20 / 22
最終話
しおりを挟む父とは一生会わないと思っていた
お母様を、記憶がないと言えど裏切った人だ。
私は恨んでいたのだと思う。
だがあの日、馬車ですれ違う時にチラッと見えたシュン先生の隣にいる人が……
泣きそうな顔で私を見ていた
「父だ」と、直ぐにわかった
そして私を認識したのだなと、わかった。
その瞬間、何か私の心が弾けとんだ。
お母様から「メアリ」と呼ばれた感覚だった。
本当は、ずっと父に会いたかったんだ
私が、その気持ちを確信した瞬間だった
馬車に座りながら涙が頬を伝わる
前に座るカイロ殿下と、ノマイロン様があたふたし始め、私の隣に座るアイリス王女殿下が抱きしめてくれた。
「メアリ、どうしたの?」
「父を見かけました。いえ、私をそっと見に来たようです。
どうしたんだろう?母を裏切った父に一生会えなくて良いと思っていたのに、泣きそうな父の顔が見えたら、私は嬉しかったのです。
やっと会えたんだと思えました」
「メアリ、メアリの思うようにして良いのよ」
次の日、私はシュン先生の前に立ったのだ。
父と母の墓前で会ってから、ハリオットラ国へ帰っても父は私と会いたがった。
なので時間が許される時は、公爵邸へよく遊びに行かせてもらった。
新聞紙行進の仲間も、呼ばれて一緒に公爵邸で過ごすこともあった。
(王女殿下の婚約者、ナミル様も新聞紙からはみだしているが一緒である)
ある日、父が夜会へ行こうと言った。
「娘を自慢したい!」そう言って笑った。
王家の夜会なので、カイロ殿下達も呼ばれている
父は喜んで私のドレスとアクセサリーを頼み、そして出来上がったドレスを見れば、父と母の色のドレスで、私の顔が少しひきつったのは仕方ないと思う。
私のドレス姿を見て、「メアリ、なんて美しいんだ。モリスに良く似ているよ」そう言ってまた父は目頭を抑える。
レントロンド国の王族、側近達、エトリガット公爵家の父とシュン様
夜会会場へ入った瞬間、凄い騒ぎになった。
そりゃー、そうだわね。
美丈夫、王女様も美女だし。
私は父とファーストダンスを踊った。
「娘と踊れるなんて幸せだ」そう言って2曲目も離さない。
3曲目に入ろうとした所で近づいてきた女性がいた。
「リュド、久しぶりね」
「あぁ、久しぶりだね」
その人は綺麗な人だったが、何か勝ち誇ったような人だった。
「リュド、また前みたいに仲良くしたいわ。これから話さない?」
「いや、娘と来ているから遠慮するよ」
「娘?……」
その人は私をジーッと見て驚いた顔をした。
「まさか!」
「あぁ、私の娘だよ。君があの時、嘘を僕に吹き込まなければ産まれた時から一緒にいられたかもしれないね」
そう伝えた瞬間、キッと私を睨み、「失礼するわ」そう言って立ち去った。
「お父様?」
「彼女は元、奥さんだった人だよ。
僕に愛想つかして出ていった人だ。元王女だから王宮へ帰り、良い縁談をもらい再婚した。だが嫁いで直ぐに、第二夫人が嫁いできたらしい。王命で婚姻させられたが、旦那には元より誓いを立てた恋人がいた。
だが陛下の命は絶対だ。
だから彼は恋人を第二夫人として娶った。そして、第二夫人が懐妊した。別れたくても醜聞になってしまうからどうするのだろうね。
だからか?元旦那の僕に声をかけてきたのは?
