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Nail Excellent
第三話
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サノヤに買い物に行ったけどパイシートがみつからず、店員さんに聞いてみると冷凍食品のコーナーの端の方にあった。見たことない物を探すのって難しいものだと統太は店を出た。
「今から作るもの、全然想像がつかないんだけど」
統太は冷蔵庫の中身を思い浮かべながらスーパーの買い物袋をさげて家に向って歩いた。よく見て歩くと小さな商店街は生活に密着した店がたくさんある。早く閉まる店ももちろん多いけど、大手スーパーと違って近所の人の生活の場という雰囲気が感じられる。まだ開いている惣菜屋さんからコロッケのいい匂いがした。
商店街から見える場所にある ワンルームのマンション、オートロックなどない古い物件に統太は住んでいる。
「ただいまなさい」
一人でただいまとおかえりを済ませ、玄関を上がって三歩の所にある冷蔵庫を覗く。長ネギ、餅一切れ、キムチ、ちくわ、ベーコンが全て中途半端に残っていた。
「うわ……これでほんとに美味しくなるのかな」
色々疑問が頭に浮かぶが、統太は馨の言うことを信じてみたくてパイシートを一枚取り出し、解凍するためにクッキングシートの上に置いた。
まずは材料を全て一センチ角くらいに細かく刻む、そう馨に教わった。ネギはとにかく何にでも合うから入れた方がいいと勧められた。キムチはベタベタするからそのままにして。あとスープはインスタントでいいかな。
オーブントースターの天板に柔らかくなってきたパイシートを置いて端を少し引っ張って伸ばす。トマトケチャップ、刻んだ食材を乗せ溶き卵を多めに二個分、溶けるチーズは冷凍庫から出して振りかける。チーズは好きだからたっぷりかけてしまえ! と、統太は残っている全部をかけた。オーブントースター強めで15~20分焼く。
その間にスープのお湯を沸かしてキッチンを片付ける。チーズが焼けて香ばしい匂いがしてくると待ちきれなくてオーブントースターを覗き込んだ。
「ヤバっ、めっちゃ美味そう!」
焼き上がると馨に見せようとスマホで写真を撮った。包丁で十文字に切り目をいれて皿に移し、スープと一緒にテーブルへ運ぶとまた写真を撮った。
「馨さんと一緒に食べたいなぁ、いただきます」
しばらく一人の食事が当たり前だったのに、少し寂しくなる。手を大きく動かしてチーズの伸びる糸を引きちぎって顔を近づけ、一口齧ると、食べたことない味なのに感動した。
「何だかわからないけど美味しい! これきっとマヨネーズも合うと思うな~」
一人暮らしになってから増えた独り言と共に、パクパクと平らげた。
馨さんも一人でご飯食べるのかなぁ。そうだよね、一人暮らしなんだし。
仕事が忙しいと作りたくないことってやっぱりあるのかな。
でも料理が好きなんだってわかるな~、こんな美味しいもの教えてくれたし。
お菓子とかも作るのかもしれない。おしゃれだけど簡単なもの。
うんうん、きっと作ってる。
「馨さんは食後に紅茶とか飲んでそう!」
一人盛り上がって立ち上がると電気ポットでお湯を沸かし、棚の奥にある紅茶の缶を取り出してティーバッグの紅茶を淹れた。馨が紅茶を飲んだりご飯を作る様子を想像しているうちに眠くなり、そのままベッドに倒れ込んだ。
寝転がって天井に向い、しっとり柔らかくなった手を伸ばし眺めながら馨の手の感触を思い出す。マッサージしてもらったその余韻がなくなりそうな気がして、シャワーは明日の朝にしようと決めた。
布団を抱きしめ、次に会うことを考えながら眠りについた。
「今から作るもの、全然想像がつかないんだけど」
統太は冷蔵庫の中身を思い浮かべながらスーパーの買い物袋をさげて家に向って歩いた。よく見て歩くと小さな商店街は生活に密着した店がたくさんある。早く閉まる店ももちろん多いけど、大手スーパーと違って近所の人の生活の場という雰囲気が感じられる。まだ開いている惣菜屋さんからコロッケのいい匂いがした。
商店街から見える場所にある ワンルームのマンション、オートロックなどない古い物件に統太は住んでいる。
「ただいまなさい」
一人でただいまとおかえりを済ませ、玄関を上がって三歩の所にある冷蔵庫を覗く。長ネギ、餅一切れ、キムチ、ちくわ、ベーコンが全て中途半端に残っていた。
「うわ……これでほんとに美味しくなるのかな」
色々疑問が頭に浮かぶが、統太は馨の言うことを信じてみたくてパイシートを一枚取り出し、解凍するためにクッキングシートの上に置いた。
まずは材料を全て一センチ角くらいに細かく刻む、そう馨に教わった。ネギはとにかく何にでも合うから入れた方がいいと勧められた。キムチはベタベタするからそのままにして。あとスープはインスタントでいいかな。
オーブントースターの天板に柔らかくなってきたパイシートを置いて端を少し引っ張って伸ばす。トマトケチャップ、刻んだ食材を乗せ溶き卵を多めに二個分、溶けるチーズは冷凍庫から出して振りかける。チーズは好きだからたっぷりかけてしまえ! と、統太は残っている全部をかけた。オーブントースター強めで15~20分焼く。
その間にスープのお湯を沸かしてキッチンを片付ける。チーズが焼けて香ばしい匂いがしてくると待ちきれなくてオーブントースターを覗き込んだ。
「ヤバっ、めっちゃ美味そう!」
焼き上がると馨に見せようとスマホで写真を撮った。包丁で十文字に切り目をいれて皿に移し、スープと一緒にテーブルへ運ぶとまた写真を撮った。
「馨さんと一緒に食べたいなぁ、いただきます」
しばらく一人の食事が当たり前だったのに、少し寂しくなる。手を大きく動かしてチーズの伸びる糸を引きちぎって顔を近づけ、一口齧ると、食べたことない味なのに感動した。
「何だかわからないけど美味しい! これきっとマヨネーズも合うと思うな~」
一人暮らしになってから増えた独り言と共に、パクパクと平らげた。
馨さんも一人でご飯食べるのかなぁ。そうだよね、一人暮らしなんだし。
仕事が忙しいと作りたくないことってやっぱりあるのかな。
でも料理が好きなんだってわかるな~、こんな美味しいもの教えてくれたし。
お菓子とかも作るのかもしれない。おしゃれだけど簡単なもの。
うんうん、きっと作ってる。
「馨さんは食後に紅茶とか飲んでそう!」
一人盛り上がって立ち上がると電気ポットでお湯を沸かし、棚の奥にある紅茶の缶を取り出してティーバッグの紅茶を淹れた。馨が紅茶を飲んだりご飯を作る様子を想像しているうちに眠くなり、そのままベッドに倒れ込んだ。
寝転がって天井に向い、しっとり柔らかくなった手を伸ばし眺めながら馨の手の感触を思い出す。マッサージしてもらったその余韻がなくなりそうな気がして、シャワーは明日の朝にしようと決めた。
布団を抱きしめ、次に会うことを考えながら眠りについた。
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