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14ジャングル
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クランベールの国境超えにすることを決めてからは、行動に移すのに時間はかからなかった。
診療所のオリヴィアにその日のうちに伝えられ、準備に取り掛かる。
オリヴィアには、以前、王都で助けてくれたステファニーおばあさんから頂いたアイテムカバンがあり、そこに何でも放り込んでもいっぱいにならないからだ。
そのことをお父様に告げると、お父様の目の色が変わり、何でも荷物はオリヴィアが持つことになってしまう。
まぁ、いいけど。
荷物は鍋釜から食糧、季節ごとの着るもの、弓矢、剣などの武器、飲料水を入れてもまだ余裕がある。
お父様は実験だと言い、領地のカントリーハウス1軒をアイテムカバンに入れようとした。さすがにそれは無理でしょ?と思っていたら、すんなり入ったのでビックリした。
それならと一度アイテムカバンから家を出し、ドレスや鍋釜を元の家に戻し、それをアイテムカバンに再び入れるとまだ、カバンには余裕があり何も入っていないように見えるペチャンコのままなのだ。
「そのおばあさんに、いいものもらったな。今度、王都に行くことがあれば、お礼を言わなければ。」
「困ったことがあれば、おばあさんの手紙に語り掛けると飛んできてくれるのよ。」と言う話はしていない。
せっかくお父様が命に代えてでもオリヴィアを守ると言ってくれているのだから。プライドを傷つけるようなことを言うのは止そう。
翌朝、国境線に向けて、出発する。お天気はとてもいい。話を聞きつけた領民も同行を願い出て、みんなで
「オリヴィアお嬢様のために死にに行く。」
勇ましいことを言ってくれることは、ありがたい。
留守を預かるはずの料理長までもが、一緒に言ってくれるので、何かと助かる。
「なーに、包丁さばきなら、儂の右に出るものはおらぬから、いざとなればこの包丁が武器になるわい。お嬢様は大船に乗った気でいらしてくださればいい。」
「ありがとうございます。」
ニッコリ微笑むと皆、頬を染める。
ん?この感じ、前世でも確かに記憶がある。大学病院で臨床を受け持っていた時、看護師に「ありがとう」を笑顔で行ったとき、こんな感じだったことを今さらながら、思い出す。
当時は、何とも思わなかったが、ただ儀礼として、やっていただけだった。教授戦を控えていたから、人気を得るため、あえてやっていたのだが、ライバルに研究職に追いやられ、教授戦は関係なくなったのだ。
まぁ、俺は学究肌だったので、経営よりも研究のほうが向いていたということもあり、俺にとってはよかったこと。
国境付近までは平穏で、なんとなくピクニック気分だったのだが、国境線に入るといきなり体長2メートルぐらいのヒグマが現れた。
呆気にとられ、逃げることさえ忘れていたら、ライオンちゃんが目の前に飛び出してくれ、ヒグマは一目散に逃げて行ったのだ。
「ライオンちゃん、えらいね。いい子いい子。」
頭をなでてやると、目を細めて気持ちよさそうにしている。
ほとんど猫とかわらない。
次に現れたのが、メスライオン。うーん、これはどうかな?ライオンちゃんが自己アピールをするのではないかとヒヤヒヤしているとメスライオンが背を向けてお尻を突き出してきたので、交尾OKサイン?が出たようなのに、ライオンちゃんは見向きもせず先に歩を進める。
ライオンちゃんは仕事熱心なのだ。オリヴィアを守るため必死になってくれている姿が愛おしい。
フラれたはずのメスライオンがなぜか後ろをついてくる。まだ諦めていないようだ。優秀な強い子種を得るために、身を賭しているのだろう。
ライオンちゃんがハンサムかどうかは、わからないがなかなかいい面構えをしていると思う。
国境線をどんどん進むにつれ、やがてうっそうとした草木が生え、ジャングルのようなところを歩いている。
サルが「キーっ」と叫びながら、頭上をターザンのように渡っていく。遠くで、奇妙な鳥の鳴き声も聞こえる。
きっと「敵来襲!」とでも言っているのだろう。
護衛の騎士は、ライオンちゃんが通った後を、道を作りながら、進んでくれているから、木の根につまずくこともなく順調に歩ける。馬車はアイテムカバンの中に入っている。
診療所のオリヴィアにその日のうちに伝えられ、準備に取り掛かる。
オリヴィアには、以前、王都で助けてくれたステファニーおばあさんから頂いたアイテムカバンがあり、そこに何でも放り込んでもいっぱいにならないからだ。
そのことをお父様に告げると、お父様の目の色が変わり、何でも荷物はオリヴィアが持つことになってしまう。
まぁ、いいけど。
荷物は鍋釜から食糧、季節ごとの着るもの、弓矢、剣などの武器、飲料水を入れてもまだ余裕がある。
お父様は実験だと言い、領地のカントリーハウス1軒をアイテムカバンに入れようとした。さすがにそれは無理でしょ?と思っていたら、すんなり入ったのでビックリした。
それならと一度アイテムカバンから家を出し、ドレスや鍋釜を元の家に戻し、それをアイテムカバンに再び入れるとまだ、カバンには余裕があり何も入っていないように見えるペチャンコのままなのだ。
「そのおばあさんに、いいものもらったな。今度、王都に行くことがあれば、お礼を言わなければ。」
「困ったことがあれば、おばあさんの手紙に語り掛けると飛んできてくれるのよ。」と言う話はしていない。
せっかくお父様が命に代えてでもオリヴィアを守ると言ってくれているのだから。プライドを傷つけるようなことを言うのは止そう。
翌朝、国境線に向けて、出発する。お天気はとてもいい。話を聞きつけた領民も同行を願い出て、みんなで
「オリヴィアお嬢様のために死にに行く。」
勇ましいことを言ってくれることは、ありがたい。
留守を預かるはずの料理長までもが、一緒に言ってくれるので、何かと助かる。
「なーに、包丁さばきなら、儂の右に出るものはおらぬから、いざとなればこの包丁が武器になるわい。お嬢様は大船に乗った気でいらしてくださればいい。」
「ありがとうございます。」
ニッコリ微笑むと皆、頬を染める。
ん?この感じ、前世でも確かに記憶がある。大学病院で臨床を受け持っていた時、看護師に「ありがとう」を笑顔で行ったとき、こんな感じだったことを今さらながら、思い出す。
当時は、何とも思わなかったが、ただ儀礼として、やっていただけだった。教授戦を控えていたから、人気を得るため、あえてやっていたのだが、ライバルに研究職に追いやられ、教授戦は関係なくなったのだ。
まぁ、俺は学究肌だったので、経営よりも研究のほうが向いていたということもあり、俺にとってはよかったこと。
国境付近までは平穏で、なんとなくピクニック気分だったのだが、国境線に入るといきなり体長2メートルぐらいのヒグマが現れた。
呆気にとられ、逃げることさえ忘れていたら、ライオンちゃんが目の前に飛び出してくれ、ヒグマは一目散に逃げて行ったのだ。
「ライオンちゃん、えらいね。いい子いい子。」
頭をなでてやると、目を細めて気持ちよさそうにしている。
ほとんど猫とかわらない。
次に現れたのが、メスライオン。うーん、これはどうかな?ライオンちゃんが自己アピールをするのではないかとヒヤヒヤしているとメスライオンが背を向けてお尻を突き出してきたので、交尾OKサイン?が出たようなのに、ライオンちゃんは見向きもせず先に歩を進める。
ライオンちゃんは仕事熱心なのだ。オリヴィアを守るため必死になってくれている姿が愛おしい。
フラれたはずのメスライオンがなぜか後ろをついてくる。まだ諦めていないようだ。優秀な強い子種を得るために、身を賭しているのだろう。
ライオンちゃんがハンサムかどうかは、わからないがなかなかいい面構えをしていると思う。
国境線をどんどん進むにつれ、やがてうっそうとした草木が生え、ジャングルのようなところを歩いている。
サルが「キーっ」と叫びながら、頭上をターザンのように渡っていく。遠くで、奇妙な鳥の鳴き声も聞こえる。
きっと「敵来襲!」とでも言っているのだろう。
護衛の騎士は、ライオンちゃんが通った後を、道を作りながら、進んでくれているから、木の根につまずくこともなく順調に歩ける。馬車はアイテムカバンの中に入っている。
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