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Scene.14
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「――クソッ、良い加減にしろ!」
美杉がクローゼットに頭から喰い殺されるのを、鮮血で染まるいけない布地と一緒に目撃した瞬間だった。
突然、視界がねじ曲がり真っ暗になった。
次に気付いたら、俺は美杉の部屋で何事もなく突っ立って、目の前に美杉が座っている状態へと、またしても巻き戻されていた――。
「お兄ちゃん? 乙女の禁断の聖地に脚を踏み入れて、渦巻くリビドーに抑えが効か――」
俺の向かいに何事もなく座って顔を朱に染めて、恥ずかしそうにしながら俺をディスってきた。
「しかし――今度は随分と巻き戻ってんのな」
台詞は微妙に違うが、今回も前と同じ状況を繰り返す俺と美杉。
話している様子からも、今までのことは恐らく覚えていないのだろうな。
散々、繰り返し見せられたお陰で、一つの仮定に思い至った俺――。
ない頭で色々と考えた結果――、
どうも俺にしか視ることができない悪夢の輪廻のようだと。
どっちかと言うと、見たくもないのに次々と強制的に見せられている、美杉って言うヒロインに、俺って言うモブ兼観客役が登場する、個人の趣味に極振り限定したホラー映画って感じなんだけどな?
「お兄ちゃん? ホント、大丈夫?」
「美杉……とにかくこの部屋から、一旦、外に出る。その格好では出辛いだろうから……よっこいしょ。俺の痛パーカーですまんが、これを上から着ておけ」
外に出ると言えば、さっきのように恥ずかしがって上着を取りにクローゼットを開けるだろうから。
万一にも繰り返されるのを防ぐ意味で、痛い柄のパーカーを脱いで渡した俺だった。
「――お兄ちゃん、読心術か予知能力でも身につけた? 良く解ったね?」
「阿呆だろ?」「失敬ですね!」
「美杉の考えてることくらい解るわ!」
「――え?」
「ほら、ぼーっとしてないで急げ! 一旦、外に出てから色々と対策を考える!」
手渡された俺の痛パーカーを上から被り、頭を出すか出さないかの途中で――。
「あぁ……お兄ちゃんの……あぁ……」
大きく深呼吸したと思ったら、妙にスーハースーハーと浅い呼吸に変わる美杉。
「はぅ――御馳走様。うん、そっかそっか、お兄ちゃんは私のことくらい解るんだ♪ ――うんうん♪ 解るんだ~♪ あっはは~♪」
痛パーカーから頭を出すと、何ぞ蕩け切って惚けた面で、やたらと嬉しそうに身を悶えさせ、ニヤけながらブツクサ言っている美杉。
「変態だろ?」「否定はしない!」
なぁ……ちょいと病んでやいませんか、美杉さんや?
俺のことが大好きだってのは、気持ち悪いほど伝わるがな。
俺でも大好きな美杉の服を着たら、同じ事をやらかす自信はある。
だが、こうも酷い有り様を目の当たりにさせられると反面教師で、結構、ドン引くのな……気をつけよ……。
「行くぞ、美杉!」「うんうん!」
美杉の華奢な手をしっかり握り、この部屋をあとにした。
土木用スコップも同じようにしっかり握り締めてだけどな――。
――――――――――
気になる続きはこの後、直ぐ!
チャンネルは、そのまま!(笑)
美杉がクローゼットに頭から喰い殺されるのを、鮮血で染まるいけない布地と一緒に目撃した瞬間だった。
突然、視界がねじ曲がり真っ暗になった。
次に気付いたら、俺は美杉の部屋で何事もなく突っ立って、目の前に美杉が座っている状態へと、またしても巻き戻されていた――。
「お兄ちゃん? 乙女の禁断の聖地に脚を踏み入れて、渦巻くリビドーに抑えが効か――」
俺の向かいに何事もなく座って顔を朱に染めて、恥ずかしそうにしながら俺をディスってきた。
「しかし――今度は随分と巻き戻ってんのな」
台詞は微妙に違うが、今回も前と同じ状況を繰り返す俺と美杉。
話している様子からも、今までのことは恐らく覚えていないのだろうな。
散々、繰り返し見せられたお陰で、一つの仮定に思い至った俺――。
ない頭で色々と考えた結果――、
どうも俺にしか視ることができない悪夢の輪廻のようだと。
どっちかと言うと、見たくもないのに次々と強制的に見せられている、美杉って言うヒロインに、俺って言うモブ兼観客役が登場する、個人の趣味に極振り限定したホラー映画って感じなんだけどな?
「お兄ちゃん? ホント、大丈夫?」
「美杉……とにかくこの部屋から、一旦、外に出る。その格好では出辛いだろうから……よっこいしょ。俺の痛パーカーですまんが、これを上から着ておけ」
外に出ると言えば、さっきのように恥ずかしがって上着を取りにクローゼットを開けるだろうから。
万一にも繰り返されるのを防ぐ意味で、痛い柄のパーカーを脱いで渡した俺だった。
「――お兄ちゃん、読心術か予知能力でも身につけた? 良く解ったね?」
「阿呆だろ?」「失敬ですね!」
「美杉の考えてることくらい解るわ!」
「――え?」
「ほら、ぼーっとしてないで急げ! 一旦、外に出てから色々と対策を考える!」
手渡された俺の痛パーカーを上から被り、頭を出すか出さないかの途中で――。
「あぁ……お兄ちゃんの……あぁ……」
大きく深呼吸したと思ったら、妙にスーハースーハーと浅い呼吸に変わる美杉。
「はぅ――御馳走様。うん、そっかそっか、お兄ちゃんは私のことくらい解るんだ♪ ――うんうん♪ 解るんだ~♪ あっはは~♪」
痛パーカーから頭を出すと、何ぞ蕩け切って惚けた面で、やたらと嬉しそうに身を悶えさせ、ニヤけながらブツクサ言っている美杉。
「変態だろ?」「否定はしない!」
なぁ……ちょいと病んでやいませんか、美杉さんや?
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だが、こうも酷い有り様を目の当たりにさせられると反面教師で、結構、ドン引くのな……気をつけよ……。
「行くぞ、美杉!」「うんうん!」
美杉の華奢な手をしっかり握り、この部屋をあとにした。
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