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異世界。
静寂の町「デルメ」②
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半分以上が死ぬ毒・・・。
昔に日本でも起きた、公害みたいな物??
日本でも、確か公害が原因で亡くなったり、障害を抱えた人が多数出た地域があったはず。
私は、社会の教科書を思い浮かべて考え込んでいた。
「そうだね・・。確かに、僕のいた世界でも公害はあった。
やはりその公害も、自然へ流れ出した毒が原因だった。
水が汚染され、その川の流域に暮らす人々の健康が害された。
同じようなことが、ここの近隣でも起こっている。
魔法石の採石地の付近の村では、原因不明の毒による謎の死が相次いでいるんだ。
ここは、もう砕石場もなくなった。今は年老いた人々だけが静かに暮らしている・・。」
「もう、若い者が出てってからは自分たちの食べる物を作って、その田畑を守るだけの
暮らしです。魔法石の採掘場での仕事を始めなければ・・・。
こんなことにはならなかったのに!!」
町長の奥さんは、小さい体を揺らして悲しそうに呟く。
「町長・・。あの・・。明日日が昇ったら、その採掘場を見せてもらってもいいですか?」
ずっと黙って考え込んでいた様子のアルベルトが、町長へと青い瞳を向けた。
驚いた町長は、びっくりした様子で持っていた皿を取り落としそうになった。
「え・・ええ。しかし、採掘場は立ち入り禁止で、荒れ果てた状態で・・・。
それに、危険な獣も出ますが・・。」
「それでも、自分の目で何が起きたのか・・。ちゃんと確認したいのです。
明日、案内を頼めますか?」
「はい・・。もちろんです。ノア王子も行かれますか?」
「彼が行くなら、私も行きます。町長、それでは明日の朝採掘場への案内をお願いします。」
不安そうな様子の町長は、頷いた。
その夜は、温かいご飯をみんなでご馳走になり町の様子や、毒によって体調を崩した者たちが
薬を服用しても治らずに亡くなっていった悔しさを聞いたのだった。
そんな驚くべき毒の威力に私は驚きを隠せなかった。
食事を終えると、私はエレクトラと一緒の部屋へと案内された。
医魔術書を開きながら、今日の講義を伝授されていた。
トリートの呪文や、体の状態から患部に触れて、そこへと力を送る魔術も教えてもらっていた。
「いつも感心しているんですが、どうしてそんなに医魔術を習得したいのですか??」
風呂上りの私とエレクトラは濡れた髪を乾かしながら、部屋の壁へともたれて髪をタオルドライで
乾かしていた。
「どんな病気の人でも治せる医学に憧れてたのよ。
・・・子供のころから。
私ね、昔心臓の病気を患った男の子に恋をしたの・・。
その子は、手術を受けて治ると言われていたの。
元気になって一緒に出掛けられることを夢見ていたんだけどね、手術の後に亡くなったのよ・・。
その時に、私は医者になろうと思ったの。
どんな病気でも助けられる医術はないって・・。
・・・母には言われたんだけど、わたし、諦めが悪くて。」
「そうなんですか・・。どんな病気も治せる医学か・・・。
魔術はそれに近いですね・・。
でも、どんな条件下でもそれが可能ではないんですよ?
治せない病気や怪我もあります・・。それに、心の強さも求められるんです。」
「心の強さ・・・?」
「病気やケガを治す時に、かなりの精神力も体力も奪われます。
酷ければ酷い程自分も憔悴していくんです。
諦めずに、力を送り続けられる精神力が試されます。
・・・美月様、今夜ももう少し勉強なさいますか?
今夜は、私でよければお付き合い致しますよ。」
エレクトラが黒い髪に、漆黒の瞳を揺らして優しく微笑んだ。
わたしは、彼女の気持ちが嬉しかった。
「うん!!身体が大丈夫なら・・。是非、教えて欲しいわ!!有難う、エレクトラ。」
「いいえ・・。微力ですが、応援させてくださいね。」
エレクトラは医魔術書を取りに行った私の背中を見つめながら、
複雑そうな瞳で悲しそうに笑った。
昔に日本でも起きた、公害みたいな物??
