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序章 籠鳥の幽霊
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「ん、んんんぅう……っぁああ!」
ぱちゃぱちゃと、水溜まりを蹴ったような音。疲れ果て萎えたままの自分のペニスから精液にしてはやけに薄く水っぽいそれが放たれるのを、零史は他人事のように見ていた。
「……やっぱり、最高だなお前は。これまでも野郎で噴ける奴はそこそこいたが、数日でこうはならねー。飲み込みが早くて助かる」
細められた瞳は、うっそりとこちらを見下ろした。零史が漏らした精液のような潮のような体液は男の仕事着のスーツはもちろん、この広い和室の畳までもを濡らし、分かりやすくその濃淡を変えてしまった。
零史のくたりと力の抜けた下半身を、唇や指が遊ぶように辿っていく。ワックスでオールバックに撫でつけていた男の黒髪はいつの間にか崩れていた。無造作なそれが肌に触れただけで、ぴくぴく、と律義に跳ねてしまう肢体。また男がニヤリとその口角を上げた。
零史の身体からゆっくりと足の間へ潜るようにして、畳に小さくできた体液の水溜まりへと移っていった。
指が雫で濡れている。
「面白いよな、コレ。水みたいだろ」
白濁ではない。粘度もほとんどない。それを人さし指で触って、男は感想を言った。
指の腹をこちらに見せられ、な? と再度返事を求められた。容赦なくイかされ続けたせいで返事をする気力もない。これで抗うなんてできるわけがない。
まさか自分が女のように派手に、いや、情けなく噴かせあれてしまうなんて――。
「んなの、し、しらね……んむっ」
顔を背けて答えるのを放棄した。だが、相手はとっくに零史のその反応を先に読んでいた。呼吸のリズムを取り戻すだけで精一杯になっている開いたままの口に、先ほど見せられた指が強引に押し込まれる。
「んぁ、ぁぅ、っく、っふ……」
舌先に強く押し付け、擦りつけられれば変な気持ちになってくる。
逃げようと試みてもいつの間にか二本に増えた指が、震えて惑う舌を挟んでしまう。
「んんぐ……っ」
痛いとキモチイイの同居は、その時間が増えれば増えるほど混ざり合い、やがて=のものになる。
(性感帯だって事は前から知ってた。けど……指で弄くられただけでこんなにならねーだろ!? どうなってんだ、俺のカラダ……っ)
「イきそうなんだろ、れーじ」
「っは、ぁ……もうむりっ、いやだ、やめっ……」
「――あと五百万。そういう約束だ。ちゃんと返せたらいつでもやめてやるよ。それまでは……しっかり働いてもらうぜ、ゴーストライター先生」
「なっ、ぁ、そこ今やめ――ひつ、んん……!?」
今の今まで大人しかった男の空いた左手の指が当たり前のように後孔へと再び押し込まれ、ナカを我が物顔で暴れ始めた。
「っぁ、も、もうだめだっ、むり、あっあっ、ぁあ、いぐっ……イッ、いぐぅ……ぁッ――ぁああ……~~っ!!!」
再び強引にイかされるその感覚に意識が遠くなる。
こんな時なのにどうしてか、幼い頃に母親と保育園から家まで手を繋いで歩いた、あの雨の日の情景が浮かんでいた。
――くそ……こんな事になるなら母さんと一緒に暮らしておくんだった。余計なもん遺しやがってあのクソ親父……。
能ある鷹は爪を隠す、とよく言うが、この男の場合は最初から剥き出しだった。
爪どころか、その強すぎる欲望もすべて。
籠の鳥となったのは鷹ではなく、幽霊と呼ばれた自分自身だったのだ。
熱に浮かされた動かない頭で、零史はこの男、龍桜会 若頭、
――柴山鷹斗に捕まった日のことを思い返してていた。
ぱちゃぱちゃと、水溜まりを蹴ったような音。疲れ果て萎えたままの自分のペニスから精液にしてはやけに薄く水っぽいそれが放たれるのを、零史は他人事のように見ていた。
「……やっぱり、最高だなお前は。これまでも野郎で噴ける奴はそこそこいたが、数日でこうはならねー。飲み込みが早くて助かる」
細められた瞳は、うっそりとこちらを見下ろした。零史が漏らした精液のような潮のような体液は男の仕事着のスーツはもちろん、この広い和室の畳までもを濡らし、分かりやすくその濃淡を変えてしまった。
零史のくたりと力の抜けた下半身を、唇や指が遊ぶように辿っていく。ワックスでオールバックに撫でつけていた男の黒髪はいつの間にか崩れていた。無造作なそれが肌に触れただけで、ぴくぴく、と律義に跳ねてしまう肢体。また男がニヤリとその口角を上げた。
零史の身体からゆっくりと足の間へ潜るようにして、畳に小さくできた体液の水溜まりへと移っていった。
指が雫で濡れている。
「面白いよな、コレ。水みたいだろ」
白濁ではない。粘度もほとんどない。それを人さし指で触って、男は感想を言った。
指の腹をこちらに見せられ、な? と再度返事を求められた。容赦なくイかされ続けたせいで返事をする気力もない。これで抗うなんてできるわけがない。
まさか自分が女のように派手に、いや、情けなく噴かせあれてしまうなんて――。
「んなの、し、しらね……んむっ」
顔を背けて答えるのを放棄した。だが、相手はとっくに零史のその反応を先に読んでいた。呼吸のリズムを取り戻すだけで精一杯になっている開いたままの口に、先ほど見せられた指が強引に押し込まれる。
「んぁ、ぁぅ、っく、っふ……」
舌先に強く押し付け、擦りつけられれば変な気持ちになってくる。
逃げようと試みてもいつの間にか二本に増えた指が、震えて惑う舌を挟んでしまう。
「んんぐ……っ」
痛いとキモチイイの同居は、その時間が増えれば増えるほど混ざり合い、やがて=のものになる。
(性感帯だって事は前から知ってた。けど……指で弄くられただけでこんなにならねーだろ!? どうなってんだ、俺のカラダ……っ)
「イきそうなんだろ、れーじ」
「っは、ぁ……もうむりっ、いやだ、やめっ……」
「――あと五百万。そういう約束だ。ちゃんと返せたらいつでもやめてやるよ。それまでは……しっかり働いてもらうぜ、ゴーストライター先生」
「なっ、ぁ、そこ今やめ――ひつ、んん……!?」
今の今まで大人しかった男の空いた左手の指が当たり前のように後孔へと再び押し込まれ、ナカを我が物顔で暴れ始めた。
「っぁ、も、もうだめだっ、むり、あっあっ、ぁあ、いぐっ……イッ、いぐぅ……ぁッ――ぁああ……~~っ!!!」
再び強引にイかされるその感覚に意識が遠くなる。
こんな時なのにどうしてか、幼い頃に母親と保育園から家まで手を繋いで歩いた、あの雨の日の情景が浮かんでいた。
――くそ……こんな事になるなら母さんと一緒に暮らしておくんだった。余計なもん遺しやがってあのクソ親父……。
能ある鷹は爪を隠す、とよく言うが、この男の場合は最初から剥き出しだった。
爪どころか、その強すぎる欲望もすべて。
籠の鳥となったのは鷹ではなく、幽霊と呼ばれた自分自身だったのだ。
熱に浮かされた動かない頭で、零史はこの男、龍桜会 若頭、
――柴山鷹斗に捕まった日のことを思い返してていた。
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