Dance in the Darkness. ―― Silence is mine.

されど電波おやぢは妄想を騙る

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Chapter.09

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 羨望と奇異の眼差しの中、二人揃って校内の職員室に向かうも、途中で待ち構えていた職員と思しき女性に呼び止められた。

 そして何故か校長室へと通され、上等なソファーに座らされて待たされることとなってしまった――。

「お待たせ致しました」

 程なくノックがして、扉を開けて入ってくる二人の壮年の男性。

 前もって渡されていた学校のマル秘調査報告書には、校長先生に教頭先生と記されていた人物だった。

「よ、ようこそ、当学校へ。お話は時廻さんより詳しく――ええ、とっても詳しく伺っております。お二方は何もご心配なく、ええ、ご心配なく……ははは」

 やたらハンカチで汗を拭い、目が泳いで挙動不審。
 ひたすら低姿勢で、含みのある物言いの校長先生。


 ミミさん、何かしたでしょ?


『成る程――流石は室長とミミさん。根回しが早いと言うか……相変わらずの容赦のない鬼畜っぷり』

 ポロリと呟くアイシャさんは、何故か遠い目をしていたり。


 え? 鬼畜? お兄ちゃんは解るけど、あのミミさんが? どう言うこと?


「え⁉︎ ……お、お二人共に同じクラスに編入⁉︎ 当然で……となりまして……はい、席も隣同士⁉︎ ……に……寮も相部屋⁉︎ ……とさせて頂きます……おりますよ……勿論です、はい……ははは」

 校長先生のみならず、歯切れ悪く物を言い出す教頭先生。


 まるで誰かに指図されているかのように、いちいち確認する感じで喋っている。


 校長先生に教頭先生のお二人は、どうやら何かに狼狽、怯えているご様子――なんだろう?

 そう疑問に感じていると――。
 
「――ご機嫌好う、アイシャ様。そちらの沙知様につきましては、初めてお会い致しますね。伏木コンチェルンから派遣されました、コードネーム、エリーと申します」

 とても洗練された綺麗過ぎる動作で、優雅に挨拶してくれた金髪女性。

 お兄ちゃんの言っていた協力者の方か。
 ミミさんに負けず劣らずの、凄い九頭身美人さんだ……異国の人だったんだね……。


 ――って、何処から湧いた⁉︎ そして何故にメイド服⁉︎


 存在感が半端ない超絶美人な女性にメイド服で、校長先生と教頭先生の後ろにいつの間にか佇んでいた!

 インパクト絶大な身形にも関わらず、全く存在感も気配も感じさせず、実際に私の視界にも入っていませんでしたよね⁉︎


 新手の光学迷彩とか?
 それとも忍術とかの類いですか?


「ご、ご丁寧にどうも。え、えっと……あまりのことにご挨拶が遅れました! す、すいません……。警視庁公安部梦特別対策室、通称T.I.M.E.対梦・タイム所属のの臼井沙知特務官です。一般階級は巡査部長になります」

 ソファーから勢い良く立ち上がり、慌てて頭を下げて挨拶を返した私は、そのまま上目遣いに相手を見る。


 校長先生と教頭先生が怯えていたのは、この人の所為か。
 魔法少女……って歳でもない美女だから……魔法熟女か何かかな?


『臼井沙知巡査部長、脳内で激しくボケかますのは室長譲りでしょうか? 単に隠密行動に優れ秀でているに過ぎませんよ。但し、私の索敵能力でもギリギリ認識できた究極のレベルですけど。道具の類いを何も用いず、ここまで人を欺ける離れ技を披露した人物は、私の記録の中でも三人目です』

 抑揚なく驚いてみせる、とっても器用なアイシャさんだった。


 それって……世界最強の暗殺者と同義ってことじゃなくない? なんなのこの人?


「その気になれば、この世界の情報全てを掌握可能な、世界にただ一体の自由意志を持たれる高度なA.I.のアイシャ様に、そのようにお褒め頂けるとは――誠に光栄に御座います」

 淑女の嗜みで優雅に会釈するエリーさん。
 ただ表情は怖い笑顔ですけど。


 気の所為か、何か不穏当な腹芸の応酬でバトルってやしません?

 やたらと空気が重くて息が詰まって、とっても居辛いんですけど?
 校長先生や教頭先生にしても、何故かお顔が真っ青になっておられるんですけど?


『今、本部資料を検索、照合して確認致しました。間違いなく室長の計らいで、此度の任務についおられるようですね。――臼井沙知巡査部長の身辺警護、有事の際の支援、どうぞ宜しくお願い致します。私一体だけではキツい感じなので』

 抑揚なく告げて、頭を下げたアイシャさん。

「え? 私の身辺警護の為⁉︎ お兄ちゃんが頼んだ⁉︎」

 目を真ん丸にして驚く私……。


 身辺警護って何⁉︎ そんなに危険なの、この学校⁉︎
 ちょっと意味が解らないんですけど⁉︎


「畏まりました、アイシャ様。沙知様、本当にアルトに大切に調教――ケホケホ。育成されているので御座いますね」

『臼井沙知巡査部長は、考えているようで何も考えられない小動物以下です。ぶっちゃけ全ての行動が天然で、それでいて破壊魔です。警護の仕方についてもくれぐれもお気をつけて。予想だにしない明後日のベクトル方向性で動き、何をやらかすか解ったもんじゃないので』


 今ね、妙に不穏当な言葉の暴力が耳に入ったんですけど?

 しかも二人から容赦なくディスられてるような言葉なんですけど?


「酷い言われようだね、私……」

 頭を垂れて肩を落とし、項垂れる私。

「き、教室に向かわれると宜しい! じ、実に宜しい! 善は急げ、直ぐに急げですよ……ははは」

「そ、そうですね! そ、そろそろ教室に……む、向かいましょうか……ははは」

 汗を必死に拭いながら、血相を変えて退出を促してくる校長先生と、ドアの前に立ち竦み、震える手でドアを開ける教頭先生。


 お二人は何をそんなに怯えているんでしょうか? 何かあるんですか?

 意味不明過ぎて、すんごく気になって仕方ないんですけど?


 疑問に答えを得られぬままに、教頭先生に教室の方へと案内される私とアイシャさんだった――。



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