二者択一で転移した令嬢は2つの月の狭間で揺れる。

館花陽月

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異世界。

銀色の選択②

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母が、普通じゃない私の様子に気づいて首を傾げた。

「どんな病気や怪我でも治せる医術を学んだの・・!!
その世界で、愛する人と出会ったの・・。
私、その人と離れたくないの・・・。胸が引き裂かれる程苦しいの。
ごめんね・・。だから、さようなら・・・!!!」

エリカは、美月の瞳が本来の青と金の瞳が晒されていた事に驚いて目を見開いた。

私の両目からは涙が溢れていた・・。

「・・・美月???」

何かを察知したエリカは、美月を不思議そうに見つめる


「どうした??美月・・・。」

父が不安そうに、私を見つめる。


信号の青が点滅する。

次の瞬間だった・・・。


 「キキキキキ・・・・・」


ブレーキ音と、大きなトラックが歩道に近づいてくる音が聞こえた。

「美月、危ないっ・・・!!!?」

母の叫び声と、トラックのブレーキ音が鳴り響く。

目を閉じて私はその時を待った・・。

家族に一目会えて良かった・・・。

これは神様からのプレゼントだね。

さようなら、みんな・・・。



「・・馬鹿っ!!!」


ガッ・・・。


私の顔に猫が飛びついて体を植え込みへと押し倒した。


バサァッ・・・。

植え込みに頭ごと勢いよく突っ込んだ私は、驚いて起き上がる。

数メートル前の視界には、トラックが歩道に乗り入れている光景が広がっていた。

驚くべきことに、事故にあって死ぬはずの私は植え込みに突っ込んで
難を逃れて助かっていた・・。

電柱が折れた状態で、トラックの運転手だけが目を白黒させていた。

「嘘だ・・・。」

何で??

だって、私の選択は・・・。

「私、助かったの???」

驚いて体を起こすと、銀色の猫が私の前で私を睨み付けていた。

イムディーナ???

「馬鹿・・・。親の前で死ぬなよ、エリカとアルベルトが悲しむだろ?」

うわ・・。

この声・・・。

「だって、だって・・。
まさか、最後に家族に会えるなんて思わなかったから・・。
それより何よ、その姿・・・。」

「この世界に来る時の姿だよ。僕の魂の色は銀色だからな・・・。
イムディーナから聞いたよ。
この世界での死を選んで、あっちの世界での転生を選択したんだって??
・・・聞いてないし!!!
君の心を読んでおいて良かった。
てっきり、振られたのかと思ったよ・・。」

「ぬあっ、よ、読んだの???
最後ってキスした時の・・・??
ちょっと!!!やめてよ・・。恥ずかしすぎて今すぐ消えたくなるからっ!!!」

「愛してる・・。
愛してるから、私はあっちの世界での美月の生を完全に捨てて、
この世界でアルベルトと共に生きる選択をします・・。
あの時、全身が嬉しさに震えてゾクッとしたよ。」

恥ずかしいから辞めて欲しかった・・・。

死にかけた動悸だけでなく、別な動悸もするわ。

揶揄うようアルベルトに見上げられていた。

見つめ合う、猫と私・・。

これ絶対傍から見たら可笑しな光景だって!!

「でも、僕は、・・・君を死なす訳にはいかない。」

「君の命と、君の大切な家族や、この世界で待っている未来を手放そうとしている
君に僕は何が出来るだろう・・。
そう考えたらさ、見つけたんだ・・。その答えを。」

「・・答えって??」

「僕たちの世界へそのまま戻って、・・・僕と結婚しよう。
イムディーナが教えてくれたんだ。
こっちでの人生は終わるけど・・・。
いつでも、きみの大好きな家族に会う方法を。
僕が、この世界へと渡れるように、君も神官の地位と力を得たら、
いつでも君の家族の元に会いに来れるよ???
ただし、・・・猫の姿だけどね。」

「アルベルト・・・。じゃあ、私わざと死ななくていいの??」

「うん。君の選択は神様は了承してくれてるからね・・。いつでも、出発出来るよ。」

私は、胸がいっぱいになって銀色の猫を抱きしめた。

「だから、君の親御さんにご挨拶しないとね・・。
君をお嫁さんに異世界に攫っていく僕を許してもらわないと。」

「うん・・!!うん!!・・・そうね、お父さんに殴られたらいいわ!!」

「・・・あのなぁ。猫の姿で殴られたら命が危ういぞ。
でも、何度殴られてもいいよ。君が手に入るならね!!
僕の選択は、殺してしまうほど、愛するだったんだよ。
美月はこの世界からは消えてしまうけど、一生君だけを愛し続けるよ・・・。」

銀色の猫は優しく頬ずりする。

温かいそのぬくもりに嬉しくなる。

「美月・・。大丈夫だった???
・・・もう、びっくりした・・。酷い目に合ったわね。」

母が銀色の猫を抱きしめた私を、ぎゅうっと抱きしめた。

「ぎゃっ・・。」

苦しそうに、アルベルトは私の腕の中から顔を出した。

アルベルトは不思議そうに、娘の腕に抱きしめられた銀色の猫をそっと抱いた。

「君は、ただの猫じゃないよね??イムディーナでもないな・・。君は誰だい??」

青い瞳を細めて、銀色の猫を優しく見下ろす。

私は、父に明るい声で微笑んだ。

「彼は私の愛する人、・・アルベルト王子だよ。」

その言葉に、母も、父も兄弟たちも目を丸くして驚いた。

「なんなの??貴方と同じ名前じゃない・・・。」

驚いた母に、更にトドメの言葉を送る。

悪戯っぽい瞳で、父と母を見つめて紹介する。

「そうだよ!!彼はシェンブルグ王国のカイザル王の息子、アルベルト王子だよ・・。」

私の言葉に、母と父の瞳は激しく揺れた・・・。

「ルナ・・と、カイザルの子??アルベルト・・って言うの??」

母は嬉しそうに、猫の頭を撫でる。

お父さんは、腕の中の猫を見下ろして優しく微笑んだ。

「こんにちわ、・・アルベルト。君たちも長い冒険をしたようだね?
その冒険の話を僕にも聞かせてくれないか??
君が、私たちの大好きな娘を連れていく前にね。」

母は、切なそうに私を見た。

そっと私の頭を優しく撫でた。

「貴方の運命は、あの世界へと・・繋がっていたのね。」

「うん。私、選択したのよ・・。「死んでしまう程、愛する」って・・。」

その言葉に、父と母は声を出して笑った。

自分たちの二者択一を思い出して微笑んだ。

私は、みんなに伝えよう・・・。

あの世界での出会いと冒険の数々と、これからの未来の選択を。
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