長い夜、蒼い月

狂気の嫉妬

９１

一夜はジェイクが心配だったが優姫のことも気になった。
優姫はマイケルがジェイクの、元恋人だと言うことを知らないと一夜は思っている。
優姫にバレずにマイケルがアメリカに戻ればいいと思った。
まさか10日間ジェイクがマイケルに拘束されるともその時はまだ知らなかった。
一夜は一人部屋にいると、由紀子を思って切なくなった。由紀子を抱いた感触を思い出す。
会いたくて会いたくて、寂しくて苦しくなる。
繋がらないと思っても由紀子に電話をしてしまう。
もちろん由紀子は出ない。
夕飯の支度をしていた由紀子は着信も気づかない。

「ただいま」

洋輔が帰ってきた。

「おかえりなさい」

由紀子はキッチンで言う。

「腹減ったな。あとどれぐらい？」

「先にお風呂にしたら？それまでに並べておくわ」

洋輔は先に風呂に入った。
夕飯を済ませて、由紀子も風呂に入る。
家事を全て済ませベッドに入ると、先にベッドに入っていた洋輔が由紀子に手を伸ばす。
本当に最近由紀子を洋輔は欲する。
新婚の頃のように多いと週に2回は求める。一夜と出会う前の月に1度あればいいのとは大違いだった。

「まだ明日仕事あるのよ」

由紀子がやんわり断るが洋輔は聞かない。

「最近、色っぽくなったよね」

まるで何かを察知してるのかと思い由紀子はドキドキする。

「子供欲しがらなくなったせい？」

洋輔の言葉に悲しくなった。


　この人は全く分かってない。
　自分のことしか考えてない。
　私の身体が一夜に変えられたのも気づいていない。


子供を欲しがらなくなったと思って、自分を抱いているんだと思った。
たしかにもう諦めた。由紀子が余計なことを言わなくなったのを、自分勝手に解釈して、ただ快楽のためだけに抱くようになったんだと由紀子は理解した。