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辺境伯クロードのひとりごと・7
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「フィリシア。少し男爵と話がある。仕事に戻りなさい」
「はい。失礼致します」
応接室からフィリシアが出ていくと、私はミュルゲール男爵を見た。
「この先は、フィリシアの事は全て私に任せてください。私は、フィリシアがとても大切なんです」
「そこまでフィリシアを思ってくれてありがとうございます。ここにいれば、フィリシアも落ち着いた生活ができるでしょう」
ミュルゲール男爵も、ホッとしていた。
「正直、妻とエリーズの事はびっくりしました。私は家を空ける事が多くて、何も気付きませんでした」
私は首を振った。
「仕方ありませんよ。王室騎士団の仕事や、ファブルス公爵家の領地の騎士団の補佐など、ミュルゲール男爵が多忙な事はよく理解しています」
「ありがとうございます」
ミュルゲール男爵が深々と私に頭を下げる。
私と父の命の恩人だというのに、もう何度も頭を下げさせてしまった。
「もう、頭を下げるのはおやめください。フィリシアがミュルゲール男爵の姪だと知って、近くに親族がいた事が正直嬉しかったです」
「……実は、妻はフィリシアを私の隠し子だとずっと思っていたんです。何度も違うと言い続けていましたが、まさか、その事が原因だったでしょうか。虐待までしていたとは」
なるほど。
フィリシアに対する憎しみは、元々ミュルゲール男爵夫人の嫉妬だったのか。
夫人が嫉妬してフィリシアを虐げている姿を見ていたエリーズまで、フィリシアに憎しみを募らせていたと言うことか。
「夫人にだけでも、フィリシアの事を正直に話した方が良かったのでは?」
ミュルゲール男爵は首を振った。
「妻はジュリアの美しさに嫉妬し、疎ましいと思っていました。フィリシアがその娘だと知ったら、何をするか分からなかった。だから、妻にも話せなかったんです」
ミュルゲール男爵は肩を落とした。
フィリシアの母は絶世の美女と言われていた様だし、ミュルゲール男爵の話は真実味がある。
ミュルゲール男爵夫人は、実家は王都でも力のある商家で家柄は良いが、言っては失礼だが、容姿は特別美しいとは言えない。
何人もの貴族に求婚されるフィリシアの母に、憎悪が有っても不思議はない。
だからこそミュルゲール男爵も秘密にしていたのに、結局それも裏目に出ていたと言うことか。
「そういう理由ならば、どの判断が正解かは分からないですよね。とても残念ですが、マイナスは面ばかり重なってしまったという事でしょう」
ただこの話は、私の胸だけにおさめておこう。
もうフィリシアに、余計な事で悲しませたくないし、悩ませたくもない。
「ここに至るまでは、本当にフィリシアに申し訳ないことばかりでしたが、辺境伯様の元にフィリシアが来た事は幸せだったと思います」
「私こそフィリシアのおかげで、過去の痛みも癒やされています。彼女と出会えて本当に良かった。その点は、ミュルゲール男爵に感謝しています」
ミュルゲール男爵は私の顔を見て微笑んだ。
「その仮面の姿を見た時、フィリシアがそれを作ったと聞いた時、辺境伯様も昔の様に笑顔になられて良かったと思っておりました」
私も微笑みながら頷いた。
「ええ。全てフィリシアのおかげです。私を変えてくれた事で、この屋敷も父の時代の時の様な活気が戻りました」
「そう言っていただけて本当に救われます。これからも、フィリシアの事をよろしくお願いします」
「もちろんです。責任を持って、フィリシアが幸せに過ごせる様にします」
本当は私が最後まで幸せにしたいが、それをミュルゲール男爵には言えなかった。
私がフィリシアを愛している事。
フィリシアと添い遂げたいと思っている事。
それは、この先も叶える事が難しいから。
「はい。失礼致します」
応接室からフィリシアが出ていくと、私はミュルゲール男爵を見た。
「この先は、フィリシアの事は全て私に任せてください。私は、フィリシアがとても大切なんです」
「そこまでフィリシアを思ってくれてありがとうございます。ここにいれば、フィリシアも落ち着いた生活ができるでしょう」
ミュルゲール男爵も、ホッとしていた。
「正直、妻とエリーズの事はびっくりしました。私は家を空ける事が多くて、何も気付きませんでした」
私は首を振った。
「仕方ありませんよ。王室騎士団の仕事や、ファブルス公爵家の領地の騎士団の補佐など、ミュルゲール男爵が多忙な事はよく理解しています」
「ありがとうございます」
ミュルゲール男爵が深々と私に頭を下げる。
私と父の命の恩人だというのに、もう何度も頭を下げさせてしまった。
「もう、頭を下げるのはおやめください。フィリシアがミュルゲール男爵の姪だと知って、近くに親族がいた事が正直嬉しかったです」
「……実は、妻はフィリシアを私の隠し子だとずっと思っていたんです。何度も違うと言い続けていましたが、まさか、その事が原因だったでしょうか。虐待までしていたとは」
なるほど。
フィリシアに対する憎しみは、元々ミュルゲール男爵夫人の嫉妬だったのか。
夫人が嫉妬してフィリシアを虐げている姿を見ていたエリーズまで、フィリシアに憎しみを募らせていたと言うことか。
「夫人にだけでも、フィリシアの事を正直に話した方が良かったのでは?」
ミュルゲール男爵は首を振った。
「妻はジュリアの美しさに嫉妬し、疎ましいと思っていました。フィリシアがその娘だと知ったら、何をするか分からなかった。だから、妻にも話せなかったんです」
ミュルゲール男爵は肩を落とした。
フィリシアの母は絶世の美女と言われていた様だし、ミュルゲール男爵の話は真実味がある。
ミュルゲール男爵夫人は、実家は王都でも力のある商家で家柄は良いが、言っては失礼だが、容姿は特別美しいとは言えない。
何人もの貴族に求婚されるフィリシアの母に、憎悪が有っても不思議はない。
だからこそミュルゲール男爵も秘密にしていたのに、結局それも裏目に出ていたと言うことか。
「そういう理由ならば、どの判断が正解かは分からないですよね。とても残念ですが、マイナスは面ばかり重なってしまったという事でしょう」
ただこの話は、私の胸だけにおさめておこう。
もうフィリシアに、余計な事で悲しませたくないし、悩ませたくもない。
「ここに至るまでは、本当にフィリシアに申し訳ないことばかりでしたが、辺境伯様の元にフィリシアが来た事は幸せだったと思います」
「私こそフィリシアのおかげで、過去の痛みも癒やされています。彼女と出会えて本当に良かった。その点は、ミュルゲール男爵に感謝しています」
ミュルゲール男爵は私の顔を見て微笑んだ。
「その仮面の姿を見た時、フィリシアがそれを作ったと聞いた時、辺境伯様も昔の様に笑顔になられて良かったと思っておりました」
私も微笑みながら頷いた。
「ええ。全てフィリシアのおかげです。私を変えてくれた事で、この屋敷も父の時代の時の様な活気が戻りました」
「そう言っていただけて本当に救われます。これからも、フィリシアの事をよろしくお願いします」
「もちろんです。責任を持って、フィリシアが幸せに過ごせる様にします」
本当は私が最後まで幸せにしたいが、それをミュルゲール男爵には言えなかった。
私がフィリシアを愛している事。
フィリシアと添い遂げたいと思っている事。
それは、この先も叶える事が難しいから。
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