ふっ。さぁ、踊ろう!父様とまた踊ってくれるかい?」
「もちろん!」
私は体力が続く限りお父様と踊った。
離れない私達を苦々しく見ている人達がいるなんて知らずに、お互い他の誰とも踊らず夜会を楽しんだ。
その後
学園を卒業するまで休みの日はほとんど公爵邸で過ごした。
父にはやはり、元奥様からの復縁したいと連絡が来たようだが、シュン様を後継にしたことと、自分の娘と残りの人生を楽しむ事にしたと伝えたらしい。
そして陛下には、「僕に再婚の命を出されませんように」と、釘を刺しておいたらしい。
-5年後-
「おかあちゃま!」
「おーちゃま」
そんな声がした
愛しい2人の子供が私めがけて飛んで来る。
トコトコトコ
抱きつきキャキャする
「リューイ、モニカ」
私は父と会った一年後、学園を卒業して直ぐに婚姻した。
「おちおちしていたら、ヤバイから」
旦那様の言葉に???になったが、
「僕と、一生一緒にいてください」
と言われた時は、旦那様に恋していた私は嬉しくて、
「はい!」と直ぐに返事をした。
式は父の国でした。
レントロンド国では騒がれるのも嫌だったし、アレン叔父様家族を、父がハリオットラ国に呼びたかったからだ。
お母様の日記と絵姿を持って来てくれた。
父と再会して、直ぐにお祖父様とお祖母様にも会わせてもらってあった。
2人とも、まさか息子に子供がいるとは思っていなかったので、お母様への返事を後悔したようだ。
あの時、無理してでも会わせたら記憶が蘇り、母を失わずに済んだのではないかと、お2人は悔やまれた。
だが運命だったと、そう皆で話をでした。
婚姻式が終わった後で、公爵邸で晩餐を執り行った。
是非、娘をここから嫁がせたいと言われ、甘える形となった。
その時にアレン叔父様が母の絵姿を椅子に乗せた。
お祖父様と、おばあ様が直ぐに絵姿を見に行き、
「モリスさん、貴女がモリスさんなのね」
「あぁ、リュドの本来の嫁さんだ」
「なんて美しい人なんでしょう。メアリはお母様に良く似ているわ。リュド、モリスさんに会えて良かったわね。私は生きて会えなかった事が残念だわ」そう言ってお祖母様は泣いてしまわれた。
晩餐が少ししんみりしてしまったけれど、私はお祖父様とお祖母様に母を会わせられたようで嬉しかった。
シュンさんも大学の同級生と婚姻した。
とても姉御肌の人で私をとても可愛がってくれている。
シュン様とミッシェル様にもリューイと同い年の息子がいる。2人はとても仲良しだ。
旦那様はまだ大学の薬学部に殿下と一緒に学んでいる。たまに薬学部での研究で、帰って来れない時は、私達は公爵邸へ泊まらせてもらっている。
シュン様の息子はモニカをとても可愛がっていて、兄が2人いるようだ。
今日は4日ぶりに旦那様が帰ってくる。
「2人の時間も大事よ!子供は預かるから」と、ミッシェルさんがウインクする。
子供達と離れるなんて心配だったが、「ジジが寂しいって泣くから今日は帰らない!」
「かえらにゃい!」と言って、私に手を振っていた。
私は1人でタウンハウスへ戻った。
旦那様と2人なるのは、嬉しいような恥ずかしいような………
「ただいま」
「旦那様、お帰りなさい」
「リューイとモニカは?」
「あの、公爵邸でお泊まりなの」
「ふ~ん。じゃあ、今日は僕達だけ?」
「そうなの。子供達に会いたいわよね?迎えに行こうかしら」
「いいよ。今日は2人の時間にしよう」
旦那様の麗しい笑顔からの言葉に、ドキッとしてしまった
食事をし、湯浴みし………
「メアリ、おいで」
旦那様が私を呼ぶ。
私は急に恥ずかしくなってしまい、「旦那様」と小さな声。
「たまには名前で呼んでよ」
「そうね。……ノマイロン」
「メアリ、僕がいつから君に恋したと思う?」
「えっ?わからないわ」
「僕がランチを令嬢と食べていた時、あの時メアリは睨んでたでしょ?」
「殿下の側を離れて食べてたわよね」と嫌みを言ってしまう。
「そう、あの時君は睨んでいたんだけど、瞳がね泣きそうだったんだよ。あの顔を見ちゃ、恋に落ちるよね」
「あの時?」
「あの時恋をして、君を絶対に奥さんにするって決めたんだ。
だから絶対離さないよ」
「えぇ、私は貴方から離れないわ」
「メアリ、愛してるよ」
「私も。ノマイロンを愛してるわ」
2人の夜が始まる
………………………end
毎日更新できなくて、時間がかかってしまいました。汗
後日談を一話書こうと思っています。
また覗いて頂けると嬉しいです。
読んでくださり、ありがとうございました。
31
あなたにおすすめの小説
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる