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17サバンナ

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 昨夜は疲れすぎて、気絶に近い眠り方をした。

 今朝は早速新しい領地の視察を兼ねて、来ている。

 どういうわけかカルロス様と一緒に来ている。車の運転ができるからで、今日、領営住宅に引っ越すはずなのに。

 「だって、安藤さんと行くの楽しいんですもの。」

 「見た目オジサンに言われてもな。」

 「いいじゃない?安藤さんも中身オジサンなんだから。」

 「……。」







 辺境領の先住民族が狩りをしに出掛けて行っただけのことはあり、ここは資源の宝庫と言えるべき土地だったのだ。

 もう、ほとんどアフリカのど真ん中のような感じ。

 やっぱり、この土地を貰って正解だったわ。

 「きゃぁっ」

 この悲鳴が若い女の子だったら、と残念な気持ちになるのは、マーガレットだけではないようだ。

 マーガレットと共に入った護衛が舌打ちをしている。

 「そんなに怖いのなら、元へ戻ってください。」

 「だって、安藤さんがいるから。大丈夫だと思って。」

 「だったら、せめて車の中にいて。」

 「はい。わかりました。でもボンネットにクロヒョウみたいな?獣が乗っていて、怖いです。」

 「もうっ!注意を逸らすから、その隙に車に戻ってなさい。」

 だからついてくるな!と言ったのに、面白そうだからと、好奇心だけは一人前以上にあって、困る。

 無用な折衝はしたくないから、猟銃やライフルなどの火器を召喚していなかったことを少々後悔している。でも前世でも、ライフルなんて、扱ったことがないので、使えるかどうかもわからない。

 前世ニッポンは徴兵制がないためにお隣の国なら、あるけど憲法第9条があるせいで、自らの安全を手にすることができない。

 憲法第9条とは、GHQの戦後統治時に暫定的に設けられた条文で、今はまるで平和憲法の象徴であるかのような扱いであるが、そもそもGHQは、戦後処理が終わったニッポンはすぐ憲法改正すると見ていたのであるが、当時の佐藤c作首相がメリケンの核の傘を利用しようと企て、世界の工場として、ニッポンを位置づけ、安い労働力で経済を飛躍させたのである。

 ちょうど当時ニッポン製と言えば、「安かろう悪かろう」の代名詞だったこともある。

 ひところ前のお隣の大国もそうだったけど、今は?ノーコメントとさせていただきます。

 鋼材としては、非核三原則を打ち出したことぐらいかな?

 そもそも憲法第9条と言うのは、侵略行為に対してだけ否定しているのであって、集団的自衛権までは放棄していないのだが、どういうわけか某政党を中心とした一部の人間が捻じ曲げて解釈している。

 まぁ、どちらにしても今ここに銃があっても、誰も使いこなすことができないというのが現状である。

 この世界の騎士は何を武器にしているかと言うと弓矢。まぁ、これが一番有効だろう。

 マーガレットはと言うと、ボコボコにして動けなくなった猛獣の上に檻を召喚させかぶせていく作業をしている。

 そろそろ終了して帰ろうと思っていたら、カルロス様が

 「お腹空いた。」

 ええー!ここで食事するのは危険じゃない?でも火を使うなら、安全かも?

 見た目女性は、マーガレットしかいないので、手早く?食事の準備にかかると騎士が恐縮しきっている。

 「お嬢様にこんなことさせてしまって、すみません。私も何かお手伝いすることがありますか?」

 今日のメニューは、から揚げとカップラーメン、ビールもあればいいけど、この後運転して帰らなければならないので安全第一。

 とにかくチキンはぶつ切りにして、油で揚げていく。

 カップラーメンのふたの部分を少し捲って、お湯を注ぎ3分間待つ。

 いよいよ、いただきますをしようとしていたら、後ろに白い大型犬がちゃんとお座りしている。

 「まぁ!可愛い♡」

 頭から背中を撫でながら

 「アナタも召し上がる?」

 犬にカップラーメンなんて?どうかと思うけど、犬ってけっこう雑食動物だったような記憶がある。

 そのワンコはブンブンと尻尾を振っている。

 試しにカップラーメンを大きなお皿に移し替え、その上にから揚げを3個載せて出してみたら、一口で食べてしまった。

 「もっと、召し上がる?」

 またまたブンブンと尻尾を振っている。

 「うふふ。食いしん坊さんね。それともよっぽどお腹を空かせていたのかしらね。」

 揚げたばかりのから揚げをワンコ用のお皿にザザッと盛る。

 熱いのかハフハフしながら食べるワンコを見ながら、

 「あなたはジャングルにいる白い王だから、レオね。これからレオって呼ぶわ。また明日も来るつもりだから、おとなしくここで待っててね。」

 するとレオのカラダが一瞬光ったかと思うと、テレパシーみたいなもので

 「我はフェンリル。聖女様をお守りすべく神獣なり。」

 へ?マーガレットは聖女様ではなく、悪役令嬢のはず。きっとレオが勘違いしているのかな?

 ま、どうでもいいわ。レオが可愛いから。

 喋る犬なんて、前世のお父さん犬みたい。西大路欣也さんが声をしてらしたわ。

 みんなの食事が終わって、さぁ帰ろうとしたら、なぜかレオがついてくる。

 「レオ、ダメよ。ついてきちゃ。」

 「お嬢様いかがされましたか?」

 「このワンコ、フェンリルだとか言うんだけど、連れて帰れないから。」

 「なんと!フェンリルは神様の御遣いで、ぜひ同行させましょう。」

 へ?やっぱり神様の御遣いで間違いないのか?

 「レオ、わかったわ。おとなしくしててね。」

 車のドアを開け、中へ入れる。なぜか助手席に座りたがる。

 カルロス様が自分の膝の上に乗せようとすると「ウ~」

 仕方なく、運転席のマーガレットが膝の上に乗せ、出発することにしたのだ。

 往きにある程度の木を伐採しながら進んだので、帰りは割と楽に戻ることができる。

 辺境領に戻った頃には、もう夕暮れ時でオレンジ色の光が眩しい。

 公爵邸の者は、レオを見て

 「お嬢様が白い大型犬を拾ってきた。」
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