1度だけでも会えたなら、私達には天使がいるのだと言いたい

瑠渡

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リュド(婚姻10年後)

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10年前の馬車の事故により記憶を無くし、今まだ記憶は戻っていない。

いや、小さい時の記憶はあるから
両親は忘れていないし、自分も忘れはしなかった。

ただ20歳前、数年の記憶が無くなっていた

事故から目覚めたら、目の前には両親とアリサ王女がいた。
王女と僕が視察中に恋仲になったと聞いて驚いたが、なんせ記憶が失われていたものだから、そうなのかと思うしかない。
だが、いつも笑顔で僕の側にいるアリサは可愛いなと思う。
僕より3歳下だから、恋愛になっていたのか?とも思うが、記憶傷害で不安な僕を側で助けてくれる大事な人になった。  
一度、何故かアリサが親に攻められ泣いている時があったが、親もあれから一度も僕らには干渉しなかった。

程なく、僕らは婚姻した。

婚姻してわかったことは、僕は男性機能を無くしていることだった。
婚姻するまでは清くいようと話していたのでわからなかった。

いくら愛おしいと思う妻が、僕を煽ろうが何の反応もしない。
むしろ、不快としか思えない自分がいる。
段々と、口付けを交わすことも苦痛に思える日が来るなんて、自分ながら驚いた。


「リュド、今日の夜会は貴方のご学友にも会えるらしいわよ。」

「そうなのか、誰の事?」

「マイク様とアマンダ様よ」


そうか……レイトロンド国へ一緒に留学したらしいが、覚えていない

ズキッ

「うっ」


「どうしたの?大丈夫?」

「あぁ、この頃頭痛がするんだ」

「頭痛?それだけ?何か変わったこととか……」

「いや、何もないよ。どうしたんだ?」


「いえ、何もないのよ。」


「アリサ、そろそろ夜会行く用意があるんじゃないのか?」

「そうだったわ。リュド、後でね」

「あぁ」





エトリガット公爵、リュド様

公爵夫人アリサ様、ご入場ー。




「まぁ、今日もリュド様は素敵。
夫人もいつ見ても素敵だわ。ドレスはどこのかしら?」

ガヤガヤガヤ


「ふっ、いつもアリサは注目だな」

「何言ってるの、リュドが、人気者なのでしょ。貴方と一緒になれて私は幸せよ」

「そうか?」





「リュド、久しぶりだな!」

「リュド様、お久しぶりです」

「あぁ、カイル、マイカ殿、相変わらずくっついてるのか?」

「そりゃー、夫婦だからな。
ほんとに久しぶりだな。一緒に留学して帰って来てからは会えずじまいで」

「そうだな。だが、留学したことを覚えていないんだ」

「うん?お前、留学したことも忘れたのか?お前はそんな年寄りか?
あはは」

「まさか?あんなに令嬢に囲まれてたのに?……そう、隣の令嬢がかわいそうだったわね」

「………令嬢?」

「「えっ?」」

「おい、リュド、あんな美人な令嬢を忘れるなんて!サナーシュ伯爵のモリス嬢だよ」


ズキッ

「うっ」

「リュド?どうした?」

「いや、なんでもないよ。その令嬢は……」

「私達は卒業待たず国へ帰ったから、あまりよく知らないわ。でも、留学先の唯一の友達に聞いた事があるわ。モリス様はとても優秀な人だったから、卒業まで首席で、卒業後は王宮で官女になったらしいわよ。
でも、もういらっしゃらないみたい。婚姻されたのかしらね?」


ズキッ


「リュドは、あのモリス嬢が隣にいても話してなかったな。
そういえば、リュドは視察団で派遣されて何年か前にレントロンド国へ行ったよな?王宮でモリス嬢に会わなかったのか?その帰り、馬車の事故で大変な目に遭ったが……あまり思い出したくないか?」

