか。私は考えるのが馬鹿らしくなってそのまま眠った。結局『ユーゴ』と腕輪の外し方は分からないままだったし、夢にも出てこなかった。
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