長い夜、蒼い月

五嶋樒榴

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小悪魔

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新しい一週間が始まった。
優姫は金曜日の失態を引きずらない。
しっかりとジェイクの仕事をのやり方を盗む為に食らいつく。
ジェイクもプライベートの事は一切仕事に持ち込まない。
ディーラーの仕事は、運用が失敗すれば会社の損失となり、自身に即降りかかるのだ。

「どうしてジェイクは日本に来たんですか?」

ランチタイムに優姫がジェイクの仕事部屋で真顔で尋ねる。仕事の勉強がてらジェイクに呼ばれたのだ。

「アンソニー、あ、お前たちはイチヤと呼んでるのか。イチヤと同じさ。こっちで利益を上げる為に俺も呼ばれた」

ジェイクはそう言って伸びをした。

「何でお前はディーラーなりたいの?」

優姫はフッと笑った。

「ワクワクしたいからです。自分が会社の資産増やしてるってワクワクしません?きっかけはデイトレです。大学生の時からやってました。自慢じゃないですが、かなりお小遣い増やしました。額は内緒ですが」

「じゃあ、トレーダーでも良かったんじゃない?大口のクライアントの資産増やしの方がもっとワクワクするんじゃない?」

ジェイクの問いに優姫は首を振った。

「私にその才能はありません。一夜さんみたいに、コミュニケーション能力もありませんから」

ジェイクはなんとなく優姫が処女なのが理解できた。

「お前“オタク”だろ」

ジェイクが言い切ると優姫は赤面した。

「やっぱり分かりました?」

図星だった。

「まあな。お前の顔のクオリティで処女って、ちょっと信じられなかったからな。デイトレで荒稼ぎ出来るくらいなら、家の中が大好きだと思ってな」

ニヤリとジェイクは笑う。

「処女、処女言わないでください!」

優姫はむくれてサンドイッチにかぶりついた。

「やっぱりアニメ好きなの?」

ジェイクが聞くと優姫は可愛い笑顔で笑う。

「はい!推しはこれです」

スマホの待ち受け画面を見せた。美少年二人が並んだイラストだった。

「これ、BLなんですけど、本当に最高なんです。私はこっちの子が好きなんですけど」

ジェイクは力説する優姫にちょっと驚く。しかもBLって?と思い優姫に尋ねる。

「んー簡単に言うと男の子同士の恋愛ですね。分かりやすく言うと、一夜さんとジェイクが恋人同士みたいな。正直、おふたり見てると妄想止まらないです」

ジェイクはコーヒーを吹きそうになった。優姫の目が輝いている。


 俺が実は美少年好きって知ったら、こいつすげー妄想しそうだ。


ジェイクは口が裂けてもそのネタは秘密にしようと決めた。
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