長い夜、蒼い月

五嶋樒榴

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小悪魔

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しかし自分の好きな事は、恥ずかしげげもなく語るなー。とジェイクは思った。
普通オタクなんて言われたら怒りそうだが、自分の趣味を恥ずかしいと思ってないんだと逆に感心した。

「今週また飲みに行かない?」

仕事の始まる直前にジェイクが誘うと優姫は困った顔をする。

「すみません。お酒は好きなんですけど、一人で飲みに行くのが好きなんですよねー」

ジェイクの誘いをあっさり断る。ジェイクは初めての屈辱だった。
今まで男でも女でも、断わられる事など無かった。皆すぐにジェイクに身体まで捧げるほどだったのに、優姫はためらいもなくあっさりと断った。


 上等じゃねーか、小娘。
 俺がお前の最初の男になってやる。
 ヨガって泣かせて、狂うほど俺の虜にさせてやるわ!


我が道を行く優姫にジェイクは闘志を燃やした。

「断り厳禁!金曜日飲みに行くからな!上司命令だ!」

ムキになるジェイクに優姫はキョトンとする。

「それ、パワハラ言いません?まあ、その前に、処女、処女言われてセクハラも受けてますが」

優姫の正論にジェイクも何も言い返せない。

「しょーがないですねー。一夜さんと由紀子さんも一緒なら良いですよ。一夜さんとジェイクをツマミに妄想しながら、由紀子さんと仲良くなりたいし」

今度は優姫がニヤリとした。


 この小悪魔めッ!

    
と思ったが、由紀子と一夜の事を知っている以上、それは無理だなとジェイクは思った。
が、優姫がスマホで何かしている。

「由紀子さんに予定聞いてます。この前LIN交換したんですよ」

自由すぎる優姫に呆然とする。

「由紀子さんが来るなら行きますけど、ダメなら行きませんからね」

優姫はスマホをしまうと業務が開始になった。
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