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異世界。
許された過去。
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イムディーナは、その場に居るものに光を浴びせさせた。
「・・・流石ですね、アルベルト殿下。アルバのペンダントだったとは・・。」
赤紫の瞳は、少しの疲弊を滲ませてアルベルトを見つめた。
アルベルトは、イムディーナによって魔力の回復が遂げられてはいたが
精神的な疲労感から、ノアの言葉に苦く笑って答えた。
カイザルはアルベルトの頭を撫でて、誇らしげに微笑んだ。
父からのその優しい微笑みに、アルベルトは落ち着いた笑みで答えた。
エミリアンは、アルベルトに向かって切なそうに微笑んだ。
「アルベルト王子・・。貴方はお強くなられました。
・・・ご立派になられましたね。」
アメジストの瞳は細められ嬉しそうに笑っていた。
エミリアンの言葉にはしなかった自分だけに伝えられた
心からの「ありがとう。」の言葉に、胸が熱くなった。
「・・・アルベルト!!!」
一段落したその惨状の現場に、力強い声が響いた。
兵士たちを手当てしていた、美月が長くスラリとした肢体と美しい顔を
こちらに向けて立ち上がっていた。
「美月・・・。美月!!!この馬鹿っ・・!!!」
泣きそうになった青い瞳は、誰よりも愛しい女性を瞳に映して揺れた。
ノアは、眉を下げて笑っていた。
「はぁ?・・・何よ、馬鹿って!!!」
美月は、不服そうにむうっと頬を膨らました。
走り出したアルベルトと、急に怒鳴られて頬を膨らましたまま
その場で、アルベルトを睨み付けていた美月・・・。
「心配したんだぞ!!!君が・・、死ぬかと思った・・。
耐えられない。絶対、そんなの僕は耐えられない!!
・・・たまには落ち着いて守られてよ。・・このじゃじゃ馬っ!!!」
「賭けは勝ったのよ?良かったじゃないの。
それに、いつも馬鹿って言う方が馬鹿だって言ってるでしょう。
・・・相変わらずね、短気団長!!!」
思い切り腕を回して、ぎゅうっとみんなの前で抱きしめられた彼女は、
その行為に不服そうに暴れだした。
その様子をクレイドルやアレクシスは笑って見つめていた。
赤紫の瞳は、悲しそうに揺れる。
「・・・負けだな。完敗だよ。」
ノアの瞳は、苦しそうに細められて瞼が熱くなった。
大好きだった彼女への想いは、苦しいほど降り積もっていた。
彼女の歌・・・。
あの世界から去る前に、病室で想いを込めて歌われた彼女の歌を思い出した。
優しく、強く、憎しみや不安を打ち消してくれる光をくれた。
最期の瞬間には、魂が浄化されるように自分の短い生も、自分のたった1度ついてしまった嘘へ
の心からの懺悔の気持ちを全てを許し、温かく受け止めてくれるような光。
「僕は、嘘をついた・・。
君を手に入れる為にエストラ・・いや、トウマを罠にかけた。
そして、僕はヒーローのように君を助けた。
確実に君の心を手に入れ、君の両親からの信頼を手に入れる為に・・。
だけど、移植心臓が事故・・、いや自殺のようなものだったの
だろうな。
トウマの物だったことが分かってからは、僕は自分を責め続けた。
新たな生を受けてこの世界へ来てからは、懺悔するように必死で王子の任を背負ったんだ・・。」
全てを知ったときその全てが手遅れだった・・。
謝りたくても、エストラはもうこの世界からも消えてしまった。
嘘で手に入れた君の想い・・。
アルベルトとは違う、自分の心の奥底にある醜さと不安に負けた自分、
僕は、君に釣り合わない・・。
「ノア王子・・・。罪を犯さぬ人間などいません。
もちろん、嘘をつかない人間も・・。
子供時代の間違いは、取り返しのない未来へと繋がりました。
だけど、貴方と転生前の貴方は容姿も、健康だって違う。
貴方はあの時の子供ではない、立派な大人なんですよ。」
押し問答を繰り広げていたはずのアルベルトが、隣で微笑んでいた。
悲しそうな表情のノアを覗き込んだ私は、アルベルトの言葉に首を傾げた。
「あの日・・。君が閉じ込められたのは、僕のせいなんだ。
全部、トウマを追い詰めて君があそこに居たことを本当は知っていた。
僕の嘘が原因で彼は死んだ。
そして、君も・・・。男性恐怖症になったんだろう?
僕が死んでからずっと苦しんだのだと知って後悔した。
・・本当に、すまなかった。」
僕の心の醜さと、あの頃の弱かった自分を思い唇を血が滲むほど噛む。
大好きだった彼女を怖い目に合わせて傷をつけた・・。
守りたいはずの彼女を、自分が絶好のポイントで助け上げヒーローの役を演じようと
考えていた。
そんな自分の事ばかり考えていた自分に反吐が出そうになる。
「そう・・。そうだったんだ・・。」
吹っ切れた表情の美月の顔を見たノアは、呆然と見上げた。
思っていた詰るような、責めるようなリアクションはいつまで経っても帰って来ない。
「無事だったからいいの・・。
それよりも、あのせいでトウマ君も、藤君も
短命になってしまったのだとしたら・・。私はその事が悲しい。」
「・・何を・・言ってるの??僕の嘘や企みのせいでトウマは死んだ。
僕は人を殺して、大好きな君の心も殺したんだよ!?」
肩を震わせながら、苦しそうに眉根を寄せるその姿に痛みを耐えた様子の
アルベルトは青い瞳を揺らしていた。
「はぁ・・。」
急に大きなため息を吐いた私は、ノアを睨む。
「・・責められれば楽??
でも、エストラも、トウマ君も戻って来ないのよ。
私は・・どんな貴方でも、・・・また会えて嬉しかった!!
素直に私に謝ってくれた貴方を見て、変わってなかった・・。って思ったわ!!
そりゃあ、怖かったし、寒いし、散々だったけど・・。
貴方を許すわ・・。
だから、懺悔で人生を生きてないで自分の人生を生きてよ。」
私は、青い大きな瞳でノアの赤紫の涙が湛えられた瞳に笑んだ。
「・・・彼は、とっくに貴方を許していた。
きっとたくさん悩んで、揺れながら最後に決めたの・・。
エストラは、貴方にこの世界を託したのよ。
貴方なら、きっとこの世界を導いてくれると信じて。
だから、貴方は過去よりも・・。未来を向いて生きて下さい!!」
ノアの顔は大きく歪み、嗚咽が上がる。
私は、長い髪を揺らして隣のアルベルトを見つめた。
満足そうに、優しく微笑むアルベルトは私の手をそっと握った。
「・・・っ。エストラ・・。すま・・ない。」
その言葉に、ノアはペタンと地面に膝をついて項垂れた。
頬には涙が伝う。
美しい銀色の髪は揺れていた。
その秀麗な顔に、強く光り輝く赤紫のガーネットの瞳を覆い隠すように。
「・・・流石ですね、アルベルト殿下。アルバのペンダントだったとは・・。」
赤紫の瞳は、少しの疲弊を滲ませてアルベルトを見つめた。
アルベルトは、イムディーナによって魔力の回復が遂げられてはいたが
精神的な疲労感から、ノアの言葉に苦く笑って答えた。
カイザルはアルベルトの頭を撫でて、誇らしげに微笑んだ。
父からのその優しい微笑みに、アルベルトは落ち着いた笑みで答えた。
エミリアンは、アルベルトに向かって切なそうに微笑んだ。
「アルベルト王子・・。貴方はお強くなられました。
・・・ご立派になられましたね。」
アメジストの瞳は細められ嬉しそうに笑っていた。
エミリアンの言葉にはしなかった自分だけに伝えられた
心からの「ありがとう。」の言葉に、胸が熱くなった。
「・・・アルベルト!!!」
一段落したその惨状の現場に、力強い声が響いた。
兵士たちを手当てしていた、美月が長くスラリとした肢体と美しい顔を
こちらに向けて立ち上がっていた。
「美月・・・。美月!!!この馬鹿っ・・!!!」
泣きそうになった青い瞳は、誰よりも愛しい女性を瞳に映して揺れた。
ノアは、眉を下げて笑っていた。
「はぁ?・・・何よ、馬鹿って!!!」
美月は、不服そうにむうっと頬を膨らました。
走り出したアルベルトと、急に怒鳴られて頬を膨らましたまま
その場で、アルベルトを睨み付けていた美月・・・。
「心配したんだぞ!!!君が・・、死ぬかと思った・・。
耐えられない。絶対、そんなの僕は耐えられない!!
