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4水晶玉
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「お姉さん、待って。」
さっきの男の子が走って追いかけてくる。
「え?わたくし?」
「お母さんが、呼んでるから。僕と一緒に来て。」
オリヴィアの服を引っ張りながら言う。
「お礼ならいいわよ。当然のことをしたまでなんだから。」
「違う。とにかく一緒に来て。」
まあ、オリヴィアも別に急ぐ旅でもないからいいけど。さっきの木陰まで戻ると熱中症の女性はオリヴィアを見るなり、頭を地面にこすりつけてきたのだ。
な、なに?やめて、そんなことをされると、またイジメられたとか難癖を付けられるんじゃない!
女性の土下座を阻止しようと必死になっても、なかなかやめてくれない。
女性の話をよく聞くことにすると、この先のベルソ村からやって来た元は子爵令嬢で、ベルソ村出身の男性と駆け落ちして、子爵家を勘当になる。母親が危篤になり呼び戻されたのだが、危篤話はデタラメで、跡取りとして、男の子を取り上げられそうになったことから、再び王都を脱出して逃げる途中で気分が悪くなりへたり込んでしまったらしい。
「それで?」
「どうかお助けください。わたくしはエリーゼと申します。」
そう言われても……、オリヴィアはまだ17歳。前世医師の記憶があるだけのまだ子供だから、何もできない。
でも放っておくなど忍びない。とにかく母子と一緒にベルソ村まで付いていくことにした。
ベルソ村までは、街道を通らず道なき道を通り、近道だというけど、かなりキツイ。
ベルソムラに到着したときは、やはり追手が先回りしていて、エリーゼの旦那さんを縛り上げ、エリーゼの息子を渡すように要求している。
要求をのまなければ、村に火を放つと脅しているようだった。
オリヴィアはそこで、ステファニーおばあさんの手紙を思い出し、おばあさんに助けを求めると、おばあさんはすぐ駆けつけてくださって、村に結界を張ってくださったのだが、他の人にはおばあさんの姿が認識できないみたい。
「いずれオリヴィアも自分で張れるようになるから、それまでの辛抱だよ。念のため跪いて、祈るような姿をしてくれるかい?」
オリヴィアは、おばあさんに言われるままの姿勢を取る。
村人たちが、そんなオリヴィアを見て「聖女様だ!」の声を上げる。
いやいや、違うから。聖女様はステファニーおばあさんだから。とおばあさんのほうを見ると、もうおばあさんはどこかへ行かれていたのだ。
子爵家の追っ手は、結界の中にいたが、悪意あるものを弾き飛ばす結界であったため、村の外へ全員弾き飛ばされるようになる。
ついでだから、村の人全員の診察をする。
これぐらいしかできるものがないからで、王子殿下から「偽聖女」呼ばわりさせないための口止め料のつもり。
でも、これがいけなかった。ということを気づくのは、もう少し後になってからのこと。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
その頃、王都の国教会では、聖女様探索水晶がバンバン反応を始めたのだ。
聖女様探索水晶とは、アンダルシア国内において、聖女様に覚醒もしくは聖女様が誕生したときに、反応する。他国へ取られないようにするため、いち早く聖女様を見つけ出すことを目的としているものであったのだ。
聖女様になる者は、たいてい何らかの加護持ちで、突然変異もたまにある。加護持ちの場合、王都に住まうものについては、あらかじめ教会が把握しているものなのだが、地方に住んでいたら把握できていない。
近年、加護持ちもめっきり少なくなっていたところに、今回の探索魔法が反応してしまったということ。
その水晶玉を王都内のあらゆる施設に、持って行ってもそこでは一切反応がない。ということは、アンダルシアの地方にいる可能性がある。
聖女様に覚醒することができる娘は、15歳から20歳までの生娘に限る。
国教会は、まず街道沿いで、聖女様の光を探すことに。
さっきの男の子が走って追いかけてくる。
「え?わたくし?」
「お母さんが、呼んでるから。僕と一緒に来て。」
オリヴィアの服を引っ張りながら言う。
「お礼ならいいわよ。当然のことをしたまでなんだから。」
「違う。とにかく一緒に来て。」
まあ、オリヴィアも別に急ぐ旅でもないからいいけど。さっきの木陰まで戻ると熱中症の女性はオリヴィアを見るなり、頭を地面にこすりつけてきたのだ。
な、なに?やめて、そんなことをされると、またイジメられたとか難癖を付けられるんじゃない!
女性の土下座を阻止しようと必死になっても、なかなかやめてくれない。
女性の話をよく聞くことにすると、この先のベルソ村からやって来た元は子爵令嬢で、ベルソ村出身の男性と駆け落ちして、子爵家を勘当になる。母親が危篤になり呼び戻されたのだが、危篤話はデタラメで、跡取りとして、男の子を取り上げられそうになったことから、再び王都を脱出して逃げる途中で気分が悪くなりへたり込んでしまったらしい。
「それで?」
「どうかお助けください。わたくしはエリーゼと申します。」
そう言われても……、オリヴィアはまだ17歳。前世医師の記憶があるだけのまだ子供だから、何もできない。
でも放っておくなど忍びない。とにかく母子と一緒にベルソ村まで付いていくことにした。
ベルソ村までは、街道を通らず道なき道を通り、近道だというけど、かなりキツイ。
ベルソムラに到着したときは、やはり追手が先回りしていて、エリーゼの旦那さんを縛り上げ、エリーゼの息子を渡すように要求している。
要求をのまなければ、村に火を放つと脅しているようだった。
オリヴィアはそこで、ステファニーおばあさんの手紙を思い出し、おばあさんに助けを求めると、おばあさんはすぐ駆けつけてくださって、村に結界を張ってくださったのだが、他の人にはおばあさんの姿が認識できないみたい。
「いずれオリヴィアも自分で張れるようになるから、それまでの辛抱だよ。念のため跪いて、祈るような姿をしてくれるかい?」
オリヴィアは、おばあさんに言われるままの姿勢を取る。
村人たちが、そんなオリヴィアを見て「聖女様だ!」の声を上げる。
いやいや、違うから。聖女様はステファニーおばあさんだから。とおばあさんのほうを見ると、もうおばあさんはどこかへ行かれていたのだ。
子爵家の追っ手は、結界の中にいたが、悪意あるものを弾き飛ばす結界であったため、村の外へ全員弾き飛ばされるようになる。
ついでだから、村の人全員の診察をする。
これぐらいしかできるものがないからで、王子殿下から「偽聖女」呼ばわりさせないための口止め料のつもり。
でも、これがいけなかった。ということを気づくのは、もう少し後になってからのこと。
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その頃、王都の国教会では、聖女様探索水晶がバンバン反応を始めたのだ。
聖女様探索水晶とは、アンダルシア国内において、聖女様に覚醒もしくは聖女様が誕生したときに、反応する。他国へ取られないようにするため、いち早く聖女様を見つけ出すことを目的としているものであったのだ。
聖女様になる者は、たいてい何らかの加護持ちで、突然変異もたまにある。加護持ちの場合、王都に住まうものについては、あらかじめ教会が把握しているものなのだが、地方に住んでいたら把握できていない。
近年、加護持ちもめっきり少なくなっていたところに、今回の探索魔法が反応してしまったということ。
その水晶玉を王都内のあらゆる施設に、持って行ってもそこでは一切反応がない。ということは、アンダルシアの地方にいる可能性がある。
聖女様に覚醒することができる娘は、15歳から20歳までの生娘に限る。
国教会は、まず街道沿いで、聖女様の光を探すことに。
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