御簾の向こうの事件帖

里見りんか

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第2章 怨霊屋敷に巣食うモノ

2 怨霊屋敷の探索1

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 近衛の舎人から怨霊屋敷について聞いた、その晩のこと。時峰ときみねは、親友の小野明衡おののあきひらとともに、件の屋敷を訪れた。

 時峰が用意した牛車に、二人で乗り合わせて、怨霊屋敷の前で待つ。

 怨霊というから、どんなに立派な邸宅かと思ったが、その屋敷は、想像していたのより、だいぶ小さかった。

 街中に軒を連ねる庶民の家よりは、勿論大きい。おそらく、時峰の暮らす藤原の屋敷の、西の対屋と同じくらいの大きさか。よく見ると、外観も似ている。

 それが、草がぼうぼうと生い茂る向こうに、頭半分のぞかせて建っている。
 その草のせいで、牛車では、これ以上、側に近づくことは出来そうにない。

「それで? あの屋敷に、夜になると女の怨霊が出るんだって?」

 大柄な明衡が、身体を丸めて、牛車の物見窓から外を覗き込んだ。怨霊だなんて、本来なら恐れ慄いてもおかしくないのに、この男は、むしろ楽しそうだ。

 明衡が片方の眉をキュッとあげて、

「時峰、怖がってないよな?」
「ふん。別に怖かないさ。」

 多少、気味が悪いなと感じていたが、親友の前で無様な真似は見せられない。

「明衡こそ、怖くないのか?」
「知ってるだろう? 俺はは結構、平気なんだ。」

 貴族たちは、高位のものほど怪異を怖がる。悪霊や物の怪は、人に害をなし、病を与えたり、時には命すらも奪うもの。
 だが、明衡はそういう怪異に対する恐怖のようなものを、あまり持ち合わせていないようだった。

「鈍感め。」

 時峰が誂うと、明衡が「わはは」と笑った。

 だが、この鈍感さが、他の者たちからは、とてつもなく勇敢な男の姿に映るらしい。親友であり、好敵手ライバルとしては、何だか納得がいかないところだ。

「どうなんだろうねぇ? 実際、悪霊なんてもの、俺は見たことないからなァ。」

 カラリと言い切る。
 こういうところが、この男の気持ちの良いところでもあった。明朗快活というのは、この男のためにあると言っても良い。

 時峰も、明衡の隣から覗き込んで、

「あの御格子の向こうに、明かりが、ぼんやりと灯って、女の霊が映るらしい。」

 すると、明衡が振り返って、

「まず、それがオカシイ。」

 人差し指を時峰の鼻先に突きつけた。

「だいたい、御格子ってのは普通、格子の向こうに板が貼ってあるわけで、向こう側で明かりがついたからと言って、部屋の中が透けて見えるはずがない。せいぜい、光が漏れるくらいだ。」

「それは、私も分かっている。」

 だから、時峰も考えた。怨霊とやらは、屋敷の中ではなく、外に現れるのかもしれない、と。

 その仮説を告げると、明衡は、「なるほどなぁ。」と顎の下に手を当てたが、やはり、そう信じているわけではなさそうだ。

「ちなみに、最後に女の霊が目撃されたのは、5日前だそうだ。」

 あくまで、舎人たちの噂話の範囲だから、本当に見た者に話を聞いたわけではない。
 すると、明衡が尋ねた。

「で、実際、この家の前の住人は、本当に夫婦者だったのか?」
「それが……」

 時峰は屋敷を調べると決めた時、舎人の男を通じて、この土地の権利者に確認してもらった。それによると、

「夫婦者かどうかは分からないが、以前は、大工の男に貸していたらしい。」
「大工?」
「平六という名の、なかなか腕の立つ男で、木工寮もくりょうからも重用されていたようだ。」

 木工寮は、宮内省に属する機関の一つで、宮廷内や神社仏閣の建築や修繕、京内の公共工事、木製品の製作を行う部署だ。

「それで、その男が出ていくことになったから、他の借り手を探すことにしたのか?」

「平六は、都合で京を出て、田舎に戻ることにしたそうだ。それで、土地の権利者は、もう使わないから、いっそ、誰かに譲ろうとしたらしい。」

 まだ少しだけ荷物があるから、それを取りに来て、程なく正式に退去する。

「ふぅん? それなら、その平六とやらが夫婦で住んでいたんじゃないのかねぇ? で、女はその男の細君だろう。」

「それが、その大工、ここに住んでいたわけではないらしい。以前は、あれこれ物を作る作業場を兼ねて使っていたが、最近は、めっきり訪れていないそうだ。」

 周りに人も少なく、広い家が使えるので、作業場としては好都合だった。男は、その家で、趣味であれこれ工芸品を作って楽しんでいたという。

 だが、男が、しばらく仕事で忙しくしているうちに足が遠のき、すると、みるみるうにに草が生い茂って、手入れが面倒になった。それで、ここ最近は、ずっと放ったらかしになっていた。

「すると、その女の怨霊が男を待ち続けているという噂話は、何だったんだ?」

「私が確認した限り、それらしい話は聞けなかった。」

 明衡は、「ほぅら、怨霊なんて、所詮そんなもんだろう?」と肩を竦めた。

「みんなが怖い、怖いと噂するから、そんな話が出来上がるのさ。」

 明衡が言うと、時峰も「そんなもんかな」と思えてくるから不思議だ。

 そんなことを話ながら、屋敷に明かりが灯るのを、まだか、まだかと二人は待った。しかし、今日は出るつもりがないのか、待てど暮らせど、一向に灯る様子がない。

 そうこうしているうちに、少しずつ、東の空が白んできた。

 明衡があくびを一つ。

「なんだ。結局、なにもなかったじゃないか。拍子抜けだな。」
「どうする? 今からでも、屋敷に踏み込んでみるか?」

 時峰が提案すると、

「別に構わんが、一眠りしたい。俺は今日は何もないし、午後、日の高いうちに出直そう。」
「分かった。」

 時峰も、その日は特に何の予定もなかったから、家で一休みして、改めてここに来ることになった。


 それから数時間後。まだ日の高い昼間、時峰と明衡は、再び怨霊屋敷の前で落ち合った。

 夜中に見た時は、鬱蒼と茂る草木が不気味に感じたが、昼間に見ると、ただただ暑苦しく、手入れが行き届いていないものにみえた。

「しかし、ジメジメとした場所だなァ。」

 俺はジメジメした場所も雰囲気も嫌いなんだよと、明衡が、不満げに呟いた。

「見ろよ、これ。雨は昨日の昼前には止んでいるのに、まだ地面がぬかるんでるぜ……」
「仕方ないだろう。右京なんだから。」

 右京は土地が低く、水捌けが悪い。この土地の悪さが、住む人が減った原因の一つだ。

「雨が続けば、こんなもんだ。」

 明衡は気持ち悪そうに、足元の地面を沓で二度、三度、にちゃにちゃと踏みつけた。

「これなら、いっそ草履で来れば良かった。皆が素敵だと褒める、俺の沓が台無しだ。」

 皆が素敵だと褒めるーーーというが、その皆は、九割九分、女だ。

 時峰は、世間から、あちこちの女のところに通っている好色男プレイボーイなどと言われていたが、本物の好色男は明衡のほうだ。

 明衡は、身分の貴賤を問わず、良いと思った女には、いつも即接近アプローチ
 逞しい体躯や爽やかな風貌、そして、持ち前の明るさと社交性で、するりと女の懐に入り、あっという間に関係を持つ。

 だが、もっとすごいのは、その女のいずれも、明衡のことも、他の女のことも恨んだり妬んだりしていない、ということだ。

 明衡には、嫉妬や怨嗟のような暗い感情は似合わない。

 皆が口を揃えて、「小野明衡さまなら、仕方がない」と言う。
 また、明衡自身にも、周りに、そういう言わせる巧みさがあった。

 ただ、そのせいか、親友の時峰まで、いつの間にか仲間扱いされているのは、勘弁してほしい。確かに、時峰も、女性との交流はあるが、明衡とは全然違う。

 時峰と明衡は、文武ともに肩を並べ、競い合う、仲だが、別に女のことは競っていない。
 にも関わらず、並べ称されるのは、いささか迷惑。というか、何なら明衡自身が、自分の罪深さを薄めるために、積極的に噂を流しているんじゃないかと疑っているくらいだ。

「しかしなァ……」

 明衡が、沓の裏についた泥を見て、嫌そうに顔を顰めた。

「こんなところで、本当に大工が作業なんて出来るのか?」
「たぶん、この茂った草のせいで、余計に水捌けが悪くなっているんだろう?」
「にしても、だ。俺も良くは知らんが、木工の職人にとって、湿気は敵じゃないのか? 水捌けの悪い右京なんて、相性最悪な気がするがねぇ。」

 そう言われると、確かにそのとおりだ。

「夏だけ使っていたのかもしれないな。」

 適当に返答したものの、明衡の言うことは一理ある。やや引っかかるから、後でもう一度確認してみようかと考えていると、前を行く明衡が、

「おい、ちょっと待て。」

 手を出して、時峰の行く手を阻んだ。

「そこ、見てみろよ。」

 明衡が指したほうに目を向けると、

「足跡……?」
「あぁ。草履のあとだ。」

 明衡の指さしたあたりは、草が、人が踏み荒らしたように倒れていて、地面には、草履のあとがついている。

 その、踏み荒らしてできたらしい道は、一方は、屋敷のほうへ、もう一方は時峰たちが来たのと反対方向に伸びていた。

「コレ、まっすぐ行くと、反対の通りのほうに出られるんじゃないか?」

 このあたりは草が茂ってばかりで、他には建物がない。だが、その道の先は、少し開けていて、あちらなら牛車をつけられるかもしれない。

「あとで、あっちの方にも行ってみよう。」

 時峰と明衡は、とりあえず、まずは屋敷を見ることにしたのだった。


◇  ◇  ◇


「さて、いかがですか?」

 御簾の向こう。時峰が、どこが挑むように、土筆に聞いた。

「この怨霊屋敷の真相、土筆姫にお分かりになりますか?」

 お分かりになりますか、と聞かれても……

「時峰さまと違って、私は実際に、見たわけでもありませんのに……。」

 情報量に差がありすぎますと、不満げに言うと、

「この前は、僕の話を聞いただけで、真相を言い当てたじゃないですか。」

 あの夕星ゆつづつ姫のときは、確かに、時峰の話を聞いているうちに、土筆の中に考えが浮かんできた。
 でもーーー

「それは……たまたまです。」
「そうですか? 僕は、あのときと同じように、気づいたことは全部、姫にお話していますよ?」

 時峰が、「それなら、ここまでで気になった事があれば質問してください。」というので、土筆は少し考えてから、

「……では、その屋敷とは反対に伸びた道のことを教えてください。」
「屋敷ではなく、外の道の話ですか?」
「当然、屋敷を見た後に、道の方にも行ったのでしょう?」
「えぇ、まぁ……。」

 時峰は先程、草を踏み均して作られたらしき、人の道の先は、少し開けたところに通じていたという。
 土筆は、そのことについて、さらに詳しく尋ねた。

「やはり、その開けたところを通じて、反対側の道に出ることはできました。」

 勿論、右京だから、決して、道の状態は、よろしくない。だが、道は道だ。

「では、足跡から、屋敷に何者かが出入りしていたとして、その人は、そちらを通ったんですね?」
「おそらくは。」

 時峰と明衡も、そう推理したらしい。

「そのちょっと開けた場所にも、足跡はついていたのですか?」
「えぇ、ついていましたね。」
「足跡は一人分ですか?」
「と、見えましたね。明衡も同じ意見でした。」

 歩いた足跡はいくつかあったが、大きさは全て同じに見えたという。

「その足跡の大きさは、どれくらいですか?」
「大きさですか?」

 流石、鋭いですね、と軽く首をふった時峰は、

「僕の足より大きく……明衡と同じくらいでした。」
「それなら、男性のものですね。」
「えぇ、確実に。そして、それこそ、幽霊屋敷の真相を解き明かす鍵でもあるのです。」

 得意げに言う時峰に構わず、土筆は続けて質問した。

「他には?」
「……へ? 他ですか?」
「他には、何の跡がありましたか?」

 土筆が尋ねると、時峰は、考えるような間を取ってから、

「いえ、他には何も。」
「何も?」
「えぇ、猫の足跡すらもなかった……………と思いますが。」

 時峰は、少しだけ自信なさげに答えた。
 一生懸命見たつもりだが、改めて土筆に追求されて、自分が何か見落としているかもしれないと、不安になっているようだ。

 土筆は、いろいろな可能性に頭を巡らせながら、

「いいわ。続きをーーー屋敷の中について、話してください。」

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