・・・たまには落ち着いて守られてよ。・・このじゃじゃ馬っ!!!」
「賭けは勝ったのよ?良かったじゃないの。
それに、いつも馬鹿って言う方が馬鹿だって言ってるでしょう。
・・・相変わらずね、短気団長!!!」
思い切り腕を回して、ぎゅうっとみんなの前で抱きしめられた彼女は、
その行為に不服そうに暴れだした。
その様子をクレイドルやアレクシスは笑って見つめていた。
赤紫の瞳は、悲しそうに揺れる。
「・・・負けだな。完敗だよ。」
ノアの瞳は、苦しそうに細められて瞼が熱くなった。
大好きだった彼女への想いは、苦しいほど降り積もっていた。
彼女の歌・・・。
あの世界から去る前に、病室で想いを込めて歌われた彼女の歌を思い出した。
優しく、強く、憎しみや不安を打ち消してくれる光をくれた。
最期の瞬間には、魂が浄化されるように自分の短い生も、自分のたった1度ついてしまった嘘へ
の心からの懺悔の気持ちを全てを許し、温かく受け止めてくれるような光。
「僕は、嘘をついた・・。
君を手に入れる為にエストラ・・いや、トウマを罠にかけた。
そして、僕はヒーローのように君を助けた。
確実に君の心を手に入れ、君の両親からの信頼を手に入れる為に・・。
だけど、移植心臓が事故・・、いや自殺のようなものだったの
だろうな。
トウマの物だったことが分かってからは、僕は自分を責め続けた。
新たな生を受けてこの世界へ来てからは、懺悔するように必死で王子の任を背負ったんだ・・。」
全てを知ったときその全てが手遅れだった・・。
謝りたくても、エストラはもうこの世界からも消えてしまった。
嘘で手に入れた君の想い・・。
アルベルトとは違う、自分の心の奥底にある醜さと不安に負けた自分、
僕は、君に釣り合わない・・。
「ノア王子・・・。罪を犯さぬ人間などいません。
もちろん、嘘をつかない人間も・・。
子供時代の間違いは、取り返しのない未来へと繋がりました。
だけど、貴方と転生前の貴方は容姿も、健康だって違う。
貴方はあの時の子供ではない、立派な大人なんですよ。」
押し問答を繰り広げていたはずのアルベルトが、隣で微笑んでいた。
悲しそうな表情のノアを覗き込んだ私は、アルベルトの言葉に首を傾げた。
「あの日・・。君が閉じ込められたのは、僕のせいなんだ。
全部、トウマを追い詰めて君があそこに居たことを本当は知っていた。
僕の嘘が原因で彼は死んだ。
そして、君も・・・。男性恐怖症になったんだろう?
僕が死んでからずっと苦しんだのだと知って後悔した。
・・本当に、すまなかった。」
僕の心の醜さと、あの頃の弱かった自分を思い唇を血が滲むほど噛む。
大好きだった彼女を怖い目に合わせて傷をつけた・・。
守りたいはずの彼女を、自分が絶好のポイントで助け上げヒーローの役を演じようと
考えていた。
そんな自分の事ばかり考えていた自分に反吐が出そうになる。
「そう・・。そうだったんだ・・。」
吹っ切れた表情の美月の顔を見たノアは、呆然と見上げた。
思っていた詰るような、責めるようなリアクションはいつまで経っても帰って来ない。
「無事だったからいいの・・。
それよりも、あのせいでトウマ君も、藤君も
短命になってしまったのだとしたら・・。私はその事が悲しい。」
「・・何を・・言ってるの??僕の嘘や企みのせいでトウマは死んだ。
僕は人を殺して、大好きな君の心も殺したんだよ!?」
肩を震わせながら、苦しそうに眉根を寄せるその姿に痛みを耐えた様子の
アルベルトは青い瞳を揺らしていた。
「はぁ・・。」
急に大きなため息を吐いた私は、ノアを睨む。
「・・責められれば楽??
でも、エストラも、トウマ君も戻って来ないのよ。
私は・・どんな貴方でも、・・・また会えて嬉しかった!!
素直に私に謝ってくれた貴方を見て、変わってなかった・・。って思ったわ!!
そりゃあ、怖かったし、寒いし、散々だったけど・・。
貴方を許すわ・・。
だから、懺悔で人生を生きてないで自分の人生を生きてよ。」
私は、青い大きな瞳でノアの赤紫の涙が湛えられた瞳に笑んだ。
「・・・彼は、とっくに貴方を許していた。
きっとたくさん悩んで、揺れながら最後に決めたの・・。
エストラは、貴方にこの世界を託したのよ。
貴方なら、きっとこの世界を導いてくれると信じて。
だから、貴方は過去よりも・・。未来を向いて生きて下さい!!」
ノアの顔は大きく歪み、嗚咽が上がる。
私は、長い髪を揺らして隣のアルベルトを見つめた。
満足そうに、優しく微笑むアルベルトは私の手をそっと握った。
「・・・っ。エストラ・・。すま・・ない。」
その言葉に、ノアはペタンと地面に膝をついて項垂れた。
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