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45話 審問会へ
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フォニアさんからの要請をライツナー伯爵は即座に了承してくれた。
ライツナー伯爵としては、セリアさんがフォニアさんの提案を了承した時点で、否は無いとの事。
それから二日掛けてライツナー伯爵の話の裏を取ったり、計画の打ち合わせをした。
正直、人類同盟が足止めのために作った三日と言う時間は、僕らにとってもありがたかった。
その間、野営地には、いろいろな国の貴族から昼食や晩餐会のお誘いが来ていたが、すべて断った。
表向きの理由としては審問会が終わってもいないのにそういう場所に出るわけには行かない。本音としては、誘拐やらハニトラが怖くていけるはずが無い。
野営地周辺には、人類同盟や他国の工作員と思われる連中が多数確認されているので、下手に野営地から出たらそいつらに襲ってくれと言っているようなものだ。不審者達は、隠れているつもりなのだろうが、ザムに搭載された複合センサーにより居場所は丸分かりだ。
中には夜間にザムの視線をかいくぐって野営地に入り込もうとする工作員も居たが、ザムのカメラは頭部のメインカメラ以外にも全身についている。
野営地の外から見えない位置までザムで誘導し捕まえる事など簡単なことだった。
そんなこんなであっという間に三日が過ぎた。
三日目の昼には、明日審問会を行うと人類同盟から使者が来た。
さすがに、三日過ぎても開催されなければスベン公国へと帰ると通告していただけあって審問会の先延ばしはされなかったようだ。
そして四日目。僕らは、曇天の空の下、竜車に乗って人類同盟本部に向かう。
厚い雲が空に立ち込めている様子からそう遠くない時間に一雨来るだろう。
薄暗い中で見る難民キャンプは、いつもよりさらに陰鬱としており、見ていてこちらの気持ちも暗くなる。
「ラガツの難民キャンプが我が国の難民よりひどい生活をしているなんて思いませんでした」
フォニアさんは、難民キャンプの様子を見て僕らが書いた報告書の事を思い出し、悲しそうに言った。
確かにカルナートに会った難民キャンプは、貧しさこそはあったが、自国の避難民という事もあり、治安の悪化だけは何とか避けられていた。
だが、ここは常識の違う雑多な国の民が入り乱れ、且つ人類同盟による搾取により人心は荒れ、治安が悪化していた。本来であれば人類同盟が治安の維持をすべきなのだが、連中そんな事はする気が無い。奴らが興味あるのは難民でいかに稼ぐかだけだろう。
「僕らのする事で、それが多少なりとも改善するといいんですけどね」
「ええ、そうですね。そうなる事を願います」
フォニアさんは、祈るように言った。
汚い難民キャンプに比べ、いやみなほどに磨かれたカニンガムが守る門を抜け、人類同盟の城へと到着した。
出迎えたのは、たくさんのメイドさんときらびやかな軍服を着た兵士。
メイドさんの先頭には、ごーじゃすメイドさん事、エレンシアさんと大正ロマンメイドさんなシズネさんがいる。
「「ようこそいらっしゃいました。フォニア陛下、アマタ様」」
メイドさん達は、綺麗なカーテシーを決めて僕らに挨拶する。兵士も僕らに向かって頭を下げる。
「おはようございます。エレンシアさん、シズネさん」
その挨拶に対しフォニアさんは、鷹揚にうなずき、僕は普通に挨拶を返す。
「名前を覚えていただいて光栄ですわ。アマタ様」
エレンシアさんのいう事に、同意するようにシズネさんがコクリと頷いた。
「ほとんどの方はすでに会議室のほうに集まっておりますのでご案内いたします。護衛の方は控え室のほうにご案内いたします」
「そう」
フォニアさんは短く返す。護衛についてきていたブラッドさん達は、僕らに一礼すると前に出てきたメイドさんについていった。
「それではご案内いたします」
そっけないフォニアさんの態度を気にした風もなくエレンシアさん達は案内を始めた。
最初に来た時はロビーまでしか来なかったが、人類同盟本部は、どこもかしこも豪華だった。一体どれだけ無駄な金を使ったのかと問いただしたくなる位だ。今まで横を通り過ぎた行くもの扉は一枚の例外もなく精緻な彫り物がされ、廊下には一定間隔に絵画、甲冑、高そうな花瓶が飾られ、床にはふかふかの絨毯が敷かれている。
「こちらになります」
長い廊下を歩き、案内されたのは大きな両開きの扉の前だ。扉の左右には槍を持った兵士が立っている。
「フォニア陛下、アマタ様が到着なさいました。扉をお開けください」
「はっ!」
シズネさんに言われた二人の兵士は、息のあった動作で扉を開けた。
扉を開けられた先を見た僕は、我が目を疑った。そこは会議室と呼ぶにはあまりにも華美で豪華、そして広い空間だったからだ。
いや会議室じゃない。ここは劇場だ。
目の前は座席が段々畑のように配置され、一番下には高級そうなボックス席がいくつも作られていた。ボックス席にはすでに人が座っている。その奥に舞台がある。舞台の上には、日本の国会のような議長席が作られており、舞台の背面には、まるでどこかの教会のようにステンドグラスがはめ込まれ、きらきらと光っていた。議長席の正面には演壇があり、その左右に長机が置かれている。
議長席には、初日に会った人類同盟のディエトロ総長が偉そうに座っていた。
なんというか舞台の上は国会の議場と裁判所を足して二で割ったような感じだな。
見上げれば天井が高く精緻な天井絵が描かれ、その下には巨大なシャンデリアがぶら下がっている。
背後を見上げれば、舞台が見えるように二階席から四階席まで作られている。しかも劇場の柱や壁に精緻な彫り物がされており、一体いくらお金を払えば出来るのか想像も出来ない。
似ているものを上げるとするならパリにあるガルニエ宮と呼ばれる豪華な劇場のようだった。オペラ座の怪人の舞台となっている劇場っていえばピンと来る人もいるだろう。
これを作るのに一体いくらお金が掛かったんだ?そしてそのお金の出所は?どうせ各国に払わせた分担金を盛大に使って作ったんだろうな。
「この会議室は、劇場としても使えるように作られているのです…」
「会議室ひとつに、これは豪華すぎじゃないですかね?無駄ともいえる」
「同感ですが、各国の要人をお招きする場所ですので、それなりの格というものが必要なのです」
シズネさんが僕に説明する。しかし、シズネさん自身もこの会議室にいい感情を持っていないようだ。
「なら、劇場としても使えるようにする必要は無かったんじゃないですかね」
「ラガツには、人類同盟の会議のほかに各国の王族の方々が集まり親睦を深める行事などもありまして、その行事の一環として観劇もありますの。アポリオンが再来する前は頻繁に劇場として利用されていましたわ。私も何度か参加したことがありますわ」
その時の事を思い出しているのかエレンシアさん懐かしそうしている。ラナマーク王国は、アポリオンに滅ぼされる前は豊かな国だったらしいので観劇とかにも参加していたのだろう。
この城を建てた時は、よほど予算が有り余ってたんだな人類同盟。
会議室の中にはすでに多くの人間が集まっていた。僕らが会議室に入った時から視線が僕達に集中する。
それぞれの視線には、羨望、好奇、嗜虐、哀れみ、敵意、そして欲望がこめられている。僕らに対して好意的視線は皆無だ。
「来ましたな」
「ええ、それにしても本当に仮面と喪服ですな」
「奇矯な」
「あの、ザムとか言うが我が国にもあれば…」
「ふん。それも…」
客席に座っている他国の貴族にひそひそとささやく声が聞こえてくる。すべてが聞こえるわけではないが、そのほとんどが好意的ではないのが分かる。
僕に聞こえていると言う事は、フォニアさんにも聞こえているはずだ。しかし彼女は、毅然とした態度で客席の通路を進む。僕はそれに遅れないように付いていく。
案内されたのは、舞台を正面に見て右側にある長机だ。
たしか某裁判ゲームで、弁護士が座っていた場所だな。
案内され舞台に近づくと議長席に座ったディエトロ総長が降りてきてが声を掛けてきた。胸には相変わらずジャラジャラと大量の勲章をぶら下げ、顔には胡散臭い笑顔を貼り付けている。
「おはようございます。フォニア陛下、アマタ様。良く眠れましたかな?」
「ええ、少々コバエがうるさかったですが、部下のおかげで安心して眠れましたわ。ディエトロ総長」
「…。遅参していた者が、昨日ようやく到着しまして。おまたせして申し訳ない」
「ええ、大急ぎでこいと言われて来たのに待たされるとは思いませんでしたわ。天下の人類同盟しては珍しい不手際ですね」
口元を扇子で隠し、フォニアさんが皮肉を言う。ディエトロ総長の目じりがピクリと動いた。
「申し訳ない。今後このような事が起きないように、徹底させましょう」
そこでディエトロ総長が一拍間を置き、まじめな表情になって続けた。
「…始まる前に一応お聞きしたい…どうしても、人類同盟にアマタ様のお力を借りるわけにはいきませんかな?アマタ様の独占は、スベン公国にもいい結果にはならないですぞ?」
借りる?金づるをよこせの間違いじゃないかな。
「ええ、アマタ様はスベン公国にとってもはやなくてはならない方ですので人類同盟にお渡しする事はできません」
「アマタ様もそれをお望みで」
「ええ。私も人類同盟に組する気持ちはありません」
「仕方ありませんな。我々も人類を背負っているのです。引き下がるわけには参りませんのでそのつもりで」
フンと鼻を鳴らしてそう言うとディエトロ総長は議長席へと戻っていった。
「こちらにどうぞ。では私達は失礼します」
案内された席に着きエレンシアさんとシズネさんが舞台袖へと下がった時、書類を持ったこれまたジャラジャラと胸に勲章を下げた男達が逆の舞台袖から現れ、僕らの正面の席に座った。
「彼らは、人類同盟の各部門のトップの方々ですね。よほどアマタ様がほしいと見えます」
フォニアさんは口元を扇子で隠しながら、正面の席に座った男達の正体を教えてくれる。
「ではこれより、スベン公国に対する審問会を開始いたします!」
全員がそろった事を確認したデヴェロア総長は、審問会の開始を宣言した。
ライツナー伯爵としては、セリアさんがフォニアさんの提案を了承した時点で、否は無いとの事。
それから二日掛けてライツナー伯爵の話の裏を取ったり、計画の打ち合わせをした。
正直、人類同盟が足止めのために作った三日と言う時間は、僕らにとってもありがたかった。
その間、野営地には、いろいろな国の貴族から昼食や晩餐会のお誘いが来ていたが、すべて断った。
表向きの理由としては審問会が終わってもいないのにそういう場所に出るわけには行かない。本音としては、誘拐やらハニトラが怖くていけるはずが無い。
野営地周辺には、人類同盟や他国の工作員と思われる連中が多数確認されているので、下手に野営地から出たらそいつらに襲ってくれと言っているようなものだ。不審者達は、隠れているつもりなのだろうが、ザムに搭載された複合センサーにより居場所は丸分かりだ。
中には夜間にザムの視線をかいくぐって野営地に入り込もうとする工作員も居たが、ザムのカメラは頭部のメインカメラ以外にも全身についている。
野営地の外から見えない位置までザムで誘導し捕まえる事など簡単なことだった。
そんなこんなであっという間に三日が過ぎた。
三日目の昼には、明日審問会を行うと人類同盟から使者が来た。
さすがに、三日過ぎても開催されなければスベン公国へと帰ると通告していただけあって審問会の先延ばしはされなかったようだ。
そして四日目。僕らは、曇天の空の下、竜車に乗って人類同盟本部に向かう。
厚い雲が空に立ち込めている様子からそう遠くない時間に一雨来るだろう。
薄暗い中で見る難民キャンプは、いつもよりさらに陰鬱としており、見ていてこちらの気持ちも暗くなる。
「ラガツの難民キャンプが我が国の難民よりひどい生活をしているなんて思いませんでした」
フォニアさんは、難民キャンプの様子を見て僕らが書いた報告書の事を思い出し、悲しそうに言った。
確かにカルナートに会った難民キャンプは、貧しさこそはあったが、自国の避難民という事もあり、治安の悪化だけは何とか避けられていた。
だが、ここは常識の違う雑多な国の民が入り乱れ、且つ人類同盟による搾取により人心は荒れ、治安が悪化していた。本来であれば人類同盟が治安の維持をすべきなのだが、連中そんな事はする気が無い。奴らが興味あるのは難民でいかに稼ぐかだけだろう。
「僕らのする事で、それが多少なりとも改善するといいんですけどね」
「ええ、そうですね。そうなる事を願います」
フォニアさんは、祈るように言った。
汚い難民キャンプに比べ、いやみなほどに磨かれたカニンガムが守る門を抜け、人類同盟の城へと到着した。
出迎えたのは、たくさんのメイドさんときらびやかな軍服を着た兵士。
メイドさんの先頭には、ごーじゃすメイドさん事、エレンシアさんと大正ロマンメイドさんなシズネさんがいる。
「「ようこそいらっしゃいました。フォニア陛下、アマタ様」」
メイドさん達は、綺麗なカーテシーを決めて僕らに挨拶する。兵士も僕らに向かって頭を下げる。
「おはようございます。エレンシアさん、シズネさん」
その挨拶に対しフォニアさんは、鷹揚にうなずき、僕は普通に挨拶を返す。
「名前を覚えていただいて光栄ですわ。アマタ様」
エレンシアさんのいう事に、同意するようにシズネさんがコクリと頷いた。
「ほとんどの方はすでに会議室のほうに集まっておりますのでご案内いたします。護衛の方は控え室のほうにご案内いたします」
「そう」
フォニアさんは短く返す。護衛についてきていたブラッドさん達は、僕らに一礼すると前に出てきたメイドさんについていった。
「それではご案内いたします」
そっけないフォニアさんの態度を気にした風もなくエレンシアさん達は案内を始めた。
最初に来た時はロビーまでしか来なかったが、人類同盟本部は、どこもかしこも豪華だった。一体どれだけ無駄な金を使ったのかと問いただしたくなる位だ。今まで横を通り過ぎた行くもの扉は一枚の例外もなく精緻な彫り物がされ、廊下には一定間隔に絵画、甲冑、高そうな花瓶が飾られ、床にはふかふかの絨毯が敷かれている。
「こちらになります」
長い廊下を歩き、案内されたのは大きな両開きの扉の前だ。扉の左右には槍を持った兵士が立っている。
「フォニア陛下、アマタ様が到着なさいました。扉をお開けください」
「はっ!」
シズネさんに言われた二人の兵士は、息のあった動作で扉を開けた。
扉を開けられた先を見た僕は、我が目を疑った。そこは会議室と呼ぶにはあまりにも華美で豪華、そして広い空間だったからだ。
いや会議室じゃない。ここは劇場だ。
目の前は座席が段々畑のように配置され、一番下には高級そうなボックス席がいくつも作られていた。ボックス席にはすでに人が座っている。その奥に舞台がある。舞台の上には、日本の国会のような議長席が作られており、舞台の背面には、まるでどこかの教会のようにステンドグラスがはめ込まれ、きらきらと光っていた。議長席の正面には演壇があり、その左右に長机が置かれている。
議長席には、初日に会った人類同盟のディエトロ総長が偉そうに座っていた。
なんというか舞台の上は国会の議場と裁判所を足して二で割ったような感じだな。
見上げれば天井が高く精緻な天井絵が描かれ、その下には巨大なシャンデリアがぶら下がっている。
背後を見上げれば、舞台が見えるように二階席から四階席まで作られている。しかも劇場の柱や壁に精緻な彫り物がされており、一体いくらお金を払えば出来るのか想像も出来ない。
似ているものを上げるとするならパリにあるガルニエ宮と呼ばれる豪華な劇場のようだった。オペラ座の怪人の舞台となっている劇場っていえばピンと来る人もいるだろう。
これを作るのに一体いくらお金が掛かったんだ?そしてそのお金の出所は?どうせ各国に払わせた分担金を盛大に使って作ったんだろうな。
「この会議室は、劇場としても使えるように作られているのです…」
「会議室ひとつに、これは豪華すぎじゃないですかね?無駄ともいえる」
「同感ですが、各国の要人をお招きする場所ですので、それなりの格というものが必要なのです」
シズネさんが僕に説明する。しかし、シズネさん自身もこの会議室にいい感情を持っていないようだ。
「なら、劇場としても使えるようにする必要は無かったんじゃないですかね」
「ラガツには、人類同盟の会議のほかに各国の王族の方々が集まり親睦を深める行事などもありまして、その行事の一環として観劇もありますの。アポリオンが再来する前は頻繁に劇場として利用されていましたわ。私も何度か参加したことがありますわ」
その時の事を思い出しているのかエレンシアさん懐かしそうしている。ラナマーク王国は、アポリオンに滅ぼされる前は豊かな国だったらしいので観劇とかにも参加していたのだろう。
この城を建てた時は、よほど予算が有り余ってたんだな人類同盟。
会議室の中にはすでに多くの人間が集まっていた。僕らが会議室に入った時から視線が僕達に集中する。
それぞれの視線には、羨望、好奇、嗜虐、哀れみ、敵意、そして欲望がこめられている。僕らに対して好意的視線は皆無だ。
「来ましたな」
「ええ、それにしても本当に仮面と喪服ですな」
「奇矯な」
「あの、ザムとか言うが我が国にもあれば…」
「ふん。それも…」
客席に座っている他国の貴族にひそひそとささやく声が聞こえてくる。すべてが聞こえるわけではないが、そのほとんどが好意的ではないのが分かる。
僕に聞こえていると言う事は、フォニアさんにも聞こえているはずだ。しかし彼女は、毅然とした態度で客席の通路を進む。僕はそれに遅れないように付いていく。
案内されたのは、舞台を正面に見て右側にある長机だ。
たしか某裁判ゲームで、弁護士が座っていた場所だな。
案内され舞台に近づくと議長席に座ったディエトロ総長が降りてきてが声を掛けてきた。胸には相変わらずジャラジャラと大量の勲章をぶら下げ、顔には胡散臭い笑顔を貼り付けている。
「おはようございます。フォニア陛下、アマタ様。良く眠れましたかな?」
「ええ、少々コバエがうるさかったですが、部下のおかげで安心して眠れましたわ。ディエトロ総長」
「…。遅参していた者が、昨日ようやく到着しまして。おまたせして申し訳ない」
「ええ、大急ぎでこいと言われて来たのに待たされるとは思いませんでしたわ。天下の人類同盟しては珍しい不手際ですね」
口元を扇子で隠し、フォニアさんが皮肉を言う。ディエトロ総長の目じりがピクリと動いた。
「申し訳ない。今後このような事が起きないように、徹底させましょう」
そこでディエトロ総長が一拍間を置き、まじめな表情になって続けた。
「…始まる前に一応お聞きしたい…どうしても、人類同盟にアマタ様のお力を借りるわけにはいきませんかな?アマタ様の独占は、スベン公国にもいい結果にはならないですぞ?」
借りる?金づるをよこせの間違いじゃないかな。
「ええ、アマタ様はスベン公国にとってもはやなくてはならない方ですので人類同盟にお渡しする事はできません」
「アマタ様もそれをお望みで」
「ええ。私も人類同盟に組する気持ちはありません」
「仕方ありませんな。我々も人類を背負っているのです。引き下がるわけには参りませんのでそのつもりで」
フンと鼻を鳴らしてそう言うとディエトロ総長は議長席へと戻っていった。
「こちらにどうぞ。では私達は失礼します」
案内された席に着きエレンシアさんとシズネさんが舞台袖へと下がった時、書類を持ったこれまたジャラジャラと胸に勲章を下げた男達が逆の舞台袖から現れ、僕らの正面の席に座った。
「彼らは、人類同盟の各部門のトップの方々ですね。よほどアマタ様がほしいと見えます」
フォニアさんは口元を扇子で隠しながら、正面の席に座った男達の正体を教えてくれる。
「ではこれより、スベン公国に対する審問会を開始いたします!」
全員がそろった事を確認したデヴェロア総長は、審問会の開始を宣言した。
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