「いや、思い出したくないではなく、覚えていないというか、思い出せない。」



「リュド?」

「あっ、アリサが呼んでる。じゃあ、また。」



「あっ、リュド様、貴方は今幸せ?」

「えっ?……あぁ、穏やかに過ごせてるから幸せだ。なぜ?」

「いいえ、何でないわ」


「………………じゃあ、また会おう」




「「……………」」


「リュド様、気がつかなかったわね」

「あぁ。嘘だったんじゃないのか?」

「なに?シルクが嘘を言ったと言うの?」

「いや」

「だってシルクは王宮で王子の家庭教師も任されている教師だし、当時は毎週王宮へ上がっていたのよ。リュド様が視察で行ってモリス嬢と再会して会っていたと、その頃王宮で有名だったと言ってたわ。それに迎えにまた来るって、一緒に視察へ行ったマキゼ侯爵が帰りの馬車の中で、リュド様からそう聞いたって言ってたのよ。
侯爵夫人から私、内緒で私聞いたのよ。だから私も待っていたであろうモリス様の事を思うと…いくらなんでも酷い話よ。だって、アリサ王女様は視察に一緒に行ってたんだから、知ってた筈なのに。王女の事だから誰も何も言えないわ」

「そうだとしてもな……もうあれから10年は経つ。俺らが聞いたのが遅すぎた。」

「そうね。あんなに仲良さそうな夫婦に、波風立てちゃダメよね。」


「そうだ。事故とはいえ、リュドは覚えていない。モリス嬢と縁がなかったんだろう。俺達ももう忘れよう」

「……モリス様は待ってたと思うと。そうね、もうだいぶ経つのに記憶が戻らないのだから運命なのかもしれないわね。親友にも、仲良い夫婦が目の前にいたって、手紙を書くわ」


「ああ、もう手遅れだ」














この頃、頭痛が酷い
医者に診せても大丈夫だと言われるが。それに、事故で大事な記憶を無くしていることがあるのか、胸騒ぎがする。
だが、それだけだ。何も思い出せないし、覚えもない。

ただ、1つだけ気になることがあるとしたら………事故の時に握りしめていたというカフスボタンだ。
何故なのかわからない。ヒマワリなんて……そりゃ、好きな花だが。
今もそれは命が助かったお守りで、肌身離さず持ち歩いている。

考えると頭痛が酷くなる。
あまり考えるのはやめよう





「リュド様、私待ってますね」


ガバッ

「はぁ、はぁ。なに?」


「リュド?どうしたの?」

「えっ?……………」

「リュド?」


「あっ、いや、ちょっと寝る前に飲みすぎたようだ。寝汗をかいたから汗を流してくるよ」

「そう。私も行こうかな」

「何を言ってる。君は寝なさい」

「だって、一緒にお風呂に入れば、もしかしたら……」

「やめてくれ!僕には無理だと言ってあるだろ?」

「だって、もしかしたらってあるじゃない!後継が必要なのよ!」

「いや、弟家族に頼んだ」

「えっ?いつ?私は聞いていないわ!勝手なことしないで!」

「じゃあ、どうするんだ?この家を守るためには、弟に頼むしかないんだ」

「私はいつか、いつか治ると信じているのよ!」

「いや、僕の記憶と一緒で、怪我のせいで機能はないと婚姻した後で医者に言われたじゃないか」

「そんなの、時がたてば治るものよ。私はリュドとそう言う関係になりたいわ。それに…少しは触れてくれてもいいじゃない!」

「君は……あの時言ったではないか?記憶がなくてもどんな障害が残っても僕が生きていれば良いと。
そんな優しい言葉をくれる君だから、僕は君と生きていこうと思ったんだよ」

「そうだけど……いつか治ると信じていたし。貴方との子供を産まなきゃ、私のここでの立場もあるのよ?私の父だって孫を待ってるの。私はまだ若いから産めるわ」

「もういい。何度話しても同じだ。僕は君と閨は出来ない。そういう身体になってしまっているのを君もわかってるじゃないか!君が子供を欲しいなら、僕と離縁して国王に縁談を頼んだらいい」

「そんなっ……ごめんなさい。
リュド、お風呂に行って!
私は寝るわ」


「あぁ。」




アリサとこの頃、言い合ってばかりだ


今になって子供を作れないわかった僕と婚姻したこと、後悔しているのかもしれないな。
いくらアリサ愛していても抱き締めても口付けしてもそんな気持ちになれない。
むしろ、口付けも触ることさえこの頃は特に不快に思う。
そんな気持ちになってしまうのは、後遺症なんだろうな。

怪我さえしなければ、前は僕だって………「えっ?僕だって?」


なんだ?僕が女性と閨をしたことがあるのか?


まさかな……………………?


ズキッ 

「うぅ~」

この頃頻繁になる頭痛

苦しすぎる

こんなに痛いなら、記憶なんて戻らなくていい











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