長い夜、蒼い月

五嶋樒榴

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小悪魔

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栞の身体が男を受け入れたのは、もう何ヶ月も前なので久しぶりの感覚だった。

「ゆっくり、挿れて」

切ない声で栞は言う。
一夜も狭いと思った。まるで処女のようだった。 
メリメリと音が聞こえそうなほど狭い。

「んんんッ」

栞が苦悶の表情をする。痛みがあった。

「痛い?凄い狭いね」

一夜のが、今までの誰よりも太くて大きいのだと栞は思った。
栞の中は温かくて潤んでいるのに摩擦が凄かった。痛がるので無理は出来ずまだ全て入っていない。
慣らすように広げながら奥へと進む。
まとわりつきが凄くて、一夜も締め付けられて気持ちよすぎる。
奥に到達すると、一夜は栞の手首のネクタイを外し、アイマスクも外した。
一夜の顔を久しぶりに見て栞は笑顔になる。

「痛くない?」

一夜がいたわると、慣れてきた栞は頷く。
一夜がゆっくり動く。ヒクつく中が一夜を離さないように締め付ける。
少しずつ抜き差しのスピードが上がる。栞は自由になった手で一夜にしがみついた。
一夜の形に慣れてくると快感だけが広がる。しかも一夜は栞の気持ちいいところもちゃんと知っている。

「もうッ、ダメ、イくぅ」
 
栞が一気に一夜を締めける。ビクビク震える身体を一夜がぎゅっと抱きしめる。
栞がイったので、一夜は抜いた。一夜がイってないのを栞も分かった。

「続き、して大丈夫だよ」

栞が言うと、一夜はベッドサイドのチェストからゴムを出した。口でパッケージを破ると手早く装着して再び栞に被さる。

「もう、さっきより柔らかくなってる」

そう言って一気にためらいもなく一夜は栞を突き刺す。
入ってきただけですぐに栞はまた次の波が来た。一夜が終わる前にまた先に栞がイってしまったが、一夜も栞の中で終わったので、栞は一つに繋がった満足感に浸れた。
一夜が栞を腕枕をして、二人は並んでベッドに横になった。
栞は幸せで、ぎゅっと一夜にしがみついた。

「やっと、一夜と繋がれた」

満足げに栞は言うが一夜は黙ったまま。
身体は繋がったが、一夜の気持ちは自分にないとすぐに栞にも分かった。
それでも自分が望んだ事なので一夜に何も言えない。
一つになるのがゴールだと思っていた栞。でもそれほど一夜は甘くなかった。
あれほど優しく激しく愛し合っても、それは身体だけだと思い知らされた。
最後に着けたゴムも一夜の優しさなのだが、それすらも今は壁のように思った。
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