日本でも、確か公害が原因で亡くなったり、障害を抱えた人が多数出た地域があったはず。
私は、社会の教科書を思い浮かべて考え込んでいた。
「そうだね・・。確かに、僕のいた世界でも公害はあった。
やはりその公害も、自然へ流れ出した毒が原因だった。
水が汚染され、その川の流域に暮らす人々の健康が害された。
同じようなことが、ここの近隣でも起こっている。
魔法石の採石地の付近の村では、原因不明の毒による謎の死が相次いでいるんだ。
ここは、もう砕石場もなくなった。今は年老いた人々だけが静かに暮らしている・・。」
「もう、若い者が出てってからは自分たちの食べる物を作って、その田畑を守るだけの
暮らしです。魔法石の採掘場での仕事を始めなければ・・・。
こんなことにはならなかったのに!!」
町長の奥さんは、小さい体を揺らして悲しそうに呟く。
「町長・・。あの・・。明日日が昇ったら、その採掘場を見せてもらってもいいですか?」
ずっと黙って考え込んでいた様子のアルベルトが、町長へと青い瞳を向けた。
驚いた町長は、びっくりした様子で持っていた皿を取り落としそうになった。
「え・・ええ。しかし、採掘場は立ち入り禁止で、荒れ果てた状態で・・・。
それに、危険な獣も出ますが・・。」
「それでも、自分の目で何が起きたのか・・。ちゃんと確認したいのです。
明日、案内を頼めますか?」
「はい・・。もちろんです。ノア王子も行かれますか?」
「彼が行くなら、私も行きます。町長、それでは明日の朝採掘場への案内をお願いします。」
不安そうな様子の町長は、頷いた。
その夜は、温かいご飯をみんなでご馳走になり町の様子や、毒によって体調を崩した者たちが
薬を服用しても治らずに亡くなっていった悔しさを聞いたのだった。
そんな驚くべき毒の威力に私は驚きを隠せなかった。
食事を終えると、私はエレクトラと一緒の部屋へと案内された。
医魔術書を開きながら、今日の講義を伝授されていた。
トリートの呪文や、体の状態から患部に触れて、そこへと力を送る魔術も教えてもらっていた。
「いつも感心しているんですが、どうしてそんなに医魔術を習得したいのですか??」
風呂上りの私とエレクトラは濡れた髪を乾かしながら、部屋の壁へともたれて髪をタオルドライで
乾かしていた。
「どんな病気の人でも治せる医学に憧れてたのよ。
・・・子供のころから。
私ね、昔心臓の病気を患った男の子に恋をしたの・・。
その子は、手術を受けて治ると言われていたの。
元気になって一緒に出掛けられることを夢見ていたんだけどね、手術の後に亡くなったのよ・・。
その時に、私は医者になろうと思ったの。
どんな病気でも助けられる医術はないって・・。
・・・母には言われたんだけど、わたし、諦めが悪くて。」
「そうなんですか・・。どんな病気も治せる医学か・・・。
魔術はそれに近いですね・・。
でも、どんな条件下でもそれが可能ではないんですよ?
治せない病気や怪我もあります・・。それに、心の強さも求められるんです。」
「心の強さ・・・?」
「病気やケガを治す時に、かなりの精神力も体力も奪われます。
酷ければ酷い程自分も憔悴していくんです。
諦めずに、力を送り続けられる精神力が試されます。
・・・美月様、今夜ももう少し勉強なさいますか?
今夜は、私でよければお付き合い致しますよ。」
エレクトラが黒い髪に、漆黒の瞳を揺らして優しく微笑んだ。
わたしは、彼女の気持ちが嬉しかった。
「うん!!身体が大丈夫なら・・。是非、教えて欲しいわ!!有難う、エレクトラ。」
「いいえ・・。微力ですが、応援させてくださいね。」
エレクトラは医魔術書を取りに行った私の背中を見つめながら、
複雑そうな瞳で悲しそうに笑